北海道大学 1981年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) は定積分で定義された関数の微分である。積分区間の両端に変数が含まれているため、原始関数を仮定して式を立て、合成関数の微分法を用いる。 (2) は「$F(x)$ が $x$ によらない定数になる」という条件を「$x$ で微分すると $0$ になる」と言い換えて(1)の結果を利用する。その後、得られた関係式を関数方程式として解く。
解法1
(1) 関数 $f(t)$ は連続であるから、その原始関数の1つを $\Phi(t)$ とおく。このとき $F(x)$ は次のように表される。
$$F(x) = \int_{ax}^x f(t)dt = \left[ \Phi(t) \right]_{ax}^x = \Phi(x) - \Phi(ax)$$
両辺を $x$ で微分する。合成関数の微分法を用いると、
$$\frac{d}{dx}F(x) = \Phi'(x) - \Phi'(ax) \cdot (ax)'$$
$\Phi'(t) = f(t)$ であり、$(ax)' = a$ であるから、
$$\frac{d}{dx}F(x) = f(x) - a f(ax)$$
となる。
(2) どんな $a$ $(0 < a \leqq 1)$ に対しても $F(x)$ は $x$ によらない定数になるということは、常に $\frac{d}{dx}F(x) = 0$ が成り立つということである。 (1) の結果より、
$$f(x) - a f(ax) = 0$$
すなわち
$$f(x) = a f(ax)$$
が成り立つ。 この等式は $0 < x \leqq 1$ を満たす任意の $x$ と、$0 < a \leqq 1$ を満たす任意の $a$ について成立する。 ここで、代入可能な $x$ のうち特定の値を代入して関数形を決定する。$x = 1$ を代入すると、
$$f(1) = a f(a)$$
条件より $f(1) = 1$ であるから、
$$1 = a f(a)$$
$$f(a) = \frac{1}{a}$$
変数 $a$ は $0 < a \leqq 1$ を満たす任意の実数であるから、これを $x$ に書き換えると、
$$f(x) = \frac{1}{x}$$
を得る。 この関数は $0 < x \leqq 1$ において連続であり、条件 $f(1)=1$ も満たす。
次に、このときの定数 $P(a)$ を求める。$P(a)$ は $F(x)$ の値そのものであるため、求めた $f(t) = \frac{1}{t}$ を定義式に代入して定積分を計算する。 $x > 0$、$a > 0$ より $ax > 0$ であることに注意して計算すると、
$$P(a) = F(x) = \int_{ax}^x \frac{1}{t}dt = \left[ \log|t| \right]_{ax}^x = \log x - \log(ax)$$
対数の性質を用いて整理すると、
$$P(a) = \log\frac{x}{ax} = \log\frac{1}{a} = -\log a$$
となり、$x$ によらない定数として求まる。
解説
(1) は積分区間に変数を含む定積分の微分公式の応用である。$\int_{g(x)}^{h(x)} f(t)dt$ の微分は、原始関数を置いて合成関数の微分を考えることで正確に導くことができる。 (2) は「定数関数である」という条件を「導関数が常に $0$」と解釈して関係式を引き出すことが第一のポイントである。さらに、得られた関係式 $f(x) = a f(ax)$ において、変数が複数ある恒等式では都合の良い数値を代入して未知の関数を決定するというアプローチ(関数方程式の解法)が鍵となる。今回は $x=1$ を代入することで、$f(a)$ の具体的な式を直接引き出すことができた。
答え
(1) $\frac{d}{dx}F(x) = f(x) - af(ax)$
(2) $f(x) = \frac{1}{x}$, $P(a) = -\log a$
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