トップ 北海道大学 1992年 理系 第5問

北海道大学 1992年 理系 第5問 解説

数学3/積分法数学B/数列数学3/極限テーマ/不等式の証明テーマ/定積分計算
北海道大学 1992年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) 積分区間が $0 \leqq x \leqq 1$ であることに着目し、被積分関数 $x^p(1-x)^q$ を上から評価します。$x^p$ の最大値を考えるのが手っ取り早いです。

(2) まずは $a_n$ の式にある積分を扱いやすい形に変形するため、$x = nt$ と置換積分を行い、積分区間を $0$ から $1$ に揃えます。無限級数を直接計算するのではなく、第 $N$ 項までの部分和 $S_N$ を考え、和と積分の順序を交換して計算を進めます。その際、(1) の不等式が極限の計算(はさみうちの原理)で活躍します。

解法1

(1)

積分区間は $0 \leqq x \leqq 1$ である。

このとき、$p > 0$ であるから、

$$ 0 \leqq x^p \leqq 1 $$

が成り立つ。また、$q > 0$ より $(1-x)^q \geqq 0$ であるから、各辺に $(1-x)^q$ を掛けると、

$$ 0 \leqq x^p(1-x)^q \leqq (1-x)^q $$

が成り立つ。両辺を $0$ から $1$ まで積分すると、

$$ \int_0^1 x^p(1-x)^q dx \leqq \int_0^1 (1-x)^q dx $$

となる。右辺の定積分を計算すると、

$$ \begin{aligned} \int_0^1 (1-x)^q dx &= \left[ -\frac{(1-x)^{q+1}}{q+1} \right]_0^1 \\ &= 0 - \left( -\frac{1}{q+1} \right) \\ &= \frac{1}{q+1} \end{aligned} $$

となる。したがって、

$$ \int_0^1 x^p(1-x)^q dx \leqq \frac{1}{q+1} $$

が示された。

(2)

与えられた $a_n$ の式について、積分を計算する。

$x = nt$ とおくと、$dx = n dt$ であり、積分区間は $x$ が $0$ から $n$ に変化するとき、$t$ は $0$ から $1$ に変化する。

これを用いて置換積分を行うと、

$$ \begin{aligned} a_n &= \frac{1}{n^{s+1}} \int_0^n x^s \left(1 - \frac{x}{n}\right)^n dx \\ &= \frac{1}{n^{s+1}} \int_0^1 (nt)^s (1-t)^n n dt \\ &= \frac{1}{n^{s+1}} \cdot n^{s+1} \int_0^1 t^s (1-t)^n dt \\ &= \int_0^1 t^s (1-t)^n dt \end{aligned} $$

となる。

次に、無限級数の第 $N$ 項までの部分和を $S_N$ とおくと、

$$ \begin{aligned} S_N &= \sum_{n=1}^N a_n \\ &= \sum_{n=1}^N \int_0^1 t^s (1-t)^n dt \\ &= \int_0^1 \left\{ \sum_{n=1}^N t^s (1-t)^n \right\} dt \end{aligned} $$

となる。被積分関数における和は、初項 $t^s(1-t)$、公比 $1-t$、項数 $N$ の等比数列の和である。積分区間 $(0, 1)$ において $1-t \neq 1$ であるから、

$$ \begin{aligned} \sum_{n=1}^N t^s (1-t)^n &= \frac{t^s(1-t) \{ 1 - (1-t)^N \}}{1 - (1-t)} \\ &= \frac{t^s(1-t) \{ 1 - (1-t)^N \}}{t} \\ &= t^{s-1}(1-t) - t^{s-1}(1-t)^{N+1} \end{aligned} $$

となる。これを $S_N$ の式に代入すると、

$$ S_N = \int_0^1 \left\{ t^{s-1}(1-t) - t^{s-1}(1-t)^{N+1} \right\} dt $$

ここで、$s > 1$ より $s-1 > 0$ であるから、第1項の積分は、

$$ \begin{aligned} \int_0^1 t^{s-1}(1-t) dt &= \int_0^1 (t^{s-1} - t^s) dt \\ &= \left[ \frac{t^s}{s} - \frac{t^{s+1}}{s+1} \right]_0^1 \\ &= \frac{1}{s} - \frac{1}{s+1} \\ &= \frac{1}{s(s+1)} \end{aligned} $$

となる。

第2項の積分については、$s-1 > 0$、$N+1 > 0$ であるから、(1) で示した不等式において $p = s-1$、$q = N+1$ とすると、

$$ 0 \leqq \int_0^1 t^{s-1}(1-t)^{N+1} dt \leqq \frac{1}{(N+1)+1} = \frac{1}{N+2} $$

が成り立つ。

$\lim_{N \to \infty} \frac{1}{N+2} = 0$ であるから、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{N \to \infty} \int_0^1 t^{s-1}(1-t)^{N+1} dt = 0 $$

となる。

以上より、求める無限級数の和は、

$$ \begin{aligned} \sum_{n=1}^\infty a_n &= \lim_{N \to \infty} S_N \\ &= \lim_{N \to \infty} \left\{ \frac{1}{s(s+1)} - \int_0^1 t^{s-1}(1-t)^{N+1} dt \right\} \\ &= \frac{1}{s(s+1)} - 0 \\ &= \frac{1}{s(s+1)} \end{aligned} $$

となる。

解説

(1) は積分区間における被積分関数の最大値を評価する基本的な問題です。この結果を (2) で利用するという明確な誘導になっています。

(2) では、無限級数を求めるために「部分和を求めてから極限をとる」という定石に従います。積分記号と和の記号($\sum$)の順序を入れ替え、先に有限項の和を計算してしまうことが最大のポイントです。残った剰余項の極限を求める際に、(1) で証明した不等式がそのまま適用できるようになっています。置換積分を行って式の見通しを良くすることが初手として非常に重要でした。

答え

(1) 題意の通り証明された。

(2)

$$ \frac{1}{s(s+1)} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。