京都大学 1976年 理系 第5問 解説

方針・初手
(i) 与えられた関数 $f(x)$ は、入力が $0$ 以下なら $0$、$1$ 以上なら $1$ を返す。条件(ハ)から $x=0$ で $0$、条件(ニ)から $|x|>a$ で $1$ となるような部分を $f(x)$ を用いて作り、$g(x)$ に掛けることを考える。偶関数になるような引数の変換を利用すると見通しがよい。
(ii) $0 < x < 1$ の区間を多項式でつなぐことを考える。$x=0$ と $x=1$ で関数値だけでなく微分係数も一致するように、3次関数を設定して係数を決定する。その後、微分の定義に従って微分可能であることを示す。
解法1
(i) 求める関数を次のように構成する。
$$ h(x) = g(x) f\left( \frac{x^2}{a^2} \right) $$
この $h(x)$ が条件 (ハ), (ニ) を満たす微分可能な関数であることを確認する。
まず微分可能性について、関数 $f(x)$ は微分可能であり、$\frac{x^2}{a^2}$ もすべての $x$ で微分可能である。合成関数の微分法により $f\left( \frac{x^2}{a^2} \right)$ は微分可能である。また $g(x)$ も微分可能であるため、これらの積で構成される $h(x)$ もすべての $x$ で微分可能である。
次に、条件(ハ)について確認する。
$$ h(0) = g(0) f(0) $$
$f(x)$ の条件より $x \leqq 0$ のとき $f(x)=0$ であるから $f(0)=0$ である。よって $h(0) = 0$ となり、(ハ)を満たす。
次に、条件(ニ)について確認する。 $|x| > a$ のとき、両辺は正であるため2乗して $x^2 > a^2$ すなわち $\frac{x^2}{a^2} > 1$ となる。 $f(x)$ の条件より $x \geqq 1$ のとき $f(x)=1$ であるから、$f\left( \frac{x^2}{a^2} \right) = 1$ となる。 よってこのとき、
$$ h(x) = g(x) \cdot 1 = g(x) $$
となり、(ニ)を満たす。 以上より、求める関数の一つは $h(x) = g(x) f\left( \frac{x^2}{a^2} \right)$ である。
(ii) 関数 $f(x)$ を、区間 $0 < x < 1$ において3次関数 $ax^3+bx^2+cx+d$ でつなぐことを考える。 $x=0, 1$ において関数値および微分の左極限・右極限が一致するように条件を課す。 $x \to 0$ のとき $f(x) \to 0, f'(x) \to 0$ より $d=0, c=0$。 $x \to 1$ のとき $f(x) \to 1, f'(x) \to 0$ より $a+b=1, 3a+2b=0$。 これを解いて $a=-2, b=3$ を得る。したがって、関数 $f(x)$ の例として次を定める。
$$ f(x) = \begin{cases} 0 & (x \leqq 0) \\ -2x^3 + 3x^2 & (0 < x < 1) \\ 1 & (x \geqq 1) \end{cases} $$
この関数がすべての $x$ で微分可能であることを示す。 $x < 0, 0 < x < 1, x > 1$ の各開区間において $f(x)$ は多項式または定数関数であるため、明らかに微分可能である。 したがって、$x = 0$ および $x = 1$ における微分可能性を調べればよい。
$x = 0$ について、左右の微分係数を求める。 右側極限:
$$ \lim_{h \to +0} \frac{f(h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{(-2h^3 + 3h^2) - 0}{h} = \lim_{h \to +0} (-2h^2 + 3h) = 0 $$
左側極限:
$$ \lim_{h \to -0} \frac{f(h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{0 - 0}{h} = 0 $$
左右の極限値が一致するため、$x = 0$ における微分係数が存在し、$f'(0) = 0$ となる。
$x = 1$ について、左右の微分係数を求める。 右側極限:
$$ \lim_{h \to +0} \frac{f(1+h) - f(1)}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{1 - 1}{h} = 0 $$
左側極限:
$$ \lim_{h \to -0} \frac{f(1+h) - f(1)}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{-2(1+h)^3 + 3(1+h)^2 - 1}{h} $$
分子を展開して整理すると、
$$ -2(1+3h+3h^2+h^3) + 3(1+2h+h^2) - 1 = -3h^2 - 2h^3 $$
となるから、
$$ \lim_{h \to -0} \frac{-3h^2 - 2h^3}{h} = \lim_{h \to -0} (-3h - 2h^2) = 0 $$
左右の極限値が一致するため、$x = 1$ における微分係数が存在し、$f'(1) = 0$ となる。
以上より、$f(x)$ はすべての $x$ の値において微分係数が存在するため、条件(イ)をみたす。
解法2
(i) の別解 引数の2乗を用いず、和の形で関数を構成することもできる。
$$ h(x) = g(x) \left\{ f\left(\frac{x}{a}\right) + f\left(-\frac{x}{a}\right) \right\} $$
微分可能性については、解法1と同様に各成分が微分可能であることから示される。
条件(ハ)について、$h(0) = g(0) \{f(0) + f(0)\} = 0$ となり満たす。
条件(ニ)について、正数 $a$ より、 $x > a$ のとき $\frac{x}{a} > 1$ であり $-\frac{x}{a} < -1 < 0$ となるため、$f\left(\frac{x}{a}\right) = 1$、$f\left(-\frac{x}{a}\right) = 0$ である。 よって $h(x) = g(x)(1+0) = g(x)$ となる。
$x < -a$ のとき $\frac{x}{a} < -1 < 0$ であり $-\frac{x}{a} > 1$ となるため、$f\left(\frac{x}{a}\right) = 0$、$f\left(-\frac{x}{a}\right) = 1$ である。 よって $h(x) = g(x)(0+1) = g(x)$ となる。
したがって $|x| > a$ において常に $h(x) = g(x)$ となり、(ニ)を満たす。
解説
(i) は「滑らかな関数の貼り合わせ」を一般化した問題である。特定の区間で $0$、別の区間で $1$ をとる関数(カットオフ関数、または遷移関数とよばれる)の性質を利用して、所望の領域でだけ関数 $g(x)$ を有効にするような関数を合成する。引数に $x^2$ を用いると絶対値の条件を簡潔に扱える。
(ii) は関数を滑らかに(微分の値も含めて)補間する定番手法である。境界の $x=0, 1$ で関数値だけでなく、微分係数(傾き)も $0$ になるように多項式 $ax^3+bx^2+cx+d$ の係数を決定することで得られる。定義域の境界における微分可能性は、左右の微分係数の一致を定義通りに確認することが重要である。
答え
(i)
$$ h(x) = g(x) f\left( \frac{x^2}{a^2} \right) $$
(ii)
関数 $f(x)$ の例:
$$ f(x) = \begin{cases} 0 & (x \leqq 0) \\ -2x^3 + 3x^2 & (0 < x < 1) \\ 1 & (x \geqq 1) \end{cases} $$
((イ)をみたすことの証明は解法1を参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











