京都大学 2007年 文系 第4問(甲) 解説

方針・初手
空間内の直線上の点は、方向ベクトルと実数パラメータ(媒介変数)を用いて表すことができます。実数 $s, t$ を用いて点 $P, Q$ の座標を設定し、線分 $PQ$ の長さを $s, t$ の式で表すのが第一歩です。
最小値を求めるアプローチとして以下の2つの定石があります。
- 代数的な処理:距離の2乗を $s, t$ の2次関数とみなし、2変数の平方完成を行う。
- 幾何的な性質の利用:距離が最小となるとき、線分 $PQ$ は直線 $l$ とも直線 $m$ とも垂直に交わる(共通垂線となる)性質を利用し、ベクトルの内積が $0$ になる条件から $s, t$ を決定する。
解法1
実数 $s, t$ を用いて、直線 $l$ 上の点 $P$、直線 $m$ 上の点 $Q$ の位置ベクトルをそれぞれ表す。
$$ \overrightarrow{OP} = (3, 4, 0) + s(1, 1, 1) = (s+3,\ s+4,\ s) $$
$$ \overrightarrow{OQ} = (2, -1, 0) + t(1, -2, 0) = (t+2,\ -2t-1,\ 0) $$
ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ は
$$ \overrightarrow{PQ} = (t-s-1,\ -2t-s-5,\ -s) $$
$|\overrightarrow{PQ}|^2$ を計算し、$t$ について平方完成する。
$$\begin{aligned} |\overrightarrow{PQ}|^2 &= (t-s-1)^2 + (-2t-s-5)^2 + s^2 \\ &= 5t^2 + (2s+18)t + 3s^2 + 12s + 26 \\ &= 5\left( t + \frac{s+9}{5} \right)^2 + \frac{14s^2 + 42s + 49}{5} \end{aligned}$$
さらに $s$ について平方完成する。
$$\begin{aligned} |\overrightarrow{PQ}|^2 &= 5\left( t + \frac{s+9}{5} \right)^2 + \frac{14}{5}\left( s + \frac{3}{2} \right)^2 + \frac{7}{2} \end{aligned}$$
$s, t$ は実数であるから、
$$ s = -\frac{3}{2}, \quad t = -\frac{s+9}{5} = -\frac{3}{2} $$
のとき $|\overrightarrow{PQ}|^2$ は最小値 $\dfrac{7}{2}$ をとる。
よって、線分 $PQ$ の長さの最小値は
$$ \sqrt{\frac{7}{2}} = \frac{\sqrt{14}}{2} $$
解法2
$\overrightarrow{PQ} = (t-s-1,\ -2t-s-5,\ -s)$ を導くところまでは解法1と同様。
距離が最小となるとき $\overrightarrow{PQ}$ は直線 $l$, $m$ の両方と垂直(共通垂線)であるから、方向ベクトル $\vec{a} = (1,1,1)$、$\vec{b} = (1,-2,0)$ に対して
$$ \overrightarrow{PQ} \cdot \vec{a} = (t-s-1) + (-2t-s-5) + (-s) = -t - 3s - 6 = 0 \quad \cdots \text{①} $$
$$ \overrightarrow{PQ} \cdot \vec{b} = (t-s-1) + 2(2t+s+5) = 5t + s + 9 = 0 \quad \cdots \text{②} $$
①より $t = -3s - 6$。②に代入して
$$ 5(-3s-6) + s + 9 = -14s - 21 = 0 \implies s = -\frac{3}{2} $$
$$ t = -3\left(-\frac{3}{2}\right) - 6 = -\frac{3}{2} $$
代入すると $\overrightarrow{PQ} = \left(-1,\ -\dfrac{1}{2},\ \dfrac{3}{2}\right)$ であるから、
$$ |\overrightarrow{PQ}| = \sqrt{1 + \frac{1}{4} + \frac{9}{4}} = \sqrt{\frac{14}{4}} = \frac{\sqrt{14}}{2} $$
解説
「ねじれの位置にある2直線の最短距離」を求める頻出かつ重要なテーマです。
解法1のように平方完成を2回行う方法は、どんな2次式でも確実に答えを出せる万能な手法です。一方で、解法2のように「距離最小 ⟺ 共通垂線」という幾何的な原則を知っていれば、内積がゼロになるという1次方程式の連立に持ち込むことができ、計算量とミスを大幅に減らすことができます。
答え
$$ \frac{\sqrt{14}}{2} $$
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