東北大学 2024年 理系 第4問 解説

方針・初手
2つの球面の交わりが円になるとき,その円の中心は2つの球の中心を結ぶ直線上にある。したがって,まず $P_1P_2$ の長さを出し,つぎに直線 $P_1P_2$ 上で円の中心 $P_3$ を求めるのが自然である。
また,円 $C$ を含む平面 $H$ は $P_1P_2$ に垂直である。したがって,$H$ の法線ベクトルが分かれば,(3) と (4) は平面ベクトルの問題に落ちる。
解法1
(1)
$$ \overrightarrow{P_1P_2}=(5-3,\ 0-(-1),\ -1-1)=(2,1,-2) $$
より,
$$ |P_1P_2|=\sqrt{2^2+1^2+(-2)^2}=\sqrt{9}=3 $$
である。
(2)
球面 $S_1,\ S_2$ の半径はそれぞれ $\sqrt{5},\ \sqrt{2}$ であり,中心間距離は (1) より $3$ である。
$$ (\sqrt{5}-\sqrt{2})^2=7-2\sqrt{10}<9<7+2\sqrt{10}=(\sqrt{5}+\sqrt{2})^2 $$
したがって,
$$ \sqrt{5}-\sqrt{2}<3<\sqrt{5}+\sqrt{2} $$
であるから,$S_1$ と $S_2$ は交わりをもち,しかも接していない。よって,その交わりは円である。
この円を $C$,その中心を $P_3$ とする。$P_3$ は直線 $P_1P_2$ 上にあるので,
$$ P_1P_3=a,\qquad P_2P_3=3-a $$
とおく。また,円 $C$ の半径を $r$ とする。
円上の任意の点 $Q$ について,$P_3Q$ は直線 $P_1P_2$ に垂直であるから,
$$ a^2+r^2=5,\qquad (3-a)^2+r^2=2 $$
が成り立つ。2式の差をとると,
$$ a^2-(3-a)^2=3 $$
すなわち,
$$ a^2-(9-6a+a^2)=3 $$
より,
$$ 6a-9=3 $$
したがって,
$$ a=2 $$
である。よって,
$$ r^2=5-2^2=1 $$
より,
$$ r=1 $$
となる。
したがって,$P_3$ は $P_1$ から $P_2$ へ $\frac23$ だけ進んだ点であるから,
$$ P_3=P_1+\frac23\overrightarrow{P_1P_2} =(3,-1,1)+\frac23(2,1,-2) =\left(\frac{13}{3},-\frac13,-\frac13\right) $$
である。
ゆえに,円 $C$ の半径は $1$,中心は
$$ P_3\left(\frac{13}{3},-\frac13,-\frac13\right) $$
である。
(3)
円 $C$ を含む平面を $H$ とする。$H$ は直線 $P_1P_2$ に垂直であるから,法線ベクトルは
$$ (2,1,-2) $$
である。よって,$H$ に平行なベクトル $\vec{v}=(x,y,z)$ は
$$ 2x+y-2z=0 $$
を満たす。
一方,$\vec{v}$ が $xy$ 平面にも平行であるための条件は
$$ z=0 $$
である。したがって,
$$ 2x+y=0 $$
となる。よって,
$$ y=-2x $$
であり,さらに大きさが $1$ だから,
$$ x^2+y^2=1 $$
すなわち,
$$ x^2+4x^2=1 $$
より,
$$ 5x^2=1,\qquad x=\pm\frac1{\sqrt5} $$
である。したがって,
$$ y=\mp\frac2{\sqrt5} $$
となる。
よって,求めるベクトルは
$$ \pm\left(\frac1{\sqrt5},-\frac2{\sqrt5},0\right) $$
である。
(4)
(3) で求めたベクトルの1つを
$$ \mathbf{e}_1=\left(\frac1{\sqrt5},-\frac2{\sqrt5},0\right) $$
とおく。これに直交し,かつ平面 $H$ に平行な単位ベクトルとして
$$ \mathbf{e}_2=\left(\frac{4}{3\sqrt5},\frac{2}{3\sqrt5},\frac{\sqrt5}{3}\right) $$
をとることができる。実際,
$$ 2\cdot \frac{4}{3\sqrt5}+\frac{2}{3\sqrt5}-2\cdot \frac{\sqrt5}{3}=0 $$
であるから $\mathbf{e}_2$ は $H$ に平行であり,また
$$ |\mathbf{e}_2|^2=\frac{16+4+25}{45}=1 $$
である。
円 $C$ の半径は $1$,中心は $P_3$ であるから,円周上の点 $Q$ は
$$ Q=P_3+\cos\theta,\mathbf{e}_1+\sin\theta,\mathbf{e}_2 $$
と表せる。
このとき,$Q$ の $z$ 座標は
$$ z=-\frac13+\frac{\sqrt5}{3}\sin\theta $$
である。したがって,$Q$ と $xy$ 平面の距離 $d$ は
$$ d=\left|-\frac13+\frac{\sqrt5}{3}\sin\theta\right| $$
となる。
ここで,
$$ -\frac13-\frac{\sqrt5}{3}\le z\le -\frac13+\frac{\sqrt5}{3} $$
であり,絶対値が最大になるのは $z$ が最小のとき,すなわち $\sin\theta=-1$ のときである。よって,
$$ d_{\max}=\left|-\frac13-\frac{\sqrt5}{3}\right| =\frac{1+\sqrt5}{3} $$
である。
このとき,
$$ Q=P_3-\mathbf{e}_2 $$
であるから,
$$ Q=\left(\frac{13}{3},-\frac13,-\frac13\right) -\left(\frac{4}{3\sqrt5},\frac{2}{3\sqrt5},\frac{\sqrt5}{3}\right) $$
すなわち,
$$ Q=\left(\frac{13}{3}-\frac{4}{3\sqrt5},\ -\frac13-\frac{2}{3\sqrt5},\ -\frac{1+\sqrt5}{3}\right) $$
である。
解説
この問題の核は,2球の交わりの円の中心が,2つの中心を結ぶ直線上にあることである。ここを押さえると (2) は平面図形の直角三角形に帰着する。
また,交円を含む平面 $H$ は,中心を結ぶ直線に垂直であるから,法線ベクトルがすぐに分かる。この観点を使うと (3) は連立条件 $z=0,\ 2x+y-2z=0$ を解くだけで済む。
(4) では,円を平面内の直交基底で表示して,$z$ 座標だけを追えばよい。距離最大化を3次元のまま考えるより,$z$ 座標の1変数問題に落とした方が見通しがよい。
答え
(1)
$$ |P_1P_2|=3 $$
(2)
交わりは円であり,その半径は
$$ 1 $$
中心は
$$ P_3\left(\frac{13}{3},-\frac13,-\frac13\right) $$
である。
(3)
求めるベクトルは
$$ \pm\left(\frac1{\sqrt5},-\frac2{\sqrt5},0\right) $$
である。
(4)
距離の最大値は
$$ \frac{1+\sqrt5}{3} $$
であり,そのときの点 $Q$ は
$$ \left(\frac{13}{3}-\frac{4}{3\sqrt5},\ -\frac13-\frac{2}{3\sqrt5},\ -\frac{1+\sqrt5}{3}\right) $$
である。
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