大阪大学 1971年 理系 第5問 解説

方針・初手
点 $P$ と点 $Q$ の座標を文字でおき、直線 $PQ$ の方程式から $y$ 軸との交点 $R$ の座標を求める。 点 $P$ が原点 $O$ に近づくときの極限を計算するため、点 $R$ の $y$ 座標を点 $P$ の $x$ 座標を用いて表し、不定形を解消するための式変形を行う。特に、$\cos x$ の極限公式を利用できるように式を整えることがポイントになる。
解法1
点 $P$ は曲線 $y = \cos x - 1$ 上の点であるから、その座標を $(t, \cos t - 1)$ とおく。 点 $P$ が原点 $O$ に近づく極限を考えるため、$t \neq 0$ かつ $-\pi < t < \pi$ としてよい。
点 $Q$ は $x$ 軸上の点であるから、その座標を $(q, 0)$ とおく。 条件より、$Q$ は $y$ 軸に関して $P$ と同じ側にあるため、$q$ と $t$ は同符号である。 また、$OQ = OP$ であるから、両辺を2乗して
$$ q^2 = t^2 + (\cos t - 1)^2 $$
が成り立つ。 ここで、$q$ と $t$ は同符号であるから、
$$ q = \frac{t}{|t|} \sqrt{t^2 + (\cos t - 1)^2} = t \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2} $$
と表すことができる。
次に、直線 $PQ$ の方程式を求める。 傾きは $\frac{0 - (\cos t - 1)}{q - t} = -\frac{\cos t - 1}{q - t}$ であるから、直線 $PQ$ の方程式は
$$ y = -\frac{\cos t - 1}{q - t}(x - q) $$
となる。 点 $R$ はこの直線と $y$ 軸($x = 0$)との交点であるから、点 $R$ の $y$ 座標 $y_R$ は
$$ y_R = \frac{q(\cos t - 1)}{q - t} $$
である。
ここで、分母の $q - t$ について考える。 $q^2 = t^2 + (\cos t - 1)^2$ より $q^2 - t^2 = (\cos t - 1)^2$ であるから、
$$ (q - t)(q + t) = (\cos t - 1)^2 $$
$$ q - t = \frac{(\cos t - 1)^2}{q + t} $$
と変形できる。これを $y_R$ の式に代入すると、
$$ y_R = \frac{q(\cos t - 1)}{\frac{(\cos t - 1)^2}{q + t}} = \frac{q(q + t)}{\cos t - 1} $$
となる。
これに $q = t \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2}$ を代入して整理する。
$$ \begin{aligned} y_R &= \frac{t \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2} \left\{ t \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2} + t \right\}}{\cos t - 1} \\ &= \frac{t^2}{\cos t - 1} \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2} \left\{ \sqrt{1 + \left( \frac{\cos t - 1}{t} \right)^2} + 1 \right\} \end{aligned} $$
ここで、$t \to 0$ のときの各部分の極限を求める。
$$ \begin{aligned} \lim_{t \to 0} \frac{\cos t - 1}{t^2} &= \lim_{t \to 0} \frac{-\sin^2 t}{t^2 (1 + \cos t)} \\ &= \lim_{t \to 0} - \left( \frac{\sin t}{t} \right)^2 \frac{1}{1 + \cos t} \\ &= -1^2 \cdot \frac{1}{2} = -\frac{1}{2} \end{aligned} $$
これより、
$$ \lim_{t \to 0} \frac{t^2}{\cos t - 1} = -2 $$
である。また、
$$ \lim_{t \to 0} \frac{\cos t - 1}{t} = \lim_{t \to 0} \left( \frac{\cos t - 1}{t^2} \cdot t \right) = -\frac{1}{2} \cdot 0 = 0 $$
である。
以上の結果を用いると、$t \to 0$ のときの $y_R$ の極限は
$$ \begin{aligned} \lim_{t \to 0} y_R &= (-2) \cdot \sqrt{1 + 0^2} \cdot \left( \sqrt{1 + 0^2} + 1 \right) \\ &= (-2) \cdot 1 \cdot 2 \\ &= -4 \end{aligned} $$
となる。
点 $P$ が曲線上を動いて原点 $O$ に近づくとき、$x$ 座標は $0$ なので、点 $R$ は点 $(0, -4)$ に近づく。
解説
図形的な条件を素直に数式化し、極限を計算する問題である。 そのまま極限をとろうとすると $\frac{0}{0}$ の不定形となるため、適切な式変形が必要になる。
計算の工夫として、以下の2点が重要である。 1つ目は、$q - t$ の処理である。無理式が含まれる分母を有理化する要領で $q^2 - t^2 = (\cos t - 1)^2$ を利用すると、計算が劇的に見通しよくなる。 2つ目は、$q$ の表し方である。$q$ と $t$ が同符号であるという条件から、$q = t \sqrt{1 + \cdots}$ とくくり出すことで、$t > 0$ と $t < 0$ の場合分けをせずに一括して極限計算を行うことができる。
最後は $\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ の公式を利用するために、分母分子に $1 + \cos x$ をかける基本変形に帰着する。
答え
点 $(0, -4)$
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