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北海道大学 1983年 理系 第1問 解説

数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/場合分けテーマ/図形総合
北海道大学 1983年 理系 第1問 解説

方針・初手

関数 $f(x)$ のグラフを描くと、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $y$ の値が $1 \to 0 \to 1$ と変化する「V字型」の折れ線となる。 このような関数を自身と合成すると、グラフの「V字」の数が $2$ 倍、$4$ 倍と増えていく性質がある。 (1) では $f(x)$ の定義式を場合分けして合成関数 $f(f(x))$ の式を求め、正確なグラフの形を把握する。 (2) では $f(f(f(x))) = x$ の実数解の個数を求めるため、$y = f(f(f(x)))$ のグラフと直線 $y = x$ の交点の個数として捉える。

解法1

(1)

与えられた関数 $f(x) = |2x - 1|$ は、絶対値の中身の正負によって次のように場合分けされる。

$$ f(x) = \begin{cases} -2x + 1 & \left( 0 \leqq x \leqq \frac{1}{2} \right) \\ 2x - 1 & \left( \frac{1}{2} < x \leqq 1 \right) \end{cases} $$

求める関数は $y = f(f(x)) = |2f(x) - 1|$ である。ここで、$f(x)$ の値域に応じてさらに場合分けを行う。

(i) $0 \leqq f(x) \leqq \frac{1}{2}$ のとき

この条件を満たす $x$ の範囲を求める。

$$ 0 \leqq |2x - 1| \leqq \frac{1}{2} $$

$$ -\frac{1}{2} \leqq 2x - 1 \leqq \frac{1}{2} $$

$$ \frac{1}{4} \leqq x \leqq \frac{3}{4} $$

このとき、$f(f(x)) = -(2f(x) - 1) = -2f(x) + 1$ となる。 さらに $x$ の範囲によって $f(x)$ の式が異なるため分ける。

・$\frac{1}{4} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のとき

$$ f(f(x)) = -2(-2x + 1) + 1 = 4x - 1 $$

・$\frac{1}{2} < x \leqq \frac{3}{4}$ のとき

$$ f(f(x)) = -2(2x - 1) + 1 = -4x + 3 $$

(ii) $\frac{1}{2} < f(x) \leqq 1$ のとき

この条件を満たす $x$ の範囲は、(i) の範囲外であるから $0 \leqq x < \frac{1}{4}$ または $\frac{3}{4} < x \leqq 1$ である。 このとき、$f(f(x)) = 2f(x) - 1$ となる。

・$0 \leqq x < \frac{1}{4}$ のとき

$$ f(f(x)) = 2(-2x + 1) - 1 = -4x + 1 $$

・$\frac{3}{4} < x \leqq 1$ のとき

$$ f(f(x)) = 2(2x - 1) - 1 = 4x - 3 $$

以上をまとめると、$y = f(f(x))$ の式は以下のようになる。

$$ f(f(x)) = \begin{cases} -4x + 1 & \left( 0 \leqq x < \frac{1}{4} \right) \\ 4x - 1 & \left( \frac{1}{4} \leqq x \leqq \frac{1}{2} \right) \\ -4x + 3 & \left( \frac{1}{2} < x \leqq \frac{3}{4} \right) \\ 4x - 3 & \left( \frac{3}{4} < x \leqq 1 \right) \end{cases} $$

したがってグラフは、点 $(0, 1)$、$\left( \frac{1}{4}, 0 \right)$、$\left( \frac{1}{2}, 1 \right)$、$\left( \frac{3}{4}, 0 \right)$、$(1, 1)$ を順に線分で結んだ折れ線(W字型)となる。

(2)

便宜上、$f_3(x) = f(f(f(x)))$ とおく。 (1) の考察から、$f(x)$ を合成するごとに、関数の定義域の各区間がさらに半分に分割され、各区間で $y$ の値が $0$ から $1$ (または $1$ から $0$)まで変化する線分が形成されることがわかる。 したがって、$y = f_3(x)$ のグラフは、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ を $2^3 = 8$ 等分した幅 $\frac{1}{8}$ の各区間において、$y$ の値が $0$ から $1$ または $1$ から $0$ へと直線的に変化する。

具体的には、$k = 0, 1, 2, \dots, 7$ として、各区間 $I_k = \left[ \frac{k}{8}, \frac{k+1}{8} \right]$ における $f_3(x)$ の方程式と、直線 $y = x$ との交点を調べる。

(ア) $k$ が偶数($k = 0, 2, 4, 6$)のとき

グラフは減少区間であり、点 $\left( \frac{k}{8}, 1 \right)$ と点 $\left( \frac{k+1}{8}, 0 \right)$ を結ぶ線分となる。この線分の傾きは $-8$ であるから、方程式は以下のようになる。

$$ y - 0 = -8 \left( x - \frac{k+1}{8} \right) \iff y = -8x + k + 1 $$

直線 $y = x$ との交点の $x$ 座標は

$$ -8x + k + 1 = x \iff x = \frac{k+1}{9} $$

この $x$ が区間 $I_k$ に含まれるか確認する。

$$ \frac{k}{8} < \frac{k+1}{9} < \frac{k+1}{8} $$

これは $9k < 8k + 8 \iff k < 8$、および $8k + 8 < 9k + 9 \iff -1 < k$ より、常に成り立つ。 よって、$4$ つの偶数 $k$ の区間それぞれにおいて、内部に $1$ つの交点を持つ。

(イ) $k$ が奇数($k = 1, 3, 5, 7$)のとき

グラフは増加区間であり、点 $\left( \frac{k}{8}, 0 \right)$ と点 $\left( \frac{k+1}{8}, 1 \right)$ を結ぶ線分となる。この線分の傾きは $8$ であるから、方程式は以下のようになる。

$$ y - 0 = 8 \left( x - \frac{k}{8} \right) \iff y = 8x - k $$

直線 $y = x$ との交点の $x$ 座標は

$$ 8x - k = x \iff x = \frac{k}{7} $$

この $x$ が区間 $I_k$ に含まれるか確認する。

$$ \frac{k}{8} < \frac{k}{7} \leqq \frac{k+1}{8} $$

$k > 0$ より左側の不等式は常に成り立つ。右側の不等式は $8k \leqq 7k + 7 \iff k \leqq 7$ より成り立つ。 等号が成立するのは $k = 7$ のときであり、このとき $x = 1$ となり区間 $I_7$ の右端点である。 その他の $k = 1, 3, 5$ では区間の内部に交点を持つ。

(ア), (イ) より、各区間における交点は互いに異なり、合計で $4 + 4 = 8$ 個存在する。

解法2

(2)

$y = f_3(x)$ のグラフと $y = x$ の交点の個数を、図形的な性質から求める。

区間 $I_k = \left[ \frac{k}{8}, \frac{k+1}{8} \right]$ ($k = 0, 1, \dots, 7$)を考える。 関数 $f_3(x)$ は各区間 $I_k$ において連続であり、その両端点での値は一方が $0$、もう一方が $1$ である。 一方、直線 $y = x$ のこの区間における値域は $\left[ \frac{k}{8}, \frac{k+1}{8} \right]$ であり、これは常に区間 $[0, 1]$ に含まれる。

直線 $y = x$ は原点 $(0,0)$ と点 $(1,1)$ を結ぶ傾き $1$ の直線である。 各区間 $I_k$ における $f_3(x)$ のグラフの傾きは $8$ または $-8$ であるため、傾き $1$ の直線 $y = x$ とは各区間で高々 $1$ 回しか交わらない。

中間値の定理より、関数 $h(x) = f_3(x) - x$ を考えると $h\left(\frac{k}{8}\right)$ と $h\left(\frac{k+1}{8}\right)$ は、一方が正でもう一方が負、または $0$ となる。 具体的に両端点を調べる。 $x = 0$ のとき、$f_3(0) = 1 > 0$ より交点ではない。 $x = 1$ のとき、$f_3(1) = 1 = 1$ より交点である。

その他の端点 $x = \frac{k}{8}$ ($k = 1, \dots, 7$)においては、$f_3\left(\frac{k}{8}\right)$ の値は $0$ か $1$ のいずれかであるが、$\frac{k}{8}$ は $0$ でも $1$ でもないため、端点で直線 $y = x$ と交わることはない。 したがって、$x = 1$ を除き、交点はすべて各区間 $I_k$ の内部に存在する。 以上より、$8$ つの各区間にそれぞれ $1$ つずつ交点が存在するため、合計は $8$ 個である。

解説

本問の関数 $f(x)$ は「テント写像」と呼ばれる有名な関数である。 $n$ 回合成した関数 $f_n(x)$ のグラフは、区間 $[0, 1]$ を $2^{n-1}$ 個の「V字」で埋め尽くすようなジグザグの折れ線になることが知られている。 (1) ではグラフを正確に描くことでその規則性に気づくことが重要である。 (2) では $f_3(x)$ の式をすべて記述するのは現実的ではないため、折れ線の各線分に着目して交点を数え上げるアプローチが求められる。解法1のように方程式で論理的に詰める方法と、解法2のように図形的性質(中間値の定理と傾きの関係)から証明する方法のどちらでもよい。

答え

(1) 点 $(0, 1)$、$\left( \frac{1}{4}, 0 \right)$、$\left( \frac{1}{2}, 1 \right)$、$\left( \frac{3}{4}, 0 \right)$、$(1, 1)$ を順に線分で結んだ折れ線。

(2) $8$ 個

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