大阪大学 2017年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた条件 $0 \leqq f(1) \leqq 2$ と $5 \leqq f(3) \leqq 6$ を、係数 $b, c$ に関する不等式として立式する。 (1) では $f(4)$ を $b, c$ で表し、条件式からとりうる範囲を求める。式の巧みな変形によって直接評価するか、独立変数に置き換えて最大・最小を考える。 (2) は頂点の $y$ 座標を $b, c$ で表し、(1) で考えた $b, c$ の条件から最大値・最小値を求める2変数関数の値域問題となる。$bc$ 平面における領域を図示し、図形的な共有点条件に帰着させると見通しが良い。 (3) は放物線の $x^2$ の係数が $-1$ で定数であることに着目する。頂点の $y$ 座標のみから、$x$ 軸が切り取る線分の長さが $b$ に依存せず定まることを利用して面積を直接計算する。
解法1
(1)
$f(x) = -x^2 + bx + c$ より、
$$ f(1) = b + c - 1 $$
$$ f(3) = 3b + c - 9 $$
したがって、与えられた条件は
$$ 1 \leqq b+c \leqq 3 \quad \cdots \text{①} $$
$$ 14 \leqq 3b+c \leqq 15 \quad \cdots \text{②} $$
となる。
ここで、$f(4)$ を $f(1), f(3)$ の1次結合で表すことを考える。 $f(4) = -16 + 4b + c$ であり、$4b+c = s(b+c) + t(3b+c)$ とおくと、係数を比較して
$$ s + 3t = 4, \quad s + t = 1 $$
これを解いて $s = -\frac{1}{2}, t = \frac{3}{2}$ を得る。
よって、$4b+c = -\frac{1}{2}(b+c) + \frac{3}{2}(3b+c)$ と表せるので、
$$ f(4) + 16 = -\frac{1}{2}(f(1) + 1) + \frac{3}{2}(f(3) + 9) $$
$$ f(4) = -\frac{1}{2}f(1) + \frac{3}{2}f(3) - 3 $$
条件 $0 \leqq f(1) \leqq 2$ より、$-1 \leqq -\frac{1}{2}f(1) \leqq 0$ 条件 $5 \leqq f(3) \leqq 6$ より、$\frac{15}{2} \leqq \frac{3}{2}f(3) \leqq 9$
$b, c$ がすべての実数を動くとき、$f(1)$ と $f(3)$ は独立にすべての実数値をとりうるため、上の2つの不等式の各辺を足し合わせることができる。
$$ \frac{13}{2} \leqq -\frac{1}{2}f(1) + \frac{3}{2}f(3) \leqq 9 $$
各辺から $3$ を引いて、
$$ \frac{7}{2} \leqq f(4) \leqq 6 $$
(2)
$f(x) = -\left(x - \frac{b}{2}\right)^2 + \frac{b^2}{4} + c$ より、頂点の $y$ 座標 $q$ は
$$ q = \frac{b^2}{4} + c $$
条件①、②を満たす $bc$ 平面上の領域を $D$ とすると、$D$ は4直線 $c = -b+1$、$c = -b+3$、$c = -3b+14$、$c = -3b+15$ で囲まれた平行四辺形の周および内部である。
この領域 $D$ の頂点は、境界線の連立方程式を解いて以下の4点となる。 A $\left(\frac{13}{2}, -\frac{11}{2}\right)$、B $(7, -6)$、C $(6, -3)$、D $\left(\frac{11}{2}, -\frac{5}{2}\right)$
ここで、$q = \frac{b^2}{4} + c$ より $c = -\frac{b^2}{4} + q$ と変形できる。 これは $bc$ 平面において、上に凸の放物線を表し、$q$ はその $c$ 切片(頂点の $c$ 座標)である。この放物線が領域 $D$ と共有点をもつような $q$ の最大値と最小値を求める。
放物線 $c = -\frac{b^2}{4} + q$ と直線 $c = -3b + k$ が接する条件を考える。
$$ -\frac{b^2}{4} + q = -3b + k \iff b^2 - 12b + 4(k-q) = 0 $$
判別式を考えて、
$$ \frac{D}{4} = 36 - 4(k-q) = 0 \iff q = k - 9 $$
このときの接点の $b$ 座標は $b = 6$ である。
$k=14$(直線 AD を含む直線)のとき、接点は $(6, -4)$ となり、これは線分 AD 上に存在する。($b$ 座標が $\frac{11}{2} \leqq 6 \leqq \frac{13}{2}$ を満たすため) このとき $q = 5$ であり、放物線が最も下に位置するため、これが $q$ の最小値となる。
一方、$q$ が最大となるのは、放物線が領域 $D$ の右下の境界を通るときである。各頂点における $q$ の値は、 A: $q = \frac{1}{4}\left(\frac{13}{2}\right)^2 - \frac{11}{2} = \frac{81}{16}$ B: $q = \frac{1}{4}(7)^2 - 6 = \frac{25}{4}$ C: $q = \frac{1}{4}(6)^2 - 3 = 6$ D: $q = \frac{1}{4}\left(\frac{11}{2}\right)^2 - \frac{5}{2} = \frac{81}{16}$
よって最大値は頂点 B を通るときの $\frac{25}{4}$ である。 以上より、
$$ 5 \leqq q \leqq \frac{25}{4} $$
(3)
頂点の $y$ 座標が $q = 6$ のとき、$f(x)$ は $x$ の係数や定数項によらず、
$$ f(x) = -\left(x - \frac{b}{2}\right)^2 + 6 $$
と表せる。
放物線 $y = f(x)$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標は、$f(x) = 0$ を解いて、
$$ \left(x - \frac{b}{2}\right)^2 = 6 \iff x = \frac{b}{2} \pm \sqrt{6} $$
交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とすると、
$$ \alpha = \frac{b}{2} - \sqrt{6}, \quad \beta = \frac{b}{2} + \sqrt{6} $$
であり、$\beta - \alpha = 2\sqrt{6}$ となる。
求める面積 $S$ は、放物線と $x$ 軸が囲む部分であるから、いわゆる 1/6 公式を用いて以下のように計算できる。
$$ \begin{aligned} S &= \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ -\left(x - \frac{b}{2}\right)^2 + 6 \right\} dx \\ &= \int_{\alpha}^{\beta} -(x - \alpha)(x - \beta) dx \\ &= \frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3 \\ &= \frac{1}{6}(2\sqrt{6})^3 \\ &= \frac{1}{6} \cdot 8 \cdot 6\sqrt{6} \\ &= 8\sqrt{6} \end{aligned} $$
解法2
(1)の別解
(1)の条件から得られた不等式
$$ 1 \leqq b+c \leqq 3 \quad \cdots \text{①} $$
$$ 14 \leqq 3b+c \leqq 15 \quad \cdots \text{②} $$
に対して、$u = b+c, v = 3b+c$ とおくと、$1 \leqq u \leqq 3, 14 \leqq v \leqq 15$ となる。
これらを $b, c$ について解くと、
$$ b = \frac{v-u}{2}, \quad c = \frac{3u-v}{2} $$
$f(4)$ を $u, v$ で表すと、
$$ f(4) = -16 + 4b + c = -16 + 4\left(\frac{v-u}{2}\right) + \frac{3u-v}{2} = \frac{3v - u}{2} - 16 $$
$u, v$ は互いに独立に動くので、$\frac{3v - u}{2}$ を最大化するには $v$ を最大、$u$ を最小にすればよく、最小化するには $v$ を最小、$u$ を最大にすればよい。
最大値:$v = 15, u = 1$ のとき、$\frac{45 - 1}{2} - 16 = 6$ 最小値:$v = 14, u = 3$ のとき、$\frac{42 - 3}{2} - 16 = \frac{7}{2}$
よって、
$$ \frac{7}{2} \leqq f(4) \leqq 6 $$
解説
本問は、関数の値から係数の条件を絞り込み、別の関数値や頂点の座標を評価する典型的な問題であるが、各小問で要求される処理の視点が異なる良問である。
(1)について 代数的に $f(4)$ を $f(1), f(3)$ の1次結合で表現する手法(解法1)は計算量が少なく、独立変数の範囲をそのまま足し合わせるだけで済むため非常に有効である。また、解法2のように独立な2変数 $u, v$ に置き換えて最大・最小を求める手法も、文字の消去という観点から汎用性が高い。
(2)について 係数 $b, c$ の存在領域を $bc$ 平面上に図示し、$q = \frac{b^2}{4} + c$ という「放物線束」と「領域」の共有点条件に帰着させるのが最も視覚的で見通しが良い。線形計画法における「直線 $y = -x + k$ の $y$ 切片の最大・最小」を問う問題の応用形(非線形版)といえる。境界との「接する場合」が最小値を与えることに注意したい。
(3)について (2)の流れから $(b, c)$ の値を具体的に決定しようとすると本質を見失う。放物線 $y = -x^2 + bx + c$ は、平行移動すればすべて $y = -x^2$ に重なる。したがって、頂点の $y$ 座標 $q$ が定まれば、放物線が $x$ 軸から切り取る線分の長さは一意に定まる。1/6公式を用いることで、$b$ に依存せず直ちに面積が計算できるという鮮やかな結末となっている。
答え
(1)
$\frac{7}{2} \leqq f(4) \leqq 6$
(2)
$5 \leqq q \leqq \frac{25}{4}$
(3)
$S = 8\sqrt{6}$
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