トップ 京都大学 1983年 文系 第2問

京都大学 1983年 文系 第2問 解説

数学2/図形と式数学1/図形計量テーマ/図形総合テーマ/面積・体積
京都大学 1983年 文系 第2問 解説

方針・初手

直角や垂線が多く登場する平面幾何の問題は、座標平面を設定して代数的に処理するアプローチ(解析幾何)が非常に有効である。 本問は $\angle A = 90^\circ$ が与えられているため、点 $A$ を原点として $AB, AC$ をそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸にとる座標設定(解法1)が最も計算を楽にする。また、基準となる辺 $BC$ を $x$ 軸にとる座標設定(解法2)でも自然に解き進めることができる。

どちらの方針でも、各点の座標を文字で置き、直線の方程式を用いて交点 $Q, R$ の座標を求めてから条件を処理していく。

解法1

点 $A$ を原点とする座標平面を考え、辺 $AB$ を $x$ 軸上、辺 $AC$ を $y$ 軸上にとる。 $B(b,0), C(0,c)$ ($b>0, c>0$)とおける。 直線 $BC$ の方程式は $\frac{x}{b} + \frac{y}{c} = 1$ すなわち $cx + by - bc = 0$ である。 半直線 $l, m$ は辺 $BC$ に垂直で、頂点 $A(0,0)$ のある側に引かれる。$A(0,0)$ を $cx+by-bc$ に代入すると $-bc < 0$ となるため、半直線 $l, m$ の方向ベクトルは $\vec{v} = (-c, -b)$ ととれる。

点 $P$ は辺 $BC$ 上にあるので、$t$ ($0 \le t \le 1$)を用いて $P(b(1-t), ct)$ とおける。

$P$ から $AB$ ($x$ 軸) に引いた垂線の方程式は $x = b(1-t)$ であり、これと $l$ との交点が $Q$ である。 $Q$ は $l$ 上にあるため $k \ge 0$ を用いて $\vec{AQ} = \vec{AB} + k\vec{v}$ と表せ、その座標は $(b-ck, -bk)$ となる。 $x$ 座標を比較して、

$$ b-ck = b(1-t) \iff ck = bt \iff k = \frac{bt}{c} $$

$k \ge 0$ を満たしており、$Q$ の座標は $Q\left( b(1-t), -\frac{b^2 t}{c} \right)$ となる。

$P$ から $AC$ ($y$ 軸) に引いた垂線の方程式は $y = ct$ であり、これと $m$ との交点が $R$ である。 $R$ は $m$ 上にあるため $j \ge 0$ を用いて $\vec{AR} = \vec{AC} + j\vec{v}$ と表せ、その座標は $(-cj, c-bj)$ となる。 $y$ 座標を比較して、

$$ c-bj = ct \iff bj = c(1-t) \iff j = \frac{c(1-t)}{b} $$

$j \ge 0$ を満たしており、$R$ の座標は $R\left( -\frac{c^2(1-t)}{b}, ct \right)$ となる。

(1) 点 $A$ は原点であるから、

$$ \vec{AQ} = \left( b(1-t), -\frac{b^2 t}{c} \right) $$

$$ \vec{AR} = \left( -\frac{c^2(1-t)}{b}, ct \right) $$

ここで、$\vec{AQ}$ を $-\frac{c^2}{b^2}$ 倍すると、

$$ -\frac{c^2}{b^2}\vec{AQ} = \left( -\frac{c^2}{b^2} \cdot b(1-t), -\frac{c^2}{b^2} \cdot \left(-\frac{b^2 t}{c}\right) \right) = \left( -\frac{c^2(1-t)}{b}, ct \right) = \vec{AR} $$

したがって、$\vec{AR} = -\frac{c^2}{b^2}\vec{AQ}$ が成り立つため、3点 $Q, A, R$ は一直線上にある。

(2) $\triangle ABC$ の面積 $S$ は、$S = \frac{1}{2}bc$ である。 四角形 $BCRQ$ は $BQ \parallel CR$ かつ $\angle QBC = 90^\circ$ より台形(長方形を含む)であり、その面積 $T$ は $T = \frac{1}{2}(BQ+CR)BC$ である。 各線分の長さを求める。$BC = \sqrt{b^2+c^2}$ であり、

$$ BQ = |\vec{BQ}| = \sqrt{ (-ck)^2 + (-bk)^2 } = k\sqrt{c^2+b^2} = \frac{bt}{c}\sqrt{b^2+c^2} $$

$$ CR = |\vec{CR}| = \sqrt{ (-cj)^2 + (-bj)^2 } = j\sqrt{c^2+b^2} = \frac{c(1-t)}{b}\sqrt{b^2+c^2} $$

面積が $T = 2S$ となるとき、

$$ \frac{1}{2}\left( \frac{bt}{c} + \frac{c(1-t)}{b} \right)\sqrt{b^2+c^2} \times \sqrt{b^2+c^2} = bc $$

$$ \frac{b^2 t + c^2(1-t)}{bc} (b^2+c^2) = 2bc $$

$$ (b^2 t + c^2 - c^2 t)(b^2+c^2) = 2b^2 c^2 $$

これを $t$ について整理する。

$$ t(b^2-c^2)(b^2+c^2) + c^2(b^2+c^2) - 2b^2 c^2 = 0 $$

$$ t(b^2-c^2)(b^2+c^2) - c^2(b^2-c^2) = 0 $$

$$ (b^2-c^2) \{ t(b^2+c^2) - c^2 \} = 0 $$

条件より $AB \neq AC$ であるから $b \neq c$ であり、$b^2 - c^2 \neq 0$ となる。 したがって、

$$ t = \frac{c^2}{b^2+c^2} $$

このとき、$1-t = \frac{b^2}{b^2+c^2}$ となるため、$BQ$ と $CR$ の長さを計算すると、

$$ BQ = \frac{b}{c} \cdot \frac{c^2}{b^2+c^2} \sqrt{b^2+c^2} = \frac{bc}{\sqrt{b^2+c^2}} $$

$$ CR = \frac{c}{b} \cdot \frac{b^2}{b^2+c^2} \sqrt{b^2+c^2} = \frac{bc}{\sqrt{b^2+c^2}} $$

よって $BQ = CR$ が成り立つ。 台形 $BCRQ$ は $BQ \parallel CR$、$BQ=CR$、$\angle QBC = 90^\circ$ を満たすので長方形である。

解法2

辺 $BC$ を $x$ 軸上にとり、$B(0,0), C(a,0)$ ($a>0$)とおく。 $A(s,t)$ ($t>0$)とおくと、$\angle A = 90^\circ$ より $\vec{AB} \cdot \vec{AC} = 0$ であるから、

$$ (s, t) \cdot (s-a, t) = 0 \iff s(s-a) + t^2 = 0 \iff t^2 = s(a-s) $$

半直線 $l, m$ は辺 $BC$ に垂直で $A$ のある側($y>0$)に引かれるため、それぞれ直線 $x=0 \ (y \ge 0)$、直線 $x=a \ (y \ge 0)$ となる。 辺 $BC$ 上の点 $P(p,0)$ ($0 \le p \le a$)から辺 $AB$(傾き $t/s$)に引いた垂線の方程式は、

$$ y = -\frac{s}{t}(x-p) $$

これと $l \ (x=0)$ との交点が $Q$ であり、$Q\left(0, \frac{ps}{t}\right)$。 同様に、$P$ から辺 $AC$(傾き $\frac{t}{s-a}$)に引いた垂線の方程式は、

$$ y = -\frac{s-a}{t}(x-p) = \frac{a-s}{t}(x-p) $$

これと $m \ (x=a)$ との交点が $R$ であり、$R\left(a, \frac{(a-s)(a-p)}{t}\right)$。

(1) ベクトル $\vec{AQ}, \vec{AR}$ をそれぞれ計算する。

$$ \vec{AQ} = \left( -s, \frac{ps}{t}-t \right) = \left( -s, \frac{ps-t^2}{t} \right) $$

$t^2 = s(a-s)$ を代入して、

$$ \vec{AQ} = \left( -s, \frac{ps-s(a-s)}{t} \right) = -s \left( 1, \frac{a-p-s}{t} \right) $$

$$ \vec{AR} = \left( a-s, \frac{(a-s)(a-p)}{t}-t \right) = \left( a-s, \frac{(a-s)(a-p)-t^2}{t} \right) $$

$t^2 = s(a-s)$ を代入して、

$$ \vec{AR} = \left( a-s, \frac{(a-s)(a-p)-s(a-s)}{t} \right) = (a-s) \left( 1, \frac{a-p-s}{t} \right) $$

$s \neq 0$ であるため、$\vec{AR} = -\frac{a-s}{s}\vec{AQ}$ と表せる。したがって $Q, A, R$ は一直線上にある。

(2) $\triangle ABC$ の面積 $S = \frac{1}{2}at$ である。 台形 $BCRQ$ の面積 $T$ が $2S$ となるとき、

$$ T = \frac{1}{2}\left( \frac{ps}{t} + \frac{(a-s)(a-p)}{t} \right)a = at $$

$$ ps + a^2 - as - ap + ps = 2t^2 $$

$2t^2 = 2s(a-s)$ を代入して整理する。

$$ 2ps - ap + a^2 - as = 2as - 2s^2 $$

$$ p(2s - a) + 2s^2 - 3as + a^2 = 0 $$

$$ p(2s - a) + (2s - a)(s - a) = 0 $$

$$ (2s - a)(p + s - a) = 0 $$

もし $s = \frac{a}{2}$ ならば $t^2 = \frac{a}{2}\left(a - \frac{a}{2}\right) = \left(\frac{a}{2}\right)^2$ より $t = \frac{a}{2}$ となり、$A\left(\frac{a}{2}, \frac{a}{2}\right)$ となる。このとき $AB = AC$ の直角二等辺三角形になり条件に反する。 よって $2s-a \neq 0$ であるから、$p = a-s$ を得る。 このとき、

$$ BQ = \frac{ps}{t} = \frac{(a-s)s}{t} = \frac{t^2}{t} = t $$

$$ CR = \frac{(a-s)(a-p)}{t} = \frac{(a-s)s}{t} = \frac{t^2}{t} = t $$

よって $BQ = CR$。ゆえに台形 $BCRQ$ は長方形である。

解説

平面図形の問題において、座標を設定して代数的に解く「解析幾何」の手法がいかに強力かを示す好例である。 本問は $\angle A = 90^\circ$ があるため、解法1のように直角を座標軸に重ねるのが最もシンプルで計算ミスが減る。解法2のように底辺を $x$ 軸とする設定でも美しく解ききることができる。 設問(2)の最後に因数分解が現れ、問題文の「$AB \neq AC$」という条件が $\div 0$ を回避するための絶妙な役割を果たしている点に数学的な美しさを感じられるだろう。

答え

(1)

略(解法1の証明を参照)

(2)

長方形

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。