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北海道大学 1965年 理系 第3問 解説

数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
北海道大学 1965年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) 2つの曲線の式から $x^2$ を消去し、$y$ の2次方程式を導く。交点が4つ存在するための条件を、「その2次方程式が特定の範囲に異なる2つの実数解をもつ条件(解の配置)」に帰着させる。 (2) 交点の $x$ 座標、$y$ 座標を文字で置き、台形の側面の辺の傾きから内角の正接 $m$ を立式する。解と係数の関係を用いて対称式を処理し、$m^2$ を $a, b$ のみで表す。 (3) (1)で求めた $a, b$ の存在範囲において、(2)の式のとりうる値を調べる。独立した2変数を扱うため、まずは $a$ を固定して $b$ を動かし、その後 $a$ を動かす(1文字固定法)。

解法1

(1)

与えられた2つの曲線の式は以下の通りである。

$$C_1 : x^2 + y^2 = a^2 \quad (0 < a < 2)$$

$$C_2 : y = x^2 - b \iff x^2 = y + b$$

$C_2$ の式を $C_1$ に代入して $x^2$ を消去すると、

$$y + b + y^2 = a^2 \iff y^2 + y + b - a^2 = 0$$

これを $y$ の2次方程式とみる。$f(y) = y^2 + y + b - a^2$ とおく。 2曲線が相異なる4点で交わるための条件は、$x^2 = y + b > 0$ より $y > -b$ を満たし、かつ $x^2 = a^2 - y^2 > 0$ より $-a < y < a$ を満たす範囲に、方程式 $f(y) = 0$ が異なる2つの実数解をもつことである。 したがって、$f(y) = 0$ は $-a < y < a$ かつ $y > -b$ の範囲に異なる2解をもたなければならない。

方程式 $f(y) = 0$ の判別式を $D$ とすると、実数解をもつ条件から

$$D = 1^2 - 4(b - a^2) > 0 \iff b < a^2 + \frac{1}{4}$$

放物線 $z = f(y)$ の軸の方程式は $y = -\frac{1}{2}$ である。これが区間 $-a < y < a$ に含まれる必要があるので、

$$-a < -\frac{1}{2} < a \iff a > \frac{1}{2}$$

区間の端点における条件は、

$$f(-a) = (-a)^2 - a + b - a^2 = b - a > 0 \iff b > a$$

$$f(a) = a^2 + a + b - a^2 = b + a > 0$$

$a > \frac{1}{2}$ かつ $b > a$ のもとでは、$f(a) > 0$ は常に成り立つ。 さらに、2解は $y > -b$ も満たさなければならない。 軸の位置について、$-b < -\frac{1}{2} \iff b > \frac{1}{2}$ であるが、これは $b > a > \frac{1}{2}$ より満たされる。 端点 $y = -b$ における条件は、

$$f(-b) = (-b)^2 - b + b - a^2 = b^2 - a^2 > 0$$

これも $b > a > 0$ より常に成り立つ。

以上をまとめると、求める条件は $a > \frac{1}{2}$ かつ $b > a$ かつ $b < a^2 + \frac{1}{4}$ である。 問題の条件 $0 < a < 2$ と合わせると、点 $(a, b)$ の存在する範囲は、

$$\frac{1}{2} < a < 2 \quad \text{かつ} \quad a < b < a^2 + \frac{1}{4}$$

図示する領域は、$a$-軸を横軸、$b$-軸を縦軸とした平面において、放物線 $b = a^2 + \frac{1}{4}$ の下側かつ直線 $b = a$ の上側の領域であり、$a$ の範囲を $\frac{1}{2} < a < 2$ に制限した部分である。境界線である放物線と直線は点 $\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)$ で接する。(境界線はすべて含まない)

(2)

方程式 $y^2 + y + b - a^2 = 0$ の異なる2つの実数解を $y_1, y_2 \quad (y_1 < y_2)$ とする。 解と係数の関係より、

$$y_1 + y_2 = -1$$

$$y_1 y_2 = b - a^2$$

交点の $x$ 座標は $x = \pm\sqrt{y + b}$ であるから、$x_1 = \sqrt{y_1 + b}$、$x_2 = \sqrt{y_2 + b}$ とおくと、$x_1 > x_2 > 0$ となる。 4つの交点は $(\pm x_1, y_1), (\pm x_2, y_2)$ と表せる。 これらを頂点とする等脚台形について、側面の辺の傾きは $\pm\frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}$ などの形になる。 等脚台形の下底と上底は $x$ 軸に平行であるため、内角の正接 $m$ について、$m^2$ は側面の辺の傾きの2乗に等しい。

$$m^2 = \left( \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} \right)^2 = \frac{(y_2 - y_1)^2}{(x_2 - x_1)^2}$$

分子と分母をそれぞれ計算する。

$$(y_2 - y_1)^2 = (y_1 + y_2)^2 - 4y_1 y_2 = 1 - 4(b - a^2) = 4a^2 - 4b + 1$$

$$(x_2 - x_1)^2 = x_1^2 + x_2^2 - 2x_1 x_2 = y_1 + b + y_2 + b - 2\sqrt{(y_1 + b)(y_2 + b)}$$

ここで、根号の中身を展開すると、

$$(y_1 + b)(y_2 + b) = y_1 y_2 + b(y_1 + y_2) + b^2 = b - a^2 - b + b^2 = b^2 - a^2$$

よって、

$$(x_2 - x_1)^2 = -1 + 2b - 2\sqrt{b^2 - a^2}$$

したがって、$m^2$ は以下のようになる。

$$m^2 = \frac{4a^2 - 4b + 1}{2b - 1 - 2\sqrt{b^2 - a^2}}$$

分母を有理化するため、分母・分子に $2b - 1 + 2\sqrt{b^2 - a^2}$ をかける。分母は次のように計算できる。

$$(2b - 1)^2 - 4(b^2 - a^2) = 4b^2 - 4b + 1 - 4b^2 + 4a^2 = 4a^2 - 4b + 1$$

これは分子と一致するため約分され、最終的に以下の式を得る。

$$m^2 = 2b - 1 + 2\sqrt{b^2 - a^2}$$

(3)

(1)で求めた領域内で、(2)の式のとりうる値の範囲を調べる。 まずは $a$ を固定して、$b$ を $a < b < a^2 + \frac{1}{4}$ の範囲で動かす。 $f(b) = 2b - 1 + 2\sqrt{b^2 - a^2}$ とおき、$b$ で微分する。

$$f'(b) = 2 + 2 \cdot \frac{2b}{2\sqrt{b^2 - a^2}} = 2 \left( 1 + \frac{b}{\sqrt{b^2 - a^2}} \right)$$

$b > a > 0$ であるため、$f'(b) > 0$ となり、$f(b)$ は単調増加関数である。 したがって、$f(b)$ のとりうる値の範囲は、区間の両端での極限値を調べることで得られる。

$$b \to a \text{ のとき } f(b) \to 2a - 1 + 2\sqrt{a^2 - a^2} = 2a - 1$$

$$b \to a^2 + \frac{1}{4} \text{ のとき}$$

根号の中身について、

$$b^2 - a^2 = \left(a^2 + \frac{1}{4}\right)^2 - a^2 = a^4 - \frac{1}{2}a^2 + \frac{1}{16} = \left(a^2 - \frac{1}{4}\right)^2$$

$a > \frac{1}{2}$ より $a^2 > \frac{1}{4}$ であるから、$\sqrt{b^2 - a^2} = a^2 - \frac{1}{4}$ となる。よって、

$$f\left(a^2 + \frac{1}{4}\right) = 2\left(a^2 + \frac{1}{4}\right) - 1 + 2\left(a^2 - \frac{1}{4}\right) = 4a^2 - 1$$

以上より、$a$ を固定したときの $m^2$ の範囲は $2a - 1 < m^2 < 4a^2 - 1$ となる。

次に、$a$ を $\frac{1}{2} < a < 2$ の範囲で動かしたときの、この区間の和集合を考える。 $L(a) = 2a - 1$, $U(a) = 4a^2 - 1$ とおく。 $L(a)$ と $U(a)$ はともに $a > \frac{1}{2}$ において単調増加関数であり、常に $L(a) < U(a)$ を満たす。 $a \to \frac{1}{2}$ のとき $L(a) \to 0$、$U(a) \to 0$ となる。 $a \to 2$ のとき $L(a) \to 3$、$U(a) \to 15$ となる。 区間 $(L(a), U(a))$ は $a$ の変化に伴って連続的に移動し、重なりながら広がるため、全体としての和集合は $0 < m^2 < 15$ となる。

解説

(1)は、連立方程式から一方の文字を消去し、2次方程式の解の配置問題(解の存在範囲)に帰着させる典型的な手法である。必要な条件(判別式、軸の位置、端点の符号)を漏れなく調べることが重要である。 (2)は解と係数の関係を用いた対称式の処理である。分母の有理化(共役な無理数をかける操作)によって、式が劇的に簡約化される構成になっている。 (3)は2変数関数の値域を求める問題で、1つの変数を固定して関数を評価し、その後でもう1つの変数を動かす「1文字固定法(予選決勝法)」が有効である。

答え

(1) 領域は $\frac{1}{2} < a < 2$ かつ $a < b < a^2 + \frac{1}{4}$ を満たす部分。(境界を含まない) (2) $m^2 = 2b - 1 + 2\sqrt{b^2 - a^2}$ (3) $0 < m^2 < 15$

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