北海道大学 2000年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) 与えられた関数 $f(x)$ とその導関数 $f'(x)$ に対して、条件 $(*)$ の値を代入し、未定係数を決定する連立方程式を立てます。まず $f(0), f'(0)$ の条件から $c, d$ が定まり、次に $f(t), f'(t)$ の条件から $a, b$ についての連立方程式を解きます。
(2) (1)で求めた $a, b$ を $a \leqq 0, b \leqq 0$ に代入し、$p, q$ についての不等式を導きます。$p \geqq 0$ と合わせて $pq$ 平面上の領域を図示し、その形状から面積 $S$ を計算します。領域は三角形になります。
(3) (2)で求めた面積 $S$ を $t$ の関数として整理します。形を整えると、相加平均と相乗平均の大小関係が利用できる形になるため、これを用いて最小値とそのときの $t$ の値を求めます。微分を用いて増減を調べても構いません。
解法1
(1)
$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ より、導関数は以下のようになります。
$$ f'(x) = 3ax^2 + 2bx + c $$
条件 $f(0) = 1$ および $f'(0) = 2$ より、
$$ \begin{cases} f(0) = d = 1 \\ f'(0) = c = 2 \end{cases} $$
よって、$c = 2, d = 1$ です。これを $f(x), f'(x)$ に代入すると、
$$ \begin{cases} f(x) = ax^3 + bx^2 + 2x + 1 \\ f'(x) = 3ax^2 + 2bx + 2 \end{cases} $$
となります。次に、条件 $f(t) = p$ および $f'(t) = q$ を用いると、
$$ \begin{cases} at^3 + bt^2 + 2t + 1 = p & \cdots \text{①} \\ 3at^2 + 2bt + 2 = q & \cdots \text{②} \end{cases} $$
これが成り立ちます。これらを $a, b$ についての連立方程式として解きます。 ①の両辺を2倍し、②の両辺に $t$ を掛けたものの差をとります($\text{①} \times 2 - \text{②} \times t$)。
$$ (2at^3 + 2bt^2 + 4t + 2) - (3at^3 + 2bt^2 + 2t) = 2p - qt $$
$$ -at^3 + 2t + 2 = 2p - qt $$
$a$ について解くと、
$$ at^3 = qt - 2p + 2t + 2 $$
$t > 0$ より $t^3 \neq 0$ であるから、
$$ a = \frac{-2p + qt + 2t + 2}{t^3} $$
次に、①の両辺を3倍し、②の両辺に $t$ を掛けたものの差をとります($\text{①} \times 3 - \text{②} \times t$)。
$$ (3at^3 + 3bt^2 + 6t + 3) - (3at^3 + 2bt^2 + 2t) = 3p - qt $$
$$ bt^2 + 4t + 3 = 3p - qt $$
$b$ について解くと、
$$ bt^2 = 3p - qt - 4t - 3 $$
$t > 0$ より $t^2 \neq 0$ であるから、
$$ b = \frac{3p - qt - 4t - 3}{t^2} $$
(2)
(1)で求めた $a, b$ を条件 $a \leqq 0, b \leqq 0$ に代入します。$t > 0$ であることに注意して変形します。
$a \leqq 0$ より、
$$ \frac{-2p + qt + 2t + 2}{t^3} \leqq 0 $$
$$ -2p + qt + 2t + 2 \leqq 0 $$
$q$ について整理すると、
$$ qt \leqq 2p - 2t - 2 $$
$$ q \leqq \frac{2}{t}p - \frac{2t+2}{t} \quad \cdots \text{③} $$
同様に、$b \leqq 0$ より、
$$ \frac{3p - qt - 4t - 3}{t^2} \leqq 0 $$
$$ 3p - qt - 4t - 3 \leqq 0 $$
$q$ について整理すると、
$$ qt \geqq 3p - 4t - 3 $$
$$ q \geqq \frac{3}{t}p - \frac{4t+3}{t} \quad \cdots \text{④} $$
条件 $p \geqq 0$ と ③、④ を同時にみたす点 $(p, q)$ の領域は、直線 $q = \frac{2}{t}p - \frac{2t+2}{t}$ の下側(境界含む)、直線 $q = \frac{3}{t}p - \frac{4t+3}{t}$ の上側(境界含む)、および $y$ 軸の右側(境界含む)の共通部分となります。
2つの直線の交点を求めます。
$$ \frac{2}{t}p - \frac{2t+2}{t} = \frac{3}{t}p - \frac{4t+3}{t} $$
$$ \frac{1}{t}p = \frac{4t+3}{t} - \frac{2t+2}{t} = \frac{2t+1}{t} $$
よって、$p = 2t + 1$ となります。これを直線の方程式に代入すると、
$$ q = \frac{2}{t}(2t+1) - \frac{2t+2}{t} = \frac{4t+2-2t-2}{t} = \frac{2t}{t} = 2 $$
交点の座標は $(2t+1, 2)$ となります。
また、それぞれの直線の $p=0$ における $q$ 切片は、 ③の直線:$q = -\frac{2t+2}{t} = -2 - \frac{2}{t}$ ④の直線:$q = -\frac{4t+3}{t} = -4 - \frac{3}{t}$ $t > 0$ より、$-\frac{2t+2}{t} > -\frac{4t+3}{t}$ となるため、図示する領域は3点 $(0, -\frac{2t+2}{t})$, $(0, -\frac{4t+3}{t})$, $(2t+1, 2)$ を頂点とする三角形の周および内部となります。図は省略しますが、$pq$ 平面上の第1象限と第4象限にまたがる三角形です。
この三角形の面積 $S$ は、$y$ 軸上の線分を底辺とみると、底辺の長さは $y$ 切片の差、高さは交点の $p$ 座標となります。
$$ S = \frac{1}{2} \times \left( -\frac{2t+2}{t} - \left( -\frac{4t+3}{t} \right) \right) \times (2t+1) $$
$$ S = \frac{1}{2} \times \left( \frac{2t+1}{t} \right) \times (2t+1) $$
$$ S = \frac{(2t+1)^2}{2t} $$
(3)
(2)で求めた $S$ の式を展開して整理します。
$$ S = \frac{4t^2 + 4t + 1}{2t} = 2t + 2 + \frac{1}{2t} $$
$t > 0$ であるから、$2t > 0$ かつ $\frac{1}{2t} > 0$ です。相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ 2t + \frac{1}{2t} \geqq 2\sqrt{2t \cdot \frac{1}{2t}} = 2\sqrt{1} = 2 $$
が成り立ちます。したがって、$S$ の最小値については以下が成り立ちます。
$$ S = 2t + \frac{1}{2t} + 2 \geqq 2 + 2 = 4 $$
等号が成立するのは、$2t = \frac{1}{2t}$ のときです。
$$ 4t^2 = 1 $$
$t > 0$ であるから、
$$ t = \frac{1}{2} $$
のときに等号が成立します。よって、$S$ は $t = \frac{1}{2}$ のとき最小値 $4$ をとります。
解説
(1) は未定係数を決定する基本的な問題です。$f(0), f'(0)$ の条件から $c, d$ が即座に求まることに気づけば、あとは $a, b$ の連立1次方程式を解くだけです。文字定数が多く含まれますが、落ち着いて計算しましょう。 (2) は(1)の結果から領域を図示し、面積を求める問題です。$t > 0$ という条件が効いており、不等式を $q$ について解く際に不等号の向きが変わらないこと、および $y$ 切片の大小関係が確定することがポイントです。 (3) は分数の形をした関数の最小値を求める典型的な問題です。分子の次数が分母の次数より高い場合は、分子を分母で割り算して式を分割するのが定石です。その結果、互いに逆数の形をした項が現れるため、相加平均と相乗平均の大小関係を用いるのが最も簡潔な解法となります。理系であれば微分して増減表を書くことも可能ですが、式変形により相加相乗平均が使える形に持ち込む方が計算ミスを防ぎやすくなります。
答え
(1) $c=2, d=1$, $a = \frac{-2p+qt+2t+2}{t^3}, b = \frac{3p-qt-4t-3}{t^2}$ (2) $S = \frac{(2t+1)^2}{2t}$ (図示は省略) (3) $t = \frac{1}{2}$ のとき、最小値 $4$
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