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京都大学 1996年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
京都大学 1996年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間図形における切り口の面積の最大値を求める問題です。まず平面 $\alpha$ の方程式を立式し、四面体のどの辺と交わるかを特定します。切り口の形状が定まれば、ベクトルを用いて面積を $t$ の関数として表し、最大値を求める問題に帰着させます。

解法1

直線 $l$ は $z=0$ 上の $x+y=0$ であるから、その方向ベクトルの一つは $\vec{v} = (1, -1, 0)$ である。 平面 $\alpha$ は直線 $l$ に垂直であるから、$\vec{v}$ は $\alpha$ の法線ベクトルとなる。 また、$\alpha$ は点 $A(1, 0, 0)$ を通るので、その方程式は

$$ 1 \cdot (x - 1) - 1 \cdot (y - 0) + 0 \cdot (z - 0) = 0 $$

すなわち

$$ x - y - 1 = 0 $$

となる。

ここで、$f(x, y, z) = x - y - 1$ とおく。四面体 $ABCP$ の各頂点を代入すると

$$\begin{aligned} f(A) &= 1 - 0 - 1 = 0 \\ f(B) &= 0 - 1 - 1 = -2 < 0 \\ f(C) &= 0 - 0 - 1 = -1 < 0 \\ f(P) &= t - (-t) - 1 = 2t - 1 \end{aligned}$$

$t > \frac{1}{2}$ であるから、$f(P) > 0$ となる。 これより、点 $A$ は平面 $\alpha$ 上にあり、点 $B, C$ は $\alpha$ に対して同じ側に、点 $P$ は反対側にあることがわかる。 したがって、平面 $\alpha$ は線分 $PB$ および線分 $PC$ と交わり、四面体との切り口は三角形となる。 交点をそれぞれ $Q, R$ とする。

線分 $PB$ 上の点 $Q$ は、実数 $k$ ($0 < k < 1$) を用いて

$$ \overrightarrow{OQ} = (1 - k)\overrightarrow{OB} + k\overrightarrow{OP} = (kt, 1 - k - kt, 0) $$

と表せる。これが $\alpha$ 上にあるから

$$ kt - (1 - k - kt) - 1 = 0 \iff k(2t + 1) = 2 $$

$t > \frac{1}{2}$ より $2t + 1 \neq 0$ なので $k = \frac{2}{2t + 1}$ となり、これは $0 < k < 1$ を満たす。 よって、$Q$ の座標は

$$ Q \left( \frac{2t}{2t+1}, \frac{-1}{2t+1}, 0 \right) $$

線分 $PC$ 上の点 $R$ は、実数 $m$ ($0 < m < 1$) を用いて

$$ \overrightarrow{OR} = (1 - m)\overrightarrow{OC} + m\overrightarrow{OP} = (mt, -mt, 1 - m) $$

と表せる。これが $\alpha$ 上にあるから

$$ mt - (-mt) - 1 = 0 \iff 2mt = 1 $$

$t > \frac{1}{2}$ より $m = \frac{1}{2t}$ となり、これは $0 < m < 1$ を満たす。 よって、$R$ の座標は

$$ R \left( \frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 1 - \frac{1}{2t} \right) $$

切り口は $\triangle AQR$ であり、

$$ \overrightarrow{AQ} = \left( \frac{2t}{2t+1} - 1, \frac{-1}{2t+1}, 0 \right) = \left( \frac{-1}{2t+1}, \frac{-1}{2t+1}, 0 \right) $$

$$ \overrightarrow{AR} = \left( \frac{1}{2} - 1, -\frac{1}{2}, 1 - \frac{1}{2t} \right) = \left( -\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, \frac{2t-1}{2t} \right) $$

面積を計算するために $|\overrightarrow{AQ}|^2, |\overrightarrow{AR}|^2, \overrightarrow{AQ} \cdot \overrightarrow{AR}$ を求める。

$$ |\overrightarrow{AQ}|^2 = \left(\frac{-1}{2t+1}\right)^2 + \left(\frac{-1}{2t+1}\right)^2 = \frac{2}{(2t+1)^2} $$

$$ |\overrightarrow{AR}|^2 = \left(-\frac{1}{2}\right)^2 + \left(-\frac{1}{2}\right)^2 + \left(\frac{2t-1}{2t}\right)^2 = \frac{1}{2} + \frac{(2t-1)^2}{4t^2} $$

$$ \overrightarrow{AQ} \cdot \overrightarrow{AR} = \frac{-1}{2t+1}\left(-\frac{1}{2}\right) + \frac{-1}{2t+1}\left(-\frac{1}{2}\right) + 0 = \frac{1}{2t+1} $$

面積 $S(t)$ は

$$\begin{aligned} S(t) &= \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{AQ}|^2 |\overrightarrow{AR}|^2 - (\overrightarrow{AQ} \cdot \overrightarrow{AR})^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\frac{2}{(2t+1)^2} \left\{ \frac{1}{2} + \frac{(2t-1)^2}{4t^2} \right\} - \frac{1}{(2t+1)^2}} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\frac{1}{(2t+1)^2} \left\{ 1 + \frac{(2t-1)^2}{2t^2} - 1 \right\}} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\frac{(2t-1)^2}{2t^2(2t+1)^2}} \end{aligned}$$

$t > \frac{1}{2}$ より $2t - 1 > 0$ なので

$$ S(t) = \frac{1}{2} \frac{2t-1}{\sqrt{2}t(2t+1)} = \frac{\sqrt{2}}{4} \frac{2t-1}{2t^2+t} $$

$f(t) = \frac{2t-1}{2t^2+t}$ とおき、微分して最大値を求める。

$$\begin{aligned} f'(t) &= \frac{2(2t^2+t) - (2t-1)(4t+1)}{(2t^2+t)^2} \\ &= \frac{4t^2+2t - (8t^2-2t-1)}{(2t^2+t)^2} \\ &= \frac{-4t^2+4t+1}{(2t^2+t)^2} \end{aligned}$$

$f'(t) = 0$ とすると $4t^2 - 4t - 1 = 0$ となり、$t = \frac{1 \pm \sqrt{2}}{2}$。 $t > \frac{1}{2}$ の範囲における $f(t)$ の増減表は以下のようになる。

$t$ $\left(\frac{1}{2}\right)$ $\cdots$ $\frac{1+\sqrt{2}}{2}$ $\cdots$
$f'(t)$ $+$ $0$ $-$
$f(t)$ $(0)$ $\nearrow$ 極大かつ最大 $\searrow$

$t = \frac{1+\sqrt{2}}{2}$ のとき、

$$ 2t^2 + t = t(2t + 1) = \frac{1+\sqrt{2}}{2} (2 + \sqrt{2}) = \frac{4 + 3\sqrt{2}}{2} $$

$$ 2t - 1 = \sqrt{2} $$

であるから

$$ f\left(\frac{1+\sqrt{2}}{2}\right) = \frac{\sqrt{2}}{\frac{4+3\sqrt{2}}{2}} = \frac{2\sqrt{2}}{4+3\sqrt{2}} = \frac{2\sqrt{2}(3\sqrt{2}-4)}{18-16} = 6 - 4\sqrt{2} $$

よって、求める最大値は

$$ S\left(\frac{1+\sqrt{2}}{2}\right) = \frac{\sqrt{2}}{4} (6 - 4\sqrt{2}) = \frac{3\sqrt{2} - 4}{2} $$

解法2

$\overrightarrow{AQ}, \overrightarrow{AR}$ を求める手順までは解法1と同様とする。

得られたベクトルを観察すると、$\overrightarrow{AQ} = \frac{-1}{2t+1}(1, 1, 0)$ は $xy$ 平面上のベクトルである。 また、$\overrightarrow{AR} = \left( -\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, \frac{2t-1}{2t} \right)$ の $xy$ 平面への正射影ベクトルは $\left( -\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 0 \right)$ であり、これは $\overrightarrow{AQ}$ と平行である。

したがって、点 $R$ から直線 $AQ$ に下ろした垂線の足は、点 $R$ の $xy$ 平面への正射影そのものと一致する。 ゆえに、$\triangle AQR$ の底辺を $AQ$ とすると、高さは点 $R$ の $z$ 座標の絶対値に等しい。

$$ |\overrightarrow{AQ}| = \frac{1}{2t+1} \sqrt{(-1)^2 + (-1)^2} = \frac{\sqrt{2}}{2t+1} $$

高さ $h = \left| \frac{2t-1}{2t} \right| = \frac{2t-1}{2t}$

よって面積 $S(t)$ は

$$ S(t) = \frac{1}{2} |\overrightarrow{AQ}| h = \frac{1}{2} \frac{\sqrt{2}}{2t+1} \frac{2t-1}{2t} = \frac{\sqrt{2}}{2} \frac{2t-1}{4t^2+2t} $$

ここで、最大値を相加平均と相乗平均の大小関係を用いて求める。 $u = 2t - 1$ とおくと、$t > \frac{1}{2}$ より $u > 0$ である。 $2t = u + 1$ より、分母は $4t^2 + 2t = 2t(2t + 1) = (u + 1)(u + 2) = u^2 + 3u + 2$ と表せる。

$$ \frac{2t-1}{4t^2+2t} = \frac{u}{u^2+3u+2} = \frac{1}{u + \frac{2}{u} + 3} $$

$u > 0, \frac{2}{u} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より

$$ u + \frac{2}{u} \geqq 2\sqrt{u \cdot \frac{2}{u}} = 2\sqrt{2} $$

等号が成立するのは $u = \frac{2}{u}$、すなわち $u^2 = 2$ のときであり、$u > 0$ より $u = \sqrt{2}$(このとき $t = \frac{\sqrt{2}+1}{2}$)のときである。

分母が最小となるとき全体は最大となるので、$\frac{2t-1}{4t^2+2t}$ の最大値は

$$ \frac{1}{2\sqrt{2} + 3} = \frac{3 - 2\sqrt{2}}{9 - 8} = 3 - 2\sqrt{2} $$

したがって、求める面積の最大値は

$$ \frac{\sqrt{2}}{2} (3 - 2\sqrt{2}) = \frac{3\sqrt{2} - 4}{2} $$

解説

空間座標における図形の切り口と面積の最大化を問う典型的な国公立大レベルの問題です。 最初の関門は「平面と四面体の切り口の形状を正しく特定すること」です。方程式 $f(x, y, z) = 0$ において、各頂点の座標を代入した際の値の符号が異なれば、その2点間を結ぶ線分と平面が交わるという性質(中間値の定理の応用)を利用すると、図形的イメージに頼らずに確実な判定ができます。

面積の計算においては、解法1のようにベクトルの面積公式に代入して計算を進めるのが基本ですが、解法2のように各ベクトルの成分の特徴から図形的な位置関係(正射影)を見抜くことができると、計算量を劇的に減らすことができます。また、最大値を求める場面においても、微分の代わりに相加・相乗平均の大小関係を利用できる式変形(分子が1次、分母が2次の分数式の定石)に気付けると、タイムロスを防ぐことができます。

答え

$$ \frac{3\sqrt{2} - 4}{2} $$

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