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京都大学 1986年 文系 第2問 解説

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京都大学 1986年 文系 第2問 解説

方針・初手

曲線 $C$ と直線 $L$ の方程式を連立し、交点の $x$ 座標を求める方程式を立てる。点 $P(u, v)$ で交わることは分かっているので、方程式は必ず $x-u$ を因数にもちます。 残りの2次方程式が「$x=u$ 以外の実数解をもつ」条件を考え、それが $-1 < u < 1$ を満たすすべての $u$ に対して成り立つような $(a,b)$ の範囲を導きます。

解法1

曲線 $C: y = x^3 + ax^2$ 上の点 $P(u, u^3+au^2)$ を通り、傾きが $b$ の直線 $L$ の方程式は

$$ y = b(x - u) + u^3 + au^2 $$

である。$C$ と $L$ の共有点の $x$ 座標は、これらを連立した方程式

$$ x^3 + ax^2 = b(x - u) + u^3 + au^2 $$

の解である。整理して因数分解すると、

$$ x^3 - u^3 + a(x^2 - u^2) - b(x - u) = 0 $$

$$ (x - u)(x^2 + ux + u^2) + a(x - u)(x + u) - b(x - u) = 0 $$

$$ (x - u)\{x^2 + (u+a)x + u^2 + au - b\} = 0 $$

$C$ と $L$ が点 $P$ 以外に共有点をもつための条件は、2次方程式

$$ x^2 + (u+a)x + u^2 + au - b = 0 \quad \cdots (*) $$

が $x \neq u$ なる実数解をもつことである。

方程式 $(*)$ の判別式を $D$ とすると、

$$ \begin{aligned} D &= (u+a)^2 - 4(u^2 + au - b) \\ &= -3u^2 - 2au + a^2 + 4b \end{aligned} $$

方程式 $(*)$ が $x \neq u$ なる実数解をもつのは、以下のいずれかの場合である。

(i)

$D > 0$ のとき

方程式 $(*)$ は異なる2つの実数解をもつ。2つの解が同時に $u$ になることはないため、少なくとも一方は $u$ 以外の実数解となる。

(ii)

$D = 0$ のとき

方程式 $(*)$ は重解 $x = -\frac{u+a}{2}$ をもつ。これが $u$ と異なればよいので、$u \neq -\frac{u+a}{2}$ すなわち $a \neq -3u$ であればよい。

したがって、ある $u$ に対して $(*)$ が $x \neq u$ なる実数解をもつ条件は、「$D > 0$」または「$D=0$ かつ $a \neq -3u$」である。 問題の条件は、これが $-1 < u < 1$ なる「任意の」 $u$ に対して成り立つことである。

ここで、$h(u) = 3u^2 + 2au - a^2$ とおくと、$D = 4b - h(u)$ と表せる。 $h(u)$ は $u^2$ の係数が $3 > 0$ であるから、下に凸な2次関数である。 閉区間 $[-1, 1]$ における $h(u)$ の最大値を $M$ とすると、最大値は区間の端点 $u = -1$ または $u = 1$ でとるため、

$$ M = \max\{h(-1), h(1)\} $$

である。下に凸な放物線の性質より、開区間 $-1 < u < 1$ におけるすべての $u$ に対して

$$ h(u) < M $$

が厳密に成り立つ。

ここで、$4b \ge M$ とすると、任意の $-1 < u < 1$ に対して

$$ 4b \ge M > h(u) $$

となり、$4b > h(u)$ すなわち常に $D > 0$ が成り立つ。これは上記の条件 (i) を満たすため適する。

逆に、$4b < M$ とすると、$h(u)$ は連続関数であるから、最大値をとる端点に近い開区間 $-1 < u < 1$ 内の $u$ において、$4b < h(u)$ となるような $u$ が必ず存在する。その $u$ に対しては $D < 0$ となり、方程式 $(*)$ が実数解をもたないため不適となる。

以上より、求める条件は

$$ 4b \ge \max\{h(-1), h(1)\} $$

である。 $h(1) = -a^2 + 2a + 3$、$h(-1) = -a^2 - 2a + 3$ であり、その差は $h(1) - h(-1) = 4a$ であるから、大小関係は $a$ の符号によって決まる。

(ア) $a \ge 0$ のとき

$h(1) \ge h(-1)$ であるから、条件は

$$ 4b \ge -a^2 + 2a + 3 \iff b \ge -\frac{1}{4}(a-1)^2 + 1 $$

(イ) $a < 0$ のとき

$h(1) < h(-1)$ であるから、条件は

$$ 4b \ge -a^2 - 2a + 3 \iff b \ge -\frac{1}{4}(a+1)^2 + 1 $$

解説

曲線と直線の交点に関する定石問題である。交点の1つが $x=u$ と分かっているため、3次方程式を1次式と2次式に因数分解して、残りの2次方程式の解の条件に帰着させる。

「すべての $u$ に対して」という全称命題の処理が最大のポイントである。変数 $u$ を分離して $4b > 3u^2+2au-a^2$ のようにし、右辺の関数の最大値(または上限)と比較するという考え方を用いると見通しが良くなる。 また、重解が $u$ と一致してしまう例外ケースについても、最大値が端点でとられることを利用することで「開区間内では常に $D>0$ となる」というロジックに吸収され、面倒な場合分けや重解の吟味を鮮やかに回避できる。

答え

求める $(a,b)$ の範囲は、以下の連立不等式が表す領域である。

$$ \begin{cases} b \ge -\frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{3}{4} \quad (a \ge 0) \\ b \ge -\frac{1}{4}a^2 - \frac{1}{2}a + \frac{3}{4} \quad (a < 0) \end{cases} $$

これを図示すると、2つの放物線 $b = -\frac{1}{4}(a-1)^2 + 1$ ($a \ge 0$ の部分)と $b = -\frac{1}{4}(a+1)^2 + 1$ ($a < 0$ の部分)を境界とする「上側」の領域となる。 境界線は、頂点 $(1, 1)$ と $(-1, 1)$、および $b$ 軸上の交点 $(0, \frac{3}{4})$ を通り、$a$ 軸と $a = 3, -3$ で交わる実線部分であり、領域は境界線を含む。

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