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京都大学 1978年 理系 第5問 解説

数学2/複素数と方程式数学A/整数問題数学A/場合の数テーマ/場合分け
京都大学 1978年 理系 第5問 解説

方針・初手

問題の条件である「整数」に強く着目する。 (i) は方程式が3つの整数解をもつ条件である。解と係数の関係を用いると、3つの解の積が定数項から決まるため、解の候補を絞り込むことができる。 (ii) も同様に、整数解がみたすべき必要条件から解の候補が限られることを利用し、それらが解となるための $m, n$ の条件を立式する。 (iii) は (ii) で求めた条件式を $m, n$ 平面上の直線とみなし、指定された領域内の格子点の個数を数え上げる。直線の交点(重複して数えてしまう点)に注意する。

解法1

(i) 方程式 $f(x) = 0$ の3つの整数解を $\alpha, \beta, \gamma$(重解の場合は同じ値を含む)とする。 解と係数の関係から、以下の式が成り立つ。

$$ \begin{cases} \alpha + \beta + \gamma = -m \\ \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha = n \\ \alpha\beta\gamma = -2 \end{cases} $$

$\alpha, \beta, \gamma$ は整数であり、その積が $-2$ であることから、絶対値の組み合わせは $\{1, 1, 2\}$ に限られる。積が負になるように符号を考慮すると、3つの整数の組 $\{\alpha, \beta, \gamma\}$ は順序を問わず以下の3通りとなる。

(ア)

$\{1, 1, -2\}$ のとき $m = -(1+1-2) = 0$ $n = 1\cdot1 + 1\cdot(-2) + (-2)\cdot1 = -3$

(イ)

$\{1, -1, 2\}$ のとき $m = -(1-1+2) = -2$ $n = 1\cdot(-1) + (-1)\cdot2 + 2\cdot1 = -1$

(ウ)

$\{-1, -1, -2\}$ のとき $m = -(-1-1-2) = 4$ $n = (-1)\cdot(-1) + (-1)\cdot(-2) + (-2)\cdot(-1) = 5$

いずれの場合も $m, n$ は整数となる。よって、求める組は $(0, -3), (-2, -1), (4, 5)$ である。

(ii) 方程式 $f(x) = 0$ が少なくとも1つの整数解 $x = k$ をもつとする。方程式に代入して整理すると、

$$ k^3 + mk^2 + nk + 2 = 0 $$

$$ k(k^2 + mk + n) = -2 $$

$m, n, k$ は整数であるから、$k^2 + mk + n$ も整数であり、$k$ は $-2$ の約数となる。 すなわち、$k$ の候補は $1, -1, 2, -2$ のいずれかである。 方程式 $f(x) = 0$ が少なくとも1つの整数解をもつための必要十分条件は、$f(1)=0, f(-1)=0, f(2)=0, f(-2)=0$ の少なくとも1つが成り立つことである。 それぞれ計算すると、

$$ \begin{aligned} f(1) = 0 &\iff 1 + m + n + 2 = 0 \iff m + n + 3 = 0 \\ f(-1) = 0 &\iff -1 + m - n + 2 = 0 \iff m - n + 1 = 0 \\ f(2) = 0 &\iff 8 + 4m + 2n + 2 = 0 \iff 2m + n + 5 = 0 \\ f(-2) = 0 &\iff -8 + 4m - 2n + 2 = 0 \iff 2m - n - 3 = 0 \end{aligned} $$

したがって、求める必要十分条件は、「$m+n+3=0$, $m-n+1=0$, $2m+n+5=0$, $2m-n-3=0$ の少なくとも1つが成り立つこと」である。

(iii) (ii) で求めた4つの条件式を、それぞれ直線 $L_1, L_2, L_3, L_4$ とする。

$$ \begin{aligned} L_1 &: n = -m - 3 \\ L_2 &: n = m + 1 \\ L_3 &: n = -2m - 5 \\ L_4 &: n = 2m - 3 \end{aligned} $$

領域 $D: |m| \leqq 5$ かつ $|n| \leqq 5$ の範囲内で、各直線上にある整数 $(m, n)$ の個数を数える。

$L_1$ について:$-5 \leqq -m - 3 \leqq 5$ を解くと $-8 \leqq m \leqq 2$ である。領域 $D$ の条件 $-5 \leqq m \leqq 5$ との共通範囲は $-5 \leqq m \leqq 2$ となり、これを満たす整数 $m$ は $8$ 個ある。

$L_2$ について:$-5 \leqq m + 1 \leqq 5$ を解くと $-6 \leqq m \leqq 4$ である。共通範囲は $-5 \leqq m \leqq 4$ となり、これを満たす整数 $m$ は $10$ 個ある。

$L_3$ について:$-5 \leqq -2m - 5 \leqq 5$ を解くと $-5 \leqq m \leqq 0$ である。これは $-5 \leqq m \leqq 5$ を満たしており、整数 $m$ は $6$ 個ある。

$L_4$ について:$-5 \leqq 2m - 3 \leqq 5$ を解くと $-1 \leqq m \leqq 4$ である。これは $-5 \leqq m \leqq 5$ を満たしており、整数 $m$ は $6$ 個ある。

これらの個数の単純な和は $8 + 10 + 6 + 6 = 30$(個)である。 ここから、複数の直線の交点となって重複して数えられた点を引く。 交点は、方程式が複数の整数解をもつための $m, n$ の条件にほかならない。すなわち、(i) で求めた3組と対応する。

実際に各直線の交点を調べると、 $L_1, L_2, L_3$ は点 $(-2, -1)$ で交わる。(3直線が1点で交わるため、和の中で3回数えられている) $L_1, L_4$ は点 $(0, -3)$ で交わる。(和の中で2回数えられている) $L_2, L_4$ は点 $(4, 5)$ で交わる。(和の中で2回数えられている) これら以外に、領域 $D$ 内にある整数の交点はない。

したがって、重複分を引いて補正すると、求める $(m, n)$ の組の総数は以下のようになる。

$$ 30 - 2 - 1 - 1 = 26 $$

解説

整係数方程式の整数解に関する典型的な問題である。 (i) において、整係数方程式 $x^3 + mx^2 + nx + p = 0$ が整数解 $k$ をもつならば、$k$ は定数項 $p$ の約数になるという性質(有理根定理の一部)は非常によく使われる。本問では解と係数の関係を用いることで、候補の列挙から立式までスムーズに進めることができる。 (iii) の数え上げでは、複数の直線の交点の意味を考えると見通しが良くなる。ある点が例えば2つの直線 $L_1$ と $L_4$ の交点であるということは、そのときの $m, n$ の値において元の3次方程式が $x=1$ と $x=-2$ の2つの整数解をもつことを意味する。この事実を利用することで、(i) の結果がそのまま交点の座標として使えることに気づき、重複の数え漏れを防ぐことができる。

答え

(i)

$(m, n) = (0, -3), (-2, -1), (4, 5)$

(ii)

$m+n+3=0, m-n+1=0, 2m+n+5=0, 2m-n-3=0$ の少なくとも1つが成り立つこと。 (または $(m+n+3)(m-n+1)(2m+n+5)(2m-n-3) = 0$ が成り立つこと)

(iii)

26 通り

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