東北大学 1995年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) 球面とその接平面の幾何学的性質に着目する。球面上のある点における接平面の法線ベクトルは、球の中心からその接点へ向かうベクトルに一致することを利用して、内積を計算する。
(2) (1) の結果を利用して、2つの接点における接平面の方程式をそれぞれ立式する。求める点 $R$ は、その2つの接平面の交わりである直線上にある。交線を媒介変数表示で表し、原点からの距離の2乗を2次関数として最小化するか、ベクトルの直交条件を利用する。
解法1
(1)
球面 $S$ の方程式は $x^2 + y^2 + z^2 = 5$ であり、中心は原点 $O(0,0,0)$、半径は $\sqrt{5}$ である。 点 $P$ は球面 $S$ 上の点であるから、
$$ |\overrightarrow{OP}|^2 = 5 $$
が成り立つ。 点 $P$ における球面 $S$ の接平面上の任意の点を $Q$ とする。 接点 $P$ 以外の点 $Q$ について、ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ は接平面上のベクトルであり、半径方向のベクトル $\overrightarrow{OP}$ (すなわち接平面の法線ベクトル)と直交する。 したがって、点 $Q$ が接平面上にある条件は $\overrightarrow{OP} \perp \overrightarrow{PQ}$ または $P=Q$ であり、いずれにせよ次が成り立つ。
$$ \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{PQ} = 0 $$
ここで、$\overrightarrow{PQ} = \overrightarrow{OQ} - \overrightarrow{OP}$ より、
$$ \overrightarrow{OP} \cdot (\overrightarrow{OQ} - \overrightarrow{OP}) = 0 $$
$$ \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} - |\overrightarrow{OP}|^2 = 0 $$
$$ \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} = |\overrightarrow{OP}|^2 = 5 $$
を得る。
(2)
点 $P_1(2, 0, 1)$、点 $P_2(0, 2, 1)$ はともに球面 $S$ 上の点である。 点 $P_1$ における接平面を $\alpha_1$ とし、$\alpha_1$ 上の点 $Q$ の座標を $(x, y, z)$ とする。 (1) の結果より、$\overrightarrow{OP_1} \cdot \overrightarrow{OQ} = 5$ が成り立つので、
$$ 2x + 0 \cdot y + 1 \cdot z = 5 \iff 2x + z = 5 \cdots \text{①} $$
同様に、点 $P_2$ における接平面を $\alpha_2$ とすると、$\alpha_2$ 上の点 $Q(x, y, z)$ は $\overrightarrow{OP_2} \cdot \overrightarrow{OQ} = 5$ を満たすので、
$$ 0 \cdot x + 2y + 1 \cdot z = 5 \iff 2y + z = 5 \cdots \text{②} $$
点 $Q$ が $\alpha_1$ と $\alpha_2$ の両方に含まれるとき、①、②を同時に満たす。 ①、②から $z$ を消去すると、$2x = 2y$ より $x = y$ となる。 これを①に代入すると、$z = 5 - 2x$ となる。 したがって、両方の接平面に含まれる点 $Q$ の座標は、実数 $x$ を用いて $(x, x, 5 - 2x)$ と表すことができる。
原点 $O$ と点 $Q$ の距離の2乗 $|\overrightarrow{OQ}|^2$ を $x$ の関数として表すと、
$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{OQ}|^2 &= x^2 + x^2 + (5 - 2x)^2 \\ &= 2x^2 + (4x^2 - 20x + 25) \\ &= 6x^2 - 20x + 25 \\ &= 6 \left( x^2 - \frac{10}{3}x \right) + 25 \\ &= 6 \left( x - \frac{5}{3} \right)^2 - 6 \cdot \frac{25}{9} + 25 \\ &= 6 \left( x - \frac{5}{3} \right)^2 + \frac{25}{3} \end{aligned} $$
これより、$|\overrightarrow{OQ}|^2$ は $x = \frac{5}{3}$ のとき最小値をとる。 距離 $|\overrightarrow{OQ}|$ が最小となるとき、$|\overrightarrow{OQ}|^2$ も最小となるため、求める点 $R$ の $x$ 座標は $\frac{5}{3}$ である。 このとき、$y = \frac{5}{3}$、$z = 5 - 2 \cdot \frac{5}{3} = \frac{5}{3}$ となる。
よって、点 $R$ の座標は $\left( \frac{5}{3}, \frac{5}{3}, \frac{5}{3} \right)$ である。
解法2
(2) の別解
(1) により、接平面 $\alpha_1, \alpha_2$ の方程式はそれぞれ $2x + z = 5$、$2y + z = 5$ であり、その交線を直線 $l$ とする。 交線 $l$ 上の点 $Q$ の座標は、媒介変数 $t$ を用いて $Q(t, t, 5 - 2t)$ と表せる。 これは、直線 $l$ が方向ベクトル $\vec{d} = (1, 1, -2)$ を持つことを意味する。
原点 $O$ から直線 $l$ に下ろした垂線の足が、距離を最小にする点 $R$ である。 点 $R$ は直線 $l$ 上にあるため、$\overrightarrow{OR} = (t, t, 5-2t)$ とおける。 このとき、$\overrightarrow{OR} \perp \vec{d}$ であるから、その内積は $0$ となる。
$$ \overrightarrow{OR} \cdot \vec{d} = 0 $$
$$ t \cdot 1 + t \cdot 1 + (5 - 2t) \cdot (-2) = 0 $$
$$ 2t - 10 + 4t = 0 $$
$$ 6t = 10 \iff t = \frac{5}{3} $$
これを $\overrightarrow{OR} = (t, t, 5-2t)$ に代入して、
$$ R \left( \frac{5}{3}, \frac{5}{3}, \frac{5}{3} \right) $$
を得る。
解説
(1) は、原点を中心とする球面上における接平面のベクトル方程式を導出する基本問題である。この結果 $x_1x + y_1y + z_1z = r^2$ は公式として記憶している受験生も多いだろう。 (2) は、(1) で得られた式を利用して2つの接平面の交線(直線)の方程式を立式し、原点と直線の距離の最小値を求める問題である。交線上の点を1文字のパラメータで表すことができれば、あとは距離の2乗を平方完成して最小値を求める(解法1)か、あるいは最短距離を与える点が垂線の足になることを利用してベクトルの内積が0になる条件を使う(解法2)ことで解決できる。解法2の方が計算量が少なく、計算ミスを防ぎやすい。
答え
(1) $$ \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} = 5 $$
(2) $$ R \left( \frac{5}{3}, \frac{5}{3}, \frac{5}{3} \right) $$
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