京都大学 1971年 理系 第6問 解説

方針・初手
動点 $P, Q$ の時刻 $t$ における座標を立式し、3点 $O, P, Q$ が一直線上にある条件を $t$ の方程式として表す。 得られた方程式を $g(t) = 0$ の形に整理し、導関数 $g'(t)$ の符号から関数の増減を調べ、中間値の定理を用いて各区間における解の存在と一意性を示す。 後半の極限は、方程式の解の極限を扱う典型的な手法で処理する。
解法1
時刻 $t \ge 0$ における点 $P, Q$ の座標を求める。 $P$ は点 $(1, 0)$ から出発し、原点中心の半径 $1$ の円周上を正の向きに速さ $\pi$(すなわち角速度 $\pi$)で回転するので、
$$ P(\cos \pi t, \sin \pi t) $$
である。 $Q$ は点 $(a, 0)$ から $y$ 軸に平行な直線 $x=a$ 上を $y$ の増加方向に速さ $v$ で進むので、
$$ Q(a, vt) $$
である。
3点 $O(0, 0), P, Q$ が一直線上にある条件は、ベクトル $\vec{OP}$ と $\vec{OQ}$ が平行になることである。よって、
$$ a \sin \pi t - vt \cos \pi t = 0 \quad \cdots (1) $$
が成り立つことである。
ここで、$\cos \pi t = 0$ と仮定すると、$t = k + \frac{1}{2}$($k$ は整数)となり、$\sin \pi t = \pm 1$ となる。 これを (1) に代入すると $\pm a = 0$ となるが、条件 $0 < v < a\pi$ より $a > 0$ であるため矛盾する。 したがって $\cos \pi t \neq 0$ である。
(1) の両辺を $a \cos \pi t$ で割ると、次の方程式を得る。
$$ \tan \pi t = \frac{v}{a} t \quad \cdots (2) $$
関数 $g(t) = \tan \pi t - \frac{v}{a} t$ とおく。
$$ g'(t) = \frac{\pi}{\cos^2 \pi t} - \frac{v}{a} $$
条件 $0 < v < a\pi$ より $0 < \frac{v}{a} < \pi$ であり、$\frac{1}{\cos^2 \pi t} \ge 1$ であるから、
$$ g'(t) \ge \pi - \frac{v}{a} > 0 $$
したがって、$g(t)$ は定義域の各連続区間 $(k - \frac{1}{2}, k + \frac{1}{2})$ において単調増加である。
(i)
問題文には $n=0, 1, 2, \dots$ とあるが、まず $n=0$ の場合($0 < t < 1$)を考える。 区間 $(0, 1)$ は $t = \frac{1}{2}$ を境に分けられる。 区間 $(0, \frac{1}{2})$ では、$g(0) = 0$ かつ単調増加であるから $g(t) > 0$ となり解を持たない。 区間 $(\frac{1}{2}, 1)$ では、$\lim_{t \to 1/2+0} g(t) = -\infty$、$g(1) = -\frac{v}{a} < 0$ かつ単調増加であるから $g(t) < 0$ となり解を持たない。 よって $n=0$ のとき題意を満たす時刻は存在しない。 以下、問題文の意図を汲み、$n \ge 1$ の整数について、時刻 $n$ と $n+1$ の間($n < t < n+1$)にただ1回存在することを示す。
区間 $(n, n+1)$ は漸近線 $t = n + \frac{1}{2}$ によって2つに分けられる。
(ア) 区間 $(n, n+\frac{1}{2})$ において
$$ g(n) = \tan n\pi - \frac{v}{a}n = -\frac{v}{a}n < 0 \quad (\because n \ge 1) $$
$$ \lim_{t \to n+\frac{1}{2}-0} g(t) = \infty $$
$g(t)$ はこの区間で連続かつ単調増加であるから、中間値の定理により $g(t) = 0$ となる $t$ がただ1つ存在する。これを $t_n$ とする。
(イ) 区間 $(n+\frac{1}{2}, n+1)$ において
$$ \lim_{t \to n+\frac{1}{2}+0} g(t) = -\infty $$
$$ g(n+1) = \tan (n+1)\pi - \frac{v}{a}(n+1) = -\frac{v}{a}(n+1) < 0 $$
$g(t)$ はこの区間で連続かつ単調増加であるから、常に $g(t) < 0$ であり、$g(t) = 0$ となる $t$ は存在しない。
以上より、$n \ge 1$ のとき、時刻 $n$ と $n+1$ との間で3点が一直線上にならぶ時刻 $t_n$ はただ1回存在する。(証明終)
(ii)
(i) より、$t_n$ は方程式 (2) の解であり、区間 $(n, n+\frac{1}{2})$ に存在する。 $t_n = n + \theta_n$ ($0 < \theta_n < \frac{1}{2}$)とおく。 これを (2) に代入して
$$ \tan \pi(n + \theta_n) = \frac{v}{a}(n + \theta_n) $$
正接関数の周期性より
$$ \tan \pi \theta_n = \frac{v}{a}(n + \theta_n) $$
$0 < \theta_n < \frac{1}{2}$ より $\theta_n > 0$ であり、$n \to \infty$ のとき右辺について
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{v}{a}(n + \theta_n) = \infty $$
となる。したがって、
$$ \lim_{n \to \infty} \tan \pi \theta_n = \infty $$
$0 < \theta_n < \frac{1}{2}$ の範囲において $\tan \pi \theta_n \to \infty$ となるのは、$\theta_n \to \frac{1}{2}$ のときであるから、
$$ \lim_{n \to \infty} \theta_n = \frac{1}{2} $$
$t_n - n = \theta_n$ であるから、
$$ \lim_{n \to \infty} (t_n - n) = \frac{1}{2} $$
となり、$t_n - n$ は一定値 $\frac{1}{2}$ に近づく。(証明終)
解説
点 $P, Q$ の運動を座標で表し、3点が一直線上にある条件を方程式に帰着させるのが第一歩である。得られた方程式 $\tan \pi t = \frac{v}{a} t$ は代数的に解けないため、グラフの交点として視覚的に捉え、微分と中間値の定理を用いて解の存在証明を行う定石を踏む。 (i) において $n=0$ のとき解が存在しないことは、グラフの原点における接線の傾きと直線 $y = \frac{v}{a} t$ の傾きの大小関係($\pi > \frac{v}{a}$)から明らかである。問題文には $n=0, 1, 2, \dots$ とあるが、明らかに $n \ge 1$ の誤植であると考えられるため、本解答ではその事実を論証に含めている。 (ii) は「方程式の解の極限」と呼ばれる頻出テーマである。解 $t_n$ を整数部分 $n$ と小数部分 $\theta_n$ に分けて代入し、$n \to \infty$ としたときの右辺の発散から $\theta_n$ の極限を逆算する手法はぜひ習得しておきたい。
答え
(i)
$n \ge 1$ において、区間 $(n, n+1)$ で関数 $g(t) = \tan \pi t - \frac{v}{a}t$ が単調増加であり、漸近線 $t=n+\frac{1}{2}$ の左側で中間値の定理によりただ1つの解を持つことを示した。($n=0$ では解を持たないことを指摘済)
(ii)
$t_n = n + \theta_n$ ($0 < \theta_n < \frac{1}{2}$)とおき、方程式から $\lim_{n \to \infty} \tan \pi \theta_n = \infty$ を導くことで、一定値 $\frac{1}{2}$ に近づくことを示した。
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