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北海道大学 1963年 文系 第9問 解説

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北海道大学 1963年 文系 第9問 解説

方針・初手

4次関数 $f(x)$ の未定係数5つ($a, b, c, d, e$)を、与えられた4つの条件から順に決定していく。 条件(2)の「$y$ 軸対称」から奇数次の項の係数を $0$ とし、条件(1)の極限から最高次の係数 $a$ の符号を絞り込む。 条件(3)からは接点の座標における関数値と微分係数に関する連立方程式を作り、条件(4)の定積分計算で定数項 $e$ を特定する。 最後に、得られた係数の組が条件(1)の符号条件を満たすかを吟味する。

解法1

条件(2)より、$y = f(x)$ のグラフは $y$ 軸に関して対称であるから、$f(x)$ は偶関数である。 したがって、すべての実数 $x$ について $f(-x) = f(x)$ が成り立つため、奇数次の係数は $0$ となる。

$$ b = 0, \quad d = 0 $$

これにより、$f(x) = ax^4 + cx^2 + e$ と表せる。 また、$f(x)$ は4次関数であるため $a \neq 0$ である。条件(1) $\lim_{x \to \infty} f(x) = -\infty$ より、最高次の係数について以下が成り立つ。

$$ a < 0 $$

次に、条件(3)について考える。 円 $x^2 + y^2 = 1$ 上の点 $\left( \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{\sqrt{2}} \right)$ における接線の方程式は、

$$ \frac{1}{\sqrt{2}}x + \frac{1}{\sqrt{2}}y = 1 $$

$$ y = -x + \sqrt{2} $$

この直線が $x = \frac{1}{\sqrt{2}}$ において $y = f(x)$ のグラフに接するためには、この点での関数値と微分係数がそれぞれ接線のものと一致することが必要十分である。 $f'(x) = 4ax^3 + 2cx$ であるから、

$$ \begin{cases} f\left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right) = \frac{1}{\sqrt{2}} \\ f'\left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right) = -1 \end{cases} $$

それぞれの式に代入して整理する。まず関数値について、

$$ a \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^4 + c \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 + e = \frac{1}{\sqrt{2}} $$

$$ \frac{a}{4} + \frac{c}{2} + e = \frac{\sqrt{2}}{2} $$

$$ a + 2c + 4e = 2\sqrt{2} \quad \cdots \text{①} $$

次に微分係数について、

$$ 4a \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^3 + 2c \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right) = -1 $$

$$ 4a \cdot \frac{1}{2\sqrt{2}} + 2c \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} = -1 $$

$$ \frac{2a}{\sqrt{2}} + \frac{2c}{\sqrt{2}} = -1 $$

$$ a + c = -\frac{\sqrt{2}}{2} \quad \cdots \text{②} $$

続いて、条件(4)について考える。 左辺の定積分 $\int_0^1 f(x) dx$ を計算すると、

$$ \int_0^1 (ax^4 + cx^2 + e) dx = \left[ \frac{a}{5}x^5 + \frac{c}{3}x^3 + ex \right]_0^1 = \frac{a}{5} + \frac{c}{3} + e $$

条件(4)の等式より、これが右辺と等しいので、

$$ \frac{a}{5} + \frac{c}{3} + e = \frac{a + e^2}{5} + \frac{c}{3} $$

両辺から $\frac{a}{5} + \frac{c}{3}$ を引いて整理すると、

$$ e = \frac{e^2}{5} $$

$$ e^2 - 5e = 0 $$

$$ e(e - 5) = 0 $$

よって、$e = 0$ または $e = 5$ である。ここで場合分けを行う。

(i) $e = 0$ のとき

①より、

$$ a + 2c = 2\sqrt{2} $$

これと②を連立して解く。この式から②を辺々引くと、

$$ c = 2\sqrt{2} - \left( -\frac{\sqrt{2}}{2} \right) = \frac{5\sqrt{2}}{2} $$

これを②に代入して、

$$ a = -\frac{\sqrt{2}}{2} - \frac{5\sqrt{2}}{2} = -3\sqrt{2} $$

このとき $a = -3\sqrt{2} < 0$ となり、条件 $a < 0$ を満たす。

(ii) $e = 5$ のとき

①より、

$$ a + 2c + 20 = 2\sqrt{2} $$

$$ a + 2c = 2\sqrt{2} - 20 $$

これと②を連立して解く。同様に辺々引くと、

$$ c = (2\sqrt{2} - 20) - \left( -\frac{\sqrt{2}}{2} \right) = \frac{5\sqrt{2}}{2} - 20 $$

これを②に代入して、

$$ a = -\frac{\sqrt{2}}{2} - \left( \frac{5\sqrt{2}}{2} - 20 \right) = -3\sqrt{2} + 20 $$

ここで $\sqrt{2} \approx 1.41$ であるから、$-3\sqrt{2} \approx -4.23$ となり、$a = -3\sqrt{2} + 20 > 0$ となる。 これは条件 $a < 0$ に反するため、不適である。

以上より、(i) のみが適し、各係数が確定する。

解説

条件(1)から(4)までを順番に数式に翻訳していくことで、未定係数を決定する典型的な問題である。 一見すると条件(4)の等式が複雑に見えるが、定積分を素直に計算して比較すると、両辺の $a$ と $c$ の項が完全に打ち消し合い、$e$ についてのシンプルな2次方程式が導かれるよう作られている。 また、条件(1)で得られた「4次の係数 $a$ が負である」という事実が、最後に $e$ の値(ひいては $a, c$ の値)を絞り込むための重要な判断基準として機能している点に注意が必要である。

答え

$$ a = -3\sqrt{2}, \quad b = 0, \quad c = \frac{5\sqrt{2}}{2}, \quad d = 0, \quad e = 0 $$

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