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名古屋大学 1981年 理系 第1問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/図形総合
名古屋大学 1981年 理系 第1問 解説

方針・初手

点 $P, Q, R$ の位置ベクトルを設定し、原点 $O$ が $\triangle PQR$ の重心であるという条件をベクトルの方程式で表現する。その後、1次変換の線形性(加法性とスカラー倍の性質)を利用して、点 $R$ のうつる先を調べる。

解法1

平面上の点 $P, Q, R$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{p}, \vec{q}, \vec{r}$ とする。

原点 $O$ は $\triangle PQR$ の重心であるから、次の関係式が成り立つ。

$$ \frac{\vec{p} + \vec{q} + \vec{r}}{3} = \vec{0} $$

これを $\vec{r}$ について整理すると、

$$ \vec{r} = -(\vec{p} + \vec{q}) $$

となる。

また、1次変換 $f$ は点 $P$ を点 $Q$ に、点 $Q$ を点 $P$ にうつすため、

$$ f(\vec{p}) = \vec{q}, \quad f(\vec{q}) = \vec{p} $$

が成り立つ。

ここで、点 $R$ が $f$ によってうつる先 $f(\vec{r})$ を考えると、1次変換の線形性により、

$$ f(\vec{r}) = f(-(\vec{p} + \vec{q})) $$

$$ f(\vec{r}) = -(f(\vec{p}) + f(\vec{q})) $$

となる。これに $f(\vec{p}) = \vec{q}, f(\vec{q}) = \vec{p}$ を代入すると、

$$ f(\vec{r}) = -(\vec{q} + \vec{p}) $$

$$ f(\vec{r}) = -(\vec{p} + \vec{q}) = \vec{r} $$

となり、点 $R$ は $f$ によって自分自身にうつることがわかる。

次に、直線 $OR$ 上の任意の点 $X$ をとる。点 $X$ の位置ベクトル $\vec{x}$ は、実数 $k$ を用いて

$$ \vec{x} = k\vec{r} $$

と表すことができる。

この点 $X$ が $f$ によってうつる先 $f(\vec{x})$ を考えると、再び1次変換の線形性を用いて、

$$ f(\vec{x}) = f(k\vec{r}) = k f(\vec{r}) $$

となる。先ほど示した $f(\vec{r}) = \vec{r}$ を代入すると、

$$ f(\vec{x}) = k\vec{r} = \vec{x} $$

となる。

したがって、直線 $OR$ 上の任意の点は $f$ によってそれ自身にうつることが示された。

解説

1次変換の線形性 $f(a\vec{x} + b\vec{y}) = a f(\vec{x}) + b f(\vec{y})$ を利用する基本的な証明問題である。行列の成分や点の座標を $(x, y)$ のように具体的に置いて計算に持ち込むことも可能であるが、文字数が多くなり見通しが悪くなる。重心の条件を位置ベクトルの関係式として簡潔に表し、ベクトルを塊のまま扱うことで、計算をほとんど行わずに論理の筋道だけで鮮やかに証明することができる。

答え

題意の通り、1次変換 $f$ は直線 $OR$ 上の点をすべてそれ自身にうつすことが証明された。

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