トップ 京都大学 1979年 文系 第1問

京都大学 1979年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学A/場合の数テーマ/図形総合
京都大学 1979年 文系 第1問 解説

方針・初手

「選び方によらず一定の点を通る」という事象を示す問題では、図形全体の情報を集約した点(例えば全体の重心など)がその定点になることが多い。 任意の点を原点として各点の位置ベクトルを文字で置き、選んだ $3$ 点の重心と残りの $3$ 点の重心の位置ベクトルをそれぞれ立式する。それら $2$ つの重心を結ぶ直線上にある点(特に中点)に着目し、その位置ベクトルが $3$ 点の選び方に依存しない固定された式になることを示す。

解法1

平面上に任意の原点 $O$ をとる。 $6$ つの定点 $A_k$ ($k=1, 2, 3, 4, 5, 6$) の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a_k}$ とおく。 $6$ 点の中から任意に選んだ $3$ 点を $A_p, A_q, A_r$ とし、残りの $3$ 点を $A_s, A_t, A_u$ とする。

$\triangle A_p A_q A_r$ の重心を $G_1$、$\triangle A_s A_t A_u$ の重心を $G_2$ とし、それぞれの位置ベクトルを $\vec{g_1}, \vec{g_2}$ とすると、重心の公式より

$$ \vec{g_1} = \frac{\vec{a_p} + \vec{a_q} + \vec{a_r}}{3} $$

$$ \vec{g_2} = \frac{\vec{a_s} + \vec{a_t} + \vec{a_u}}{3} $$

となる。 直線 $G_1 G_2$ は当然、線分 $G_1 G_2$ の中点を通る。この中点を $M$ とし、その位置ベクトルを $\vec{m}$ とすると、

$$ \vec{m} = \frac{\vec{g_1} + \vec{g_2}}{2} $$

$$ \vec{m} = \frac{1}{2} \left( \frac{\vec{a_p} + \vec{a_q} + \vec{a_r}}{3} + \frac{\vec{a_s} + \vec{a_t} + \vec{a_u}}{3} \right) $$

$$ \vec{m} = \frac{\vec{a_p} + \vec{a_q} + \vec{a_r} + \vec{a_s} + \vec{a_t} + \vec{a_u}}{6} $$

ここで、$A_p, A_q, A_r, A_s, A_t, A_u$ は $6$ つの定点 $A_1, A_2, A_3, A_4, A_5, A_6$ を過不足なく並べ替えたものであるから、和の順序を入れ替えて

$$ \vec{m} = \frac{\vec{a_1} + \vec{a_2} + \vec{a_3} + \vec{a_4} + \vec{a_5} + \vec{a_6}}{6} $$

となる。 この位置ベクトル $\vec{m}$ の式には、どの $3$ 点を選んだかを表す添字 $p, q, r, s, t, u$ が含まれていない。すなわち、点 $M$ の位置は最初の $6$ つの定点の位置のみによって決まる定ベクトルである。 したがって、点 $M$ は $3$ 点の選びかたに無関係な一定の点である。

選んだ $3$ 点を頂点とする三角形の重心と、残りの $3$ 点を頂点とする三角形の重心を通る直線は、常にこの一定の点 $M$ を通ることが示された。

解説

ベクトルの威力が発揮される典型的な図形問題である。 「部分に分けたものの重心」のさらに「重心(中点)」を計算すると、「全体の重心」に一致するという物理的にも自然な性質を、ベクトルの計算によって簡潔に証明できる。「選び方によらない」ことを示すには、立式した結果から「選び方を示す変数」が消去されることを見せればよい。

答え

選んだ $3$ 点を頂点とする三角形の重心と、残りの $3$ 点を頂点とする三角形の重心を結ぶ線分の中点は、$6$ 点全体の位置ベクトルの相加平均で表される点に一致し、これは選び方によらず一定である。したがって、この直線は常にこの定点($6$ 点の重心)を通ることが示された。

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。