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大阪大学 1996年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学2/図形と式テーマ/空間図形テーマ/最大・最小
大阪大学 1996年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間図形における平面に関する対称点と、それを利用した折れ線の長さの最小値問題である。

(1) は、原点 $O$ から平面への垂線ベクトルを利用して対称点の座標を直接計算する。 (2) は、(1) で求めた対称点の $x, y$ 座標が等しいことに着目し、直線 $CD$ が $z$ 軸に平行であることから、平面 $z=0$ との交点を容易に求め、三角形の領域条件に当てはめる。 (3) は、「ある平面上の点を経由する折れ線の最小値は、その平面に関する対称点との直線距離になる」という典型的な図形的性質を利用する。

解法1

(1)

平面 $\alpha: \frac{x}{a} + \frac{y}{a} + z = 1$ の法線ベクトルの1つは、$\vec{n_\alpha} = \left(\frac{1}{a}, \frac{1}{a}, 1\right)$ である。 点 $C$ は原点 $O$ の平面 $\alpha$ に関する対称点であるから、直線 $OC$ は平面 $\alpha$ と垂直であり、線分 $OC$ の中点は平面 $\alpha$ 上にある。 $\vec{OC}$ は $\vec{n_\alpha}$ と平行であるから、実数 $k$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OC} = k\vec{n_\alpha} = \left(\frac{k}{a}, \frac{k}{a}, k\right) $$

線分 $OC$ の中点 $\left(\frac{k}{2a}, \frac{k}{2a}, \frac{k}{2}\right)$ が平面 $\alpha$ 上にあるため、$\alpha$ の方程式に代入して、

$$ \frac{1}{a}\left(\frac{k}{2a}\right) + \frac{1}{a}\left(\frac{k}{2a}\right) + \frac{k}{2} = 1 $$

$$ \frac{k}{a^2} + \frac{k}{2} = 1 $$

両辺に $2a^2$ を掛けて整理すると、

$$ 2k + a^2k = 2a^2 $$

$$ (a^2+2)k = 2a^2 $$

$a>0$ より $a^2+2 \neq 0$ であるから、$k = \frac{2a^2}{a^2+2}$ となる。したがって、点 $C$ の座標は以下のようになる。

$$ C\left( \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a^2}{a^2+2} \right) $$

同様に、平面 $\beta: \frac{x}{a} + \frac{y}{a} - z = 1$ の法線ベクトルの1つは $\vec{n_\beta} = \left(\frac{1}{a}, \frac{1}{a}, -1\right)$ である。 点 $D$ は原点 $O$ の平面 $\beta$ に関する対称点であるから、実数 $l$ を用いて $\vec{OD} = l\vec{n_\beta} = \left(\frac{l}{a}, \frac{l}{a}, -l\right)$ とおける。 線分 $OD$ の中点 $\left(\frac{l}{2a}, \frac{l}{2a}, -\frac{l}{2}\right)$ が平面 $\beta$ 上にあるため、$\beta$ の方程式に代入して、

$$ \frac{1}{a}\left(\frac{l}{2a}\right) + \frac{1}{a}\left(\frac{l}{2a}\right) - \left(-\frac{l}{2}\right) = 1 $$

$$ \frac{l}{a^2} + \frac{l}{2} = 1 $$

先ほどと同様に解いて $l = \frac{2a^2}{a^2+2}$ となる。したがって、点 $D$ の座標は以下のようになる。

$$ D\left( \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a}{a^2+2}, -\frac{2a^2}{a^2+2} \right) $$

(2)

点 $C, D$ の $x$ 座標および $y$ 座標は互いに等しいので、直線 $CD$ は $z$ 軸に平行な直線である。 したがって、直線 $CD$ と平面 $z=0$($xy$ 平面)との交点 $E$ の座標は、

$$ E\left( \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a}{a^2+2}, 0 \right) $$

である。 $\triangle ABO$ は $xy$ 平面上の三角形であり、頂点は $O(0,0,0), A(a,0,0), B(0,a,0)$ である。 交点 $E$ が $\triangle ABO$ の内部(線分 $AB$ を含み、線分 $OA, OB$ 上は含まない)にあるための条件は、点 $E$ の $x$ 座標、$y$ 座標について次が成り立つことである。

$$ \begin{cases} x > 0 \\ y > 0 \\ x + y \le a \end{cases} $$

$E$ の座標において $a>0$ より $x = \frac{2a}{a^2+2} > 0$、$y = \frac{2a}{a^2+2} > 0$ は常に成り立つ。よって $x+y \le a$ の条件のみを考えればよい。

$$ \frac{2a}{a^2+2} + \frac{2a}{a^2+2} \le a $$

$$ \frac{4a}{a^2+2} \le a $$

$a>0$ であるから、両辺を $a$ で割って分母を払うと、

$$ 4 \le a^2 + 2 $$

$$ a^2 \ge 2 $$

$a>0$ より、求める $a$ の範囲は $a \ge \sqrt{2}$ である。

(3)

$a=2$ のとき、(1) の結果より点 $C, D$ の座標は次のようになる。

$$ C\left( \frac{4}{6}, \frac{4}{6}, \frac{8}{6} \right) = \left( \frac{2}{3}, \frac{2}{3}, \frac{4}{3} \right) $$

$$ D\left( \frac{4}{6}, \frac{4}{6}, -\frac{8}{6} \right) = \left( \frac{2}{3}, \frac{2}{3}, -\frac{4}{3} \right) $$

点 $P$ は平面 $\alpha$ 上の点であり、点 $C$ は原点 $O$ の平面 $\alpha$ に関する対称点であるから、$OP = CP$ が成り立つ。 同様に、点 $Q$ は平面 $\beta$ 上の点であり、点 $D$ は原点 $O$ の平面 $\beta$ に関する対称点であるから、$QO = DQ$ が成り立つ。 したがって、求める線分の長さの和は次のように置き換えられる。

$$ OP + PQ + QO = CP + PQ + QD $$

空間内の4点 $C, P, Q, D$ を結ぶ折れ線の長さの和 $CP + PQ + QD$ が最小となるのは、これら4点がこの順に一直線上に並ぶときであり、その最小値は線分 $CD$ の長さに等しい。 このとき、最小値は $C, D$ の $z$ 座標の差となるから、

$$ \frac{4}{3} - \left(-\frac{4}{3}\right) = \frac{8}{3} $$

である。 この最小値を与える点 $P, Q$ は、それぞれ直線 $CD$ と平面 $\alpha, \beta$ との交点である。 直線 $CD$ 上の点は $\left(\frac{2}{3}, \frac{2}{3}, z\right)$ と表すことができる。 $a=2$ のとき、平面 $\alpha$ の方程式は $\frac{x}{2} + \frac{y}{2} + z = 1$ であるから、これに代入して交点 $P$ の $z$ 座標を求める。

$$ \frac{1}{2}\left(\frac{2}{3}\right) + \frac{1}{2}\left(\frac{2}{3}\right) + z = 1 $$

$$ \frac{2}{3} + z = 1 \implies z = \frac{1}{3} $$

よって、$P\left(\frac{2}{3}, \frac{2}{3}, \frac{1}{3}\right)$ となる。 同様に、$a=2$ のときの平面 $\beta$ の方程式 $\frac{x}{2} + \frac{y}{2} - z = 1$ に代入して交点 $Q$ の $z$ 座標を求める。

$$ \frac{1}{2}\left(\frac{2}{3}\right) + \frac{1}{2}\left(\frac{2}{3}\right) - z = 1 $$

$$ \frac{2}{3} - z = 1 \implies z = -\frac{1}{3} $$

よって、$Q\left(\frac{2}{3}, \frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right)$ となる。 得られた $P, Q$ は線分 $CD$ 上に存在し($z$ 座標が $-\frac{4}{3} \le z \le \frac{4}{3}$ を満たす)、点 $C$ 側から $P, Q$ の順に並んでいるため、折れ線が線分 $CD$ と一致することが確認できる。

解説

平面に関する対称点と、最短距離を求めるための「一直線上に伸ばす」アプローチを問う総合的な空間図形の問題である。

(2) では「内部(ただし、線分 $AB$ を含める)」という表現が用いられている。座標軸上の線分 $OA, OB$ を含む場合は「周および内部」と表現されるのが一般的であるため、ここでは $x>0, y>0, x+y \le a$ と解釈して処理している。

(3) においては、折れ線の長さの最小値が線分 $CD$ の長さに等しくなると結論づける前に、直線 $CD$ と平面の交点 $P, Q$ が実際に線分 $CD$ 上に存在し、順序として $C \to P \to Q \to D$ となっているかを確認しておくことが論理の厳密性において重要である。

答え

(1)

$C\left( \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a^2}{a^2+2} \right)$, $D\left( \frac{2a}{a^2+2}, \frac{2a}{a^2+2}, -\frac{2a^2}{a^2+2} \right)$

(2)

$a \ge \sqrt{2}$

(3)

最小値: $\frac{8}{3}$ そのときの座標: $P\left(\frac{2}{3}, \frac{2}{3}, \frac{1}{3}\right), \quad Q\left(\frac{2}{3}, \frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right)$

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