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大阪大学 1969年 理系 第6問 解説

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大阪大学 1969年 理系 第6問 解説

方針・初手

与えられた定積分で表された関数 $g(x)$ を微分して、$g'(x) = f(x)$ を導くのが第一歩である。

次に、条件式 $\{f(x)\}^2 - \{g(x)\}^2 = 1$ の両辺を $x$ で微分し、$f'(x)$ と $g(x)$ の関係式を導出する。その際、両辺を微分する前提として、$f(x)$ が微分可能関数であることをしっかり確認しておく必要がある。

(2)では、(1)で示された関係式が基本的な微分方程式 $y' = ky$ の形をしているため、一般解を求めた上で、$x=0$ を代入して得られる初期条件から定数を確定させる。

解法1

(1)

$f(x)$ は連続関数であり、$g(x) = \int_0^x f(t)dt$ であるから、$g(x)$ は微分可能であり、 $$ g'(x) = f(x) $$ が成り立つ。

与えられた条件式 $\{f(x)\}^2 - \{g(x)\}^2 = 1$ を変形すると、 $$ \{f(x)\}^2 = 1 + \{g(x)\}^2 $$ となる。$f(x) > 0$ であるから、 $$ f(x) = \sqrt{1 + \{g(x)\}^2} $$ と表せる。$g(x)$ は微分可能であるから、$1 + \{g(x)\}^2$ は正の値をとり微分可能である。したがって、関数 $f(x)$ も微分可能である。

条件式の両辺を $x$ で微分すると、 $$ 2f(x)f'(x) - 2g(x)g'(x) = 0 $$ となる。これに $g'(x) = f(x)$ を代入して整理すると、 $$ 2f(x)f'(x) - 2g(x)f(x) = 0 $$ $$ 2f(x)\{f'(x) - g(x)\} = 0 $$ 仮定よりすべての実数 $x$ において $f(x) > 0$ であるから、$f(x) \neq 0$ であり、両辺を $2f(x)$ で割ると、 $$ f'(x) - g(x) = 0 $$ $$ f'(x) = g(x) $$ が得られる。

ここで、$F(x) = f(x) + g(x)$ の両辺を $x$ で微分し、上の関係を用いると、 $$ \frac{d}{dx}F(x) = f'(x) + g'(x) = g(x) + f(x) = F(x) $$ となる。 同様に、$G(x) = f(x) - g(x)$ の両辺を $x$ で微分すると、 $$ \frac{d}{dx}G(x) = f'(x) - g'(x) = g(x) - f(x) = -\{f(x) - g(x)\} = -G(x) $$ となる。

以上より、$\frac{d}{dx}F(x) = F(x)$ および $\frac{d}{dx}G(x) = -G(x)$ となることが証明された。

(2)

(1) の結果より、$F(x)$ と $G(x)$ はそれぞれ $\frac{d}{dx}F(x) = F(x)$、$\frac{d}{dx}G(x) = -G(x)$ を満たすので、$C_1, C_2$ を任意定数として、 $$ F(x) = C_1 e^x $$ $$ G(x) = C_2 e^{-x} $$ と表される。

次に、$x=0$ のときの値を求める。$g(x) = \int_0^x f(t)dt$ より、 $$ g(0) = 0 $$ である。これを与式 $\{f(x)\}^2 - \{g(x)\}^2 = 1$ に代入すると、 $$ \{f(0)\}^2 - 0 = 1 $$ $$ \{f(0)\}^2 = 1 $$ $f(x) > 0$ より、$f(0) = 1$ である。

したがって、$F(0)$ と $G(0)$ はそれぞれ、 $$ F(0) = f(0) + g(0) = 1 + 0 = 1 $$ $$ G(0) = f(0) - g(0) = 1 - 0 = 1 $$ となる。これを一般解に代入すると、 $$ C_1 e^0 = 1 \implies C_1 = 1 $$ $$ C_2 e^0 = 1 \implies C_2 = 1 $$ となり、 $$ F(x) = e^x $$ $$ G(x) = e^{-x} $$ と定まる。

定義より $F(x) = f(x) + g(x)$、$G(x) = f(x) - g(x)$ であるから、 $$ \begin{cases} f(x) + g(x) = e^x \\ f(x) - g(x) = e^{-x} \end{cases} $$ という連立方程式が得られる。この2式を辺々足し合わせると、 $$ 2f(x) = e^x + e^{-x} $$ $$ f(x) = \frac{e^x + e^{-x}}{2} $$ となる。これはすべての実数に対して定義され、正の値をとるという条件も満たしている。

解説

微積分学の基本定理より定積分で表された関数を微分する操作は、微分方程式を導くための定石である。本問では等式の両辺を微分して計算を進めるが、その前に $f(x)$ が微分可能であることを断る記述があると、論理の飛躍がなくなり答案の完成度が高まる。

(1) で設定されている $F(x), G(x)$ は、微分方程式を基本的な形である $y' = \pm y$ に帰着させるための誘導である。この形になれば、解が指数関数で表されることはよく知られている事実として用いてよい。あとは初期条件 $x=0$ の値を調べて定数を決定するだけである。結果として得られる $f(x) = \frac{e^x + e^{-x}}{2}$ は双曲線関数と呼ばれる有名な関数(カテナリー)である。

答え

(1) 解法1に記載の通り。

(2) $$ f(x) = \frac{e^x + e^{-x}}{2} $$

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