京都大学 1998年 文系 第4問 解説

方針・初手
放物線と直線で囲まれた面積 $s$ と、放物線上の点で作られる三角形の面積 $S(P)$ をそれぞれ計算し、比較する問題です。 $s$ の計算には定積分を用いますが、いわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を利用するとスムーズに求まります。 三角形の面積 $S(P)$ は、点 $A, B, P$ の座標からベクトルを用いて面積公式に当てはめるか、点 $P$ を通り $y$ 軸に平行な直線で三角形を2つに分割して求める方法が定石です。得られた $S(P)$ は $t$ についての2次関数となるため、平方完成して最大値 $S$ を求めます。
解法1
まず、直線 $AB$ の方程式を求める。 点 $A(a, a^2)$ と点 $B(b, b^2)$ を通る直線の傾きは
$$ \frac{b^2 - a^2}{b - a} = \frac{(b-a)(b+a)}{b-a} = a+b $$
である。よって直線 $AB$ の方程式は
$$ y - a^2 = (a+b)(x - a) $$
$$ y = (a+b)x - a(a+b) + a^2 $$
$$ y = (a+b)x - ab $$
となる。
放物線 $y=x^2$ と直線 $AB$ で囲まれた図形の面積 $s$ は、$a < x < b$ の範囲において直線が放物線の上側にあるため、次の定積分で表される。
$$ \begin{aligned} s &= \int_{a}^{b} \{ (a+b)x - ab - x^2 \} dx \\ &= -\int_{a}^{b} (x^2 - (a+b)x + ab) dx \\ &= -\int_{a}^{b} (x-a)(x-b) dx \\ &= \frac{1}{6}(b-a)^3 \end{aligned} $$
次に、$\triangle ABP$ の面積 $S(P)$ を求める。 ベクトル $\vec{AP}$ と $\vec{AB}$ の成分は
$$ \vec{AP} = (t-a, t^2-a^2) $$
$$ \vec{AB} = (b-a, b^2-a^2) $$
であるから、$\triangle ABP$ の面積は公式より
$$ \begin{aligned} S(P) &= \frac{1}{2} | (t-a)(b^2-a^2) - (t^2-a^2)(b-a) | \\ &= \frac{1}{2} | (t-a)(b-a)(b+a) - (t-a)(t+a)(b-a) | \\ &= \frac{1}{2} | (t-a)(b-a) \{ (b+a) - (t+a) \} | \\ &= \frac{1}{2} | (t-a)(b-a)(b-t) | \end{aligned} $$
ここで、$a < t < b$ より $t-a > 0$ かつ $b-t > 0$ であり、$a < b$ より $b-a > 0$ であるため、絶対値記号はそのまま外すことができる。
$$ \begin{aligned} S(P) &= \frac{1}{2}(b-a)(t-a)(b-t) \\ &= \frac{1}{2}(b-a)(-t^2 + (a+b)t - ab) \end{aligned} $$
$t$ が $a < t < b$ の範囲を動くときの $S(P)$ の最大値 $S$ を求めるために、$t$ について平方完成する。
$$ \begin{aligned} -t^2 + (a+b)t - ab &= - \left( t - \frac{a+b}{2} \right)^2 + \left( \frac{a+b}{2} \right)^2 - ab \\ &= - \left( t - \frac{a+b}{2} \right)^2 + \frac{a^2+2ab+b^2-4ab}{4} \\ &= - \left( t - \frac{a+b}{2} \right)^2 + \frac{(b-a)^2}{4} \end{aligned} $$
$a < \frac{a+b}{2} < b$ であるから、$t = \frac{a+b}{2}$ のとき $S(P)$ は最大となる。 したがって、最大値 $S$ は
$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2}(b-a) \cdot \frac{(b-a)^2}{4} \\ &= \frac{1}{8}(b-a)^3 \end{aligned} $$
最後に、$s$ と $S$ の比を求める。
$$ s : S = \frac{1}{6}(b-a)^3 : \frac{1}{8}(b-a)^3 = \frac{1}{6} : \frac{1}{8} = 4 : 3 $$
解説
放物線と直線の関係についての有名な性質を問う問題です。 計算のポイントとしては、積分計算において $\frac{1}{6}$ 公式を利用すること、および三角形の面積を求める際に因数分解の形を維持したまま処理することが挙げられます。これをすべて展開してから整理しようとすると計算量が増え、ミスの原因になります。 また、本問で証明された「放物線の弓形の面積は、そこに内接する最大の三角形の面積の $\frac{4}{3}$ 倍になる」という性質は、古代ギリシャの数学者アルキメデスによって発見された有名な定理(アルキメデスの定理)です。穴埋め問題などでは結果を知っていると一瞬で答えが出せるため、結論ごと記憶しておく価値があります。
答え
$s : S = 4 : 3$
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