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京都大学 1982年 文系 第4問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/図形総合
京都大学 1982年 文系 第4問 解説

方針・初手

$A^2 = I$ ($I$ は単位行列)を満たす行列 $A$ について、ケーリー・ハミルトンの定理と条件 $b \neq 0$ を組み合わせて、行列 $A$ の成分の間に成り立つ関係式($a+d=0, \ a^2+bc=1$)を導くことが出発点である。 (1) では、点 $P(x,y)$ とその像 $Q(x',y')$ の中点の座標を $(X,Y)$ として計算し、$X, Y$ が $x, y$ の値によらずに満たす1次方程式を見つける。 (2) では、ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ と直線 $l$ の方向ベクトルの内積を計算し、それが任意の $(x,y)$ に対して $0$ になるための条件を求める。

解法1

(1) 行列 $A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}$ について、ケーリー・ハミルトンの定理より

$$ A^2 - (a+d)A + (ad-bc)I = O \quad (I \text{ は単位行列}) $$

条件より $A^2 = I$ であるから、これを代入して

$$ I - (a+d)A + (ad-bc)I = O \iff (a+d)A = (1+ad-bc)I $$

ここで、$a+d \neq 0$ と仮定すると、$A = \frac{1+ad-bc}{a+d}I$ となり、行列 $A$ は単位行列の実数倍となる。 このとき $A$ の $(1,2)$ 成分である $b$ は $0$ となるが、これは条件 $b \neq 0$ に矛盾する。 したがって、$a+d = 0$ でなければならない。 このとき $d = -a$ であり、上式は $(1-a^2-bc)I = O$ となるため、$a^2+bc = 1$ が成り立つ。 よって、行列 $A$ は $A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & -a \end{pmatrix}$ と表せる。

点 $P(x, y)$ の像 $Q(x', y')$ は、

$$ \begin{pmatrix} x' \\ y' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} a & b \\ c & -a \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} ax+by \\ cx-ay \end{pmatrix} $$

線分 $PQ$ の中点を $M(X, Y)$ とすると、

$$ X = \frac{x+x'}{2} = \frac{(a+1)x+by}{2} $$

$$ Y = \frac{y+y'}{2} = \frac{cx+(1-a)y}{2} $$

点 $P(x,y)$ の取り方によらない $X, Y$ の関係式を導くため、$x, y$ を消去するように式を組み合わせる。

$$ \begin{aligned} (1-a)X - bY &= \frac{(1-a)(a+1)x + b(1-a)y}{2} - \frac{bcx + b(1-a)y}{2} \\ &= \frac{(1-a^2)x - bcx}{2} \\ &= \frac{(1-a^2-bc)x}{2} \end{aligned} $$

ここで $a^2+bc = 1 \iff 1-a^2-bc = 0$ であるから、

$$ (1-a)X - bY = 0 $$

条件より $b \neq 0$ であるため、この方程式は原点を通る直線を表す。 したがって、中点 $M(X,Y)$ は点 $P$ の位置によらず、原点を通る定直線 $l: (1-a)x - by = 0$ 上にあることが示された。

(2) (1) より、定直線 $l$ の方程式は $(1-a)x - by = 0$ であり、方向ベクトルの一つとして $\vec{v} = \begin{pmatrix} b \\ 1-a \end{pmatrix}$ がとれる。 ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ の成分は、

$$ \overrightarrow{PQ} = \begin{pmatrix} x' - x \\ y' - y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} (a-1)x + by \\ cx - (a+1)y \end{pmatrix} $$

線分 $PQ$ がつねに定直線 $l$ と垂直であるための必要十分条件は、任意の $(x,y)$ に対して内積 $\overrightarrow{PQ} \cdot \vec{v} = 0$ が成り立つことである。 ($P$ が $l$ 上にあるときは $\overrightarrow{PQ}=\vec{0}$ となり内積 $0$ を満たす)

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{PQ} \cdot \vec{v} &= b\{(a-1)x + by\} + (1-a)\{cx - (a+1)y\} \\ &= \{b(a-1) + c(1-a)\}x + \{b^2 - (1-a)(a+1)\}y \\ &= (a-1)(b-c)x + \{b^2 - (1-a^2)\}y \end{aligned} $$

ここで $1-a^2 = bc$ を代入すると、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{PQ} \cdot \vec{v} &= (a-1)(b-c)x + (b^2 - bc)y \\ &= (a-1)(b-c)x + b(b-c)y \\ &= (b-c)\{(a-1)x + by\} \end{aligned} $$

これが任意の $x, y$ について $0$ になるための条件を考える。 $(a-1)x + by = 0$ が恒等的に成り立つとすると $a-1=0$ かつ $b=0$ となるが、これは条件 $b \neq 0$ に矛盾する。 したがって、任意の $(x,y)$ に対して内積が $0$ になる必要十分条件は

$$ b - c = 0 \iff b = c $$

である。

解説

行列の2乗が単位行列になる($A^2=I$)という条件から成分を決定する、一次変換の典型問題である。 ケーリー・ハミルトンの定理を利用して $a+d=0$ を鮮やかに引き出す手法は頻出なので確実にマスターしよう。 図形的な意味として、この変換は「直線 $l$ に関する斜交対称変換」を表しています。(2) で $b=c$ という条件が加わると、行列 $A$ が対称行列になり、変換が「直線 $l$ に関する(直交)対称移動(折り返し)」になることがわかる。折り返しであれば結ぶ線分が軸と垂直になるのは当然であり、代数的な計算結果と図形的なイメージが綺麗に一致する。

答え

(1)

略(解法1の証明を参照)

(2)

略(解法1の証明を参照)

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