京都大学 1980年 理系 第3問 解説

方針・初手
(i) 与えられた条件(1)から $l+m+n=1$、条件(3)から内積の成分計算により $lm+mn+nl=0$ を導き出す。 これらの対称式から $l^2+m^2+n^2$ の値を計算し、点 $A, B, C$ が原点からの距離が一定であること(すなわち同一球面上にあること)を示す。固定された平面と固定された球面の交わりは「定円」になることを利用する。
(ii) 四面体の体積は、「底面積 $\times$ 高さ $\times \frac{1}{3}$」で計算する。 (i) で導いた関係式を用いると、$\triangle ABC$ の3辺の長さが一定になること、および平面 $x+y+z=1$ と原点との距離(四面体の高さ)が一定であることがわかる。
(iii) 6つの中点の座標を $l, m, n$ を用いて表す。点 $A, B, C$ の座標が巡回対称であることから、球面の中心 $S$ も直線 $x=y=z$ 上にあると予測し、その座標を $(k, k, k)$ とおいて距離を計算・比較することで中心と半径を特定する。
解法1
(i) 条件より、点 $A, B, C$ の座標はそれぞれ $A(l,m,n), B(m,n,l), C(n,l,m)$ である。 (1) より、点 $A$ は平面 $x+y+z=1$ 上にあるため、
$$ l + m + n = 1 \quad \cdots \text{①} $$
(3) より、$\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = 0$ であるため、成分で計算して
$$ lm + mn + nl = 0 \quad \cdots \text{②} $$
ここで、$l^2 + m^2 + n^2$ を計算すると、
$$ l^2 + m^2 + n^2 = (l+m+n)^2 - 2(lm + mn + nl) $$
①、②を代入して、
$$ l^2 + m^2 + n^2 = 1^2 - 2 \cdot 0 = 1 $$
したがって、$|\overrightarrow{OA}|^2 = l^2+m^2+n^2 = 1$、$|\overrightarrow{OB}|^2 = m^2+n^2+l^2=1$、$|\overrightarrow{OC}|^2 = n^2+l^2+m^2=1$ となり、3点 $A, B, C$ は原点 $O$ を中心とする半径 $1$ の球面 $x^2+y^2+z^2=1$ 上にある。 これと条件(1)を合わせると、3点 $A, B, C$ は「定平面 $x+y+z=1$ と定球面 $x^2+y^2+z^2=1$ の交線」上に常に存在する。 定平面と定球面の交線は定円であるため、3点 $A, B, C$ はとりかたに関せず定円上にあることが示された。
(ii) 線分 $AB$ の長さの2乗を計算する。
$$ AB^2 = (m-l)^2 + (n-m)^2 + (l-n)^2 = 2(l^2+m^2+n^2) - 2(lm+mn+nl) $$
(i) で求めた関係式を用いると、
$$ AB^2 = 2 \cdot 1 - 2 \cdot 0 = 2 $$
対称性より、$BC^2 = 2, CA^2 = 2$ も同様に成り立つ。 したがって、$\triangle ABC$ は1辺の長さが $\sqrt{2}$ の正三角形であり、その面積 $S$ は
$$ S = \frac{\sqrt{3}}{4}(\sqrt{2})^2 = \frac{\sqrt{3}}{2} $$
となる。 また、四面体 $OABC$ の高さ $h$ は、原点 $O(0,0,0)$ と平面 $x+y+z-1=0$ との距離であるから、点と平面の距離の公式より
$$ h = \frac{|0 + 0 + 0 - 1|}{\sqrt{1^2+1^2+1^2}} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$
したがって、四面体 $OABC$ の体積 $V$ は
$$ V = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{6} $$
となり、$l, m, n$ の値に関せず一定であることが示された。
(iii) 線分 $OA$ の中点 $P$ の座標は、$\left( \frac{l}{2}, \frac{m}{2}, \frac{n}{2} \right)$ である。 線分 $BC$ の中点 $L$ の座標は、$\left( \frac{m+n}{2}, \frac{n+l}{2}, \frac{l+m}{2} \right)$ であるが、$l+m+n=1$ より $m+n=1-l$ などが成り立つため、
$$ L \left( \frac{1-l}{2}, \frac{1-m}{2}, \frac{1-n}{2} \right) $$
と表せる。 他の4つの中点についても座標の成分が巡回するだけであり、対称性から定球面の中心 $S$ は直線 $x=y=z$ 上にあると推測できる。中心の座標を $S(k, k, k)$ とおき、各点からの距離の2乗を計算する。
$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{SP}|^2 &= \left( \frac{l}{2} - k \right)^2 + \left( \frac{m}{2} - k \right)^2 + \left( \frac{n}{2} - k \right)^2 \\ &= \frac{l^2+m^2+n^2}{4} - k(l+m+n) + 3k^2 \\ &= \frac{1}{4} - k + 3k^2 \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{SL}|^2 &= \left( \frac{1-l}{2} - k \right)^2 + \left( \frac{1-m}{2} - k \right)^2 + \left( \frac{1-n}{2} - k \right)^2 \\ &= \left( \frac{1}{2} - k - \frac{l}{2} \right)^2 + \left( \frac{1}{2} - k - \frac{m}{2} \right)^2 + \left( \frac{1}{2} - k - \frac{n}{2} \right)^2 \\ &= 3\left( \frac{1}{2} - k \right)^2 - \left( \frac{1}{2} - k \right)(l+m+n) + \frac{l^2+m^2+n^2}{4} \\ &= 3\left( \frac{1}{4} - k + k^2 \right) - \left( \frac{1}{2} - k \right) \cdot 1 + \frac{1}{4} \\ &= \frac{3}{4} - 3k + 3k^2 - \frac{1}{2} + k + \frac{1}{4} \\ &= \frac{1}{2} - 2k + 3k^2 \end{aligned} $$
これらが等しくなるための条件は、
$$ \frac{1}{4} - k + 3k^2 = \frac{1}{2} - 2k + 3k^2 \iff k = \frac{1}{4} $$
このとき、$|\overrightarrow{SP}|^2$ および $|\overrightarrow{SL}|^2$ の値は、
$$ \frac{1}{4} - \frac{1}{4} + 3\left(\frac{1}{4}\right)^2 = \frac{3}{16} $$
となる。 点 $Q, R$ は点 $P$ の成分の巡回置換、点 $M, N$ は点 $L$ の成分の巡回置換であるため、$S\left(\frac{1}{4}, \frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)$ との距離の2乗の計算式はそれぞれ一致し、すべて $\frac{3}{16}$ となる。 したがって、6点 $L, M, N, P, Q, R$ はすべて、定点 $\left(\frac{1}{4}, \frac{1}{4}, \frac{1}{4}\right)$ を中心とする半径 $\frac{\sqrt{3}}{4}$ の定球面上にあることが示された。
解説
対称式と図形的性質を巧みに結びつける、大学入試における空間図形の良問である。 「平面かつ球面」の条件が「空間上の円」を定めるという論理は頻出事項なので、(i)は確実に得点したいところである。(ii)は座標を用いて泥臭く計算することも可能であるが、対称性を活かして底面の正三角形を見抜くと劇的に計算が減る。 (iii)で登場する6つの点は、四面体における「各辺の中点」である。定球面の中心 $(1/4, 1/4, 1/4)$ は、実はこの四面体 $OABC$ の重心の位置と一致している。初等幾何で知られる「四面体の重心と各辺の中点の関係」を代数的に証明させた問題と言える。
答え
(i)
略(解法1の証明を参照)
(ii)
略(解法1の証明を参照)
(iii)
略(解法1の証明を参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











