京都大学 1988年 文系 第2問 解説

方針・初手
各頂点の位置ベクトルを文字で置き、内分点の公式を2回用いて点 $A_2, B_2, C_2$ の位置ベクトルを点 $A, B, C$ の位置ベクトルで表す。 その後、辺のベクトル $\vec{A_2B_2}$ などを計算し、$\vec{AB}$ などの定数倍になっていることを確認することで、3辺の比が等しいことを示して相似を証明する(解法1)。 また、図形の対称性に着目し、三角形の「重心」を基準にベクトルを立式し直すと、相似の中心や相似比がより明瞭に分かる(解法2)。
解法1
空間内(または平面上)の任意の点を始点とする位置ベクトルで考える。
$\triangle ABC$ の頂点 $A, B, C$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ とする。
点 $A_1$ は辺 $AB$ を $2:1$ に内分するので、その位置ベクトル $\vec{a_1}$ は
$$ \vec{a_1} = \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3} $$
である。同様に、点 $B_1, C_1$ の位置ベクトル $\vec{b_1}, \vec{c_1}$ は
$$ \vec{b_1} = \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} $$
$$ \vec{c_1} = \frac{\vec{c} + 2\vec{a}}{3} $$
となる。
次に、点 $A_2$ は線分 $A_1B_1$ を $2:1$ に内分するので、その位置ベクトル $\vec{a_2}$ は
$$ \begin{aligned} \vec{a_2} &= \frac{\vec{a_1} + 2\vec{b_1}}{3} \\ &= \frac{1}{3} \left( \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3} + 2 \cdot \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} \right) \\ &= \frac{\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9} \end{aligned} $$
である。同様にして、$B_2, C_2$ の位置ベクトル $\vec{b_2}, \vec{c_2}$ は、$A, B, C$ を巡回的に入れ替えることで得られ、
$$ \vec{b_2} = \frac{4\vec{a} + \vec{b} + 4\vec{c}}{9} $$
$$ \vec{c_2} = \frac{4\vec{a} + 4\vec{b} + \vec{c}}{9} $$
となる。
ここで、$\triangle A_2B_2C_2$ の各辺のベクトルを計算する。
$$ \begin{aligned} \vec{A_2B_2} &= \vec{b_2} - \vec{a_2} \\ &= \frac{4\vec{a} + \vec{b} + 4\vec{c}}{9} - \frac{\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9} \\ &= \frac{3\vec{a} - 3\vec{b}}{9} \\ &= -\frac{1}{3} \vec{AB} \end{aligned} $$
同様に、
$$ \vec{B_2C_2} = \vec{c_2} - \vec{b_2} = -\frac{1}{3} \vec{BC} $$
$$ \vec{C_2A_2} = \vec{a_2} - \vec{c_2} = -\frac{1}{3} \vec{CA} $$
が成り立つ。
これより、辺の長さについて
$$ |\vec{A_2B_2}| = \frac{1}{3} |\vec{AB}|, \quad |\vec{B_2C_2}| = \frac{1}{3} |\vec{BC}|, \quad |\vec{C_2A_2}| = \frac{1}{3} |\vec{CA}| $$
となるため、$A_2B_2 : AB = B_2C_2 : BC = C_2A_2 : CA = 1 : 3$ である。
3組の辺の比がすべて等しいので、三角形 $A_2B_2C_2$ は三角形 $ABC$ に相似である。
解法2
解法1と同様に、各点の位置ベクトルを $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}, \vec{a_2}, \vec{b_2}, \vec{c_2}$ とする。
$\triangle ABC$ の重心を $G$ とし、その位置ベクトルを $\vec{g}$ とすると、
$$ \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} $$
である。
解法1より、$\vec{a_2} = \frac{\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9}$ であるから、これを $\vec{g}$ を用いて変形する。
$$ \begin{aligned} \vec{a_2} &= \frac{-3\vec{a} + 4(\vec{a} + \vec{b} + \vec{c})}{9} \\ &= -\frac{1}{3}\vec{a} + \frac{4}{3} \cdot \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} \\ &= -\frac{1}{3}\vec{a} + \frac{4}{3}\vec{g} \end{aligned} $$
両辺から $\vec{g}$ を引くと、
$$ \vec{a_2} - \vec{g} = -\frac{1}{3}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{g} = -\frac{1}{3} (\vec{a} - \vec{g}) $$
すなわち、
$$ \vec{GA_2} = -\frac{1}{3} \vec{GA} $$
が成り立つ。
同様の計算から(あるいは文字の対称性より)、
$$ \vec{GB_2} = -\frac{1}{3} \vec{GB} $$
$$ \vec{GC_2} = -\frac{1}{3} \vec{GC} $$
も成り立つ。
これは、点 $A_2, B_2, C_2$ が、それぞれ点 $A, B, C$ を重心 $G$ を相似の中心として相似比 $-\frac{1}{3}$ で拡大(縮小)した点であることを意味している。
したがって、三角形 $A_2B_2C_2$ は三角形 $ABC$ と相似の位置にあり、互いに相似である。
解説
内分点の公式を繰り返し用いる計算問題であるが、ベクトルの恩恵を強く受けられる図形問題である。
各辺のベクトルが元の三角形の辺のベクトルの実数倍になること(解法1)を示せば、相似であることはすぐに言える。
さらに踏み込んで解法2のように「重心」を基準にして位置ベクトルを捉え直すと、2つの三角形が「重心を共有しており、重心を相似の中心として $180^\circ$ 回転し、$\frac{1}{3}$ に縮小した関係」にあることまで見抜くことができる。図形の対称性に気づくと見通しが良くなる良い例である。
答え
略(解法1の証明を参照)
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