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東京工業大学 1969年 理系 第5問 解説

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東京工業大学 1969年 理系 第5問 解説

方針・初手

方程式を $f(x) = \sum_{k=0}^n a_k x^k - x = 0$ とおき、関数 $f(x)$ の区間 $[0, 1]$ における増減とグラフの形状(凸性)を調べる。 端点での値 $f(0)$ と $f(1)$ に着目し、第2次導関数 $f''(x)$ の符号から $f'(x)$ の単調性を導くことで、条件と根の個数を結びつける。

解法1

方程式の右辺から左辺を引いた関数を $f(x)$ とおく。

$$ f(x) = \sum_{k=0}^n a_k x^k - x $$

与えられた条件 $\sum_{k=0}^n a_k = 1$ より、区間の端点での値を調べると、

$$ f(0) = a_0 > 0 $$

$$ f(1) = \sum_{k=0}^n a_k - 1 = 1 - 1 = 0 $$

となる。次に $f(x)$ を微分する。

$$ f'(x) = \sum_{k=1}^n k a_k x^{k-1} - 1 $$

$$ f''(x) = \sum_{k=2}^n k(k-1) a_k x^{k-2} $$

ここで、$k \geqq 2$ に対して $a_k \geqq 0$ であるため、$x > 0$ の範囲において $k(k-1) a_k x^{k-2} \geqq 0$ が成り立つ。したがって、

$$ f''(x) \geqq 0 \quad (x > 0) $$

となり、$f'(x)$ は $x > 0$ において単調非減少(広義の単調増加)であることがわかる。

(i) 必要性の証明

方程式 $f(x) = 0$ が $0 < x < 1$ にただ1つの根 $\alpha$ をもつと仮定し、背理法を用いて $\sum_{k=1}^n k a_k > 1$ を示す。

$\sum_{k=1}^n k a_k \leqq 1$ と仮定する。これは $f'(1) \leqq 0$ を意味する。 $f'(x)$ は $x > 0$ で単調非減少であるから、$0 < x < 1$ において常に $f'(x) \leqq f'(1) \leqq 0$ となる。 これより、$f(x)$ は区間 $[0, 1]$ において単調非増加である。

$f(1) = 0$ であるから、単調非増加であることと合わせると、区間 $[0, 1]$ 全体において $f(x) \geqq 0$ となる。 仮に $f(\alpha) = 0 \ (0 < \alpha < 1)$ となる点が存在したとすると、$x \geqq \alpha$ において $f(x) \leqq f(\alpha) = 0$ となる。 $f(x) \geqq 0$ と合わせると、区間 $[\alpha, 1]$ 全体で $f(x) = 0$ となり、方程式が $0 < x < 1$ に無数の根をもつことになってしまう。 これは「ただ1つの根をもつ」という仮定に矛盾する。

よって、$\sum_{k=1}^n k a_k > 1$ が成り立つ。

(ii) 十分性の証明

$\sum_{k=1}^n k a_k > 1$ と仮定する。これは $f'(1) > 0$ を意味する。

$f'(x)$ は単調非減少であるから、もし区間 $(0, 1)$ で常に $f'(x) \geqq 0$ だとすると、$f(x)$ は単調非減少となり、$f(0) > 0$ かつ $f(1) = 0$ であることに矛盾する。 よって、$f'(x) < 0$ となる $x \in (0, 1)$ が存在する。

$f'(x)$ は単調非減少であるから、ある実数 $\beta \in (0, 1)$ が存在して、$0 < x < \beta$ では $f'(x) < 0$、$\beta < x < 1$ では $f'(x) > 0$ となる。 ($f'(x) = 0$ となる区間を含む可能性もあるが、全体としての増減は変わらない) すなわち、$f(x)$ は $x = 0$ での正の値 $a_0$ から単調に減少し、負の極小値をとった後、単調に増加して $x = 1$ で $0$ になる。

$f(0) > 0$ であり、減少した先の極小値は負であるから、中間値の定理より減少区間に $f(x) = 0$ となる根が少なくとも1つ存在する。 また、極小をとった後は単調に増加して $f(1) = 0$ に至るため、$0 < x < 1$ の範囲で再び $f(x) = 0$ となることはない。

したがって、$0 < x < 1$ を満たす根はただ1つである。

以上 (i), (ii) より、方程式が $0 < x < 1$ にただ1つの根をもつための必要十分条件は $\sum_{k=1}^n k a_k > 1$ であることが示された。

解説

方程式の解の存在と個数を示す、微分の応用として非常に典型的な問題である。 直接方程式を解くことはできないため、$f(x) = (\text{右辺}) - (\text{左辺})$ という関数を設定し、その増減と凸性を調べるという定石に従う。 本問では $f''(x) \geqq 0$ からグラフが下に凸(または直線部分を含む)であることがわかり、端点の値 $f(0) > 0$ および $f(1) = 0$ を結びつけることで、グラフが $x$ 軸と交わる様子を視覚的・論理的に捉えることができる。 必要性の証明において、背理法を用いて「関数が一部の区間で定数 $0$ になってしまう」という事象を引き起こし、ただ1つの根をもつという条件との矛盾を突く論理展開がポイントである。

答え

$$ \sum_{k=1}^n k a_k > 1 $$

が、方程式が $0 < x < 1$ にただ1つの根をもつための必要十分条件である。

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