京都大学 1992年 文系 第5問 解説

方針・初手
単位円と直線が接する条件から $p, q$ の関係式を導く。その後、三角形の各頂点の座標を求めて円錐の体積 $V$ を $p, q$ の式で表す。1文字消去して微分するか、あるいは相加平均と相乗平均の大小関係を用いて体積の最小値(分母の最大値)を求める。
解法1
単位円 $x^2+y^2=1$ と直線 $px+qy=1$ が接するとき、原点 $(0,0)$ と直線の距離が円の半径 $1$ に等しい。したがって、点と直線の距離の公式より以下の式が成り立つ。
$$ \frac{|p \cdot 0 + q \cdot 0 - 1|}{\sqrt{p^2+q^2}} = 1 $$
$$ \frac{1}{\sqrt{p^2+q^2}} = 1 \implies p^2+q^2 = 1 $$
また、円上の点 $(p, q)$ における接線の方程式は $px+qy=1$ となるため、この直線と円の接点の座標は $(p, q)$ である。
次に、直線 $px+qy=1$ と $x$ 軸、$y$ 軸との交点を求める。 $y=0$ を代入すると $px=1$ より $x=\frac{1}{p}$。 $x=0$ を代入すると $qy=1$ より $y=\frac{1}{q}$。
$p>0, q>0$ より、接線と $x$ 軸、$y$ 軸で囲まれた三角形は、頂点を $(0,0), \left(\frac{1}{p}, 0\right), \left(0, \frac{1}{q}\right)$ とする直角三角形である。 この直角三角形を $y$ 軸のまわりに一回転してできる立体は、底面の半径が $\frac{1}{p}$、高さが $\frac{1}{q}$ の円錐になる。 その体積 $V$ は次のように表される。
$$ V = \frac{1}{3} \pi \left(\frac{1}{p}\right)^2 \frac{1}{q} = \frac{\pi}{3p^2q} $$
$V$ が最小となるのは、分母の $p^2q$ が最大となるときである。 $p^2+q^2=1$ より $p^2 = 1-q^2$ を代入する。$p>0, q>0$ より $0<q<1$ である。 $f(q) = p^2q = (1-q^2)q = q-q^3$ とおく。
$$ f'(q) = 1-3q^2 $$
$f'(q)=0$ となる $q$ の値は、$q>0$ より $q = \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 増減表を書くと、以下のようになる。
| $q$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\frac{1}{\sqrt{3}}$ | $\cdots$ | $(1)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(q)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $f(q)$ | $\nearrow$ | 極大かつ最大 | $\searrow$ |
したがって、$q=\frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき $f(q)$ は最大値をとる。 このとき、$p^2 = 1 - \left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^2 = \frac{2}{3}$。 $p>0$ より $p = \sqrt{\frac{2}{3}} = \frac{\sqrt{6}}{3}$ であり、接点の座標は $\left(\frac{\sqrt{6}}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$ となる。
$f(q)$ の最大値は、
$$ f\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right) = \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{9} $$
したがって、$V$ の最小値は以下のようになる。
$$ V = \frac{\pi}{3} \cdot \frac{1}{\frac{2\sqrt{3}}{9}} = \frac{3\pi}{2\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{2}\pi $$
解法2
$V = \frac{\pi}{3p^2q}$ を最小化するためには $p^2q$ を最大化すればよい。 $p>0, q>0$ より、正の数について成り立つ相加平均と相乗平均の大小関係を用いる。 $p^2 = \frac{p^2}{2} + \frac{p^2}{2}$ と分割して3変数の関係を考えると、
$$ \frac{\frac{p^2}{2} + \frac{p^2}{2} + q^2}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{p^2}{2} \cdot \frac{p^2}{2} \cdot q^2} $$
が成り立つ。左辺に条件式 $p^2+q^2=1$ を代入すると、
$$ \frac{1}{3} \geqq \sqrt[3]{\frac{p^4q^2}{4}} $$
両辺は正であるから3乗しても大小関係は変わらない。
$$ \frac{1}{27} \geqq \frac{p^4q^2}{4} \implies p^4q^2 \leqq \frac{4}{27} $$
$p>0, q>0$ より両辺の正の平方根をとると、
$$ p^2q \leqq \sqrt{\frac{4}{27}} = \frac{2}{3\sqrt{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{9} $$
等号が成立するのは $\frac{p^2}{2} = q^2$ のときである。 $p^2+q^2=1$ と連立して $2q^2+q^2=1 \implies q^2=\frac{1}{3}$。 $p>0, q>0$ より $q=\frac{\sqrt{3}}{3}, p=\frac{\sqrt{6}}{3}$ となり、このとき $p^2q$ は最大値 $\frac{2\sqrt{3}}{9}$ をとる。
よって、$V$ の最小値は以下のようになる。
$$ V = \frac{\pi}{3} \cdot \frac{1}{\frac{2\sqrt{3}}{9}} = \frac{\sqrt{3}}{2}\pi $$
そのときの接点の座標は $\left(\frac{\sqrt{6}}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$ である。
解説
条件式の処理と、変数の最大・最小を求める典型問題である。接点座標が $(p,q)$ になることに気付けば、あとは基本的な微分または相加・相乗平均の大小関係で決着がつく。2乗の項と1乗の項の積を最大化する際、解法2のように相加・相乗平均を3変数に拡張して2乗の項を半分に分割するテクニックは、計算量を大幅に減らすことができるため非常に有効である。
答え
$V$ の最小値は $\frac{\sqrt{3}}{2}\pi$
そのときの接点の座標は $\left(\frac{\sqrt{6}}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$
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