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京都大学 1981年 理系 第3問 解説

数学3/微分法数学2/指数対数テーマ/不等式の証明テーマ/存在証明
京都大学 1981年 理系 第3問 解説

方針・初手

与えられた不等式が $x=1$ のときに両辺ともに $0$ になることに着目する。 $x=1$ の前後での大小関係から $k$ の値を絞り込むアプローチが有効である。 関数としておいて極小値(最小値)の条件 $f'(1)=0$ を用いる方法(解法1)や、両辺を $x-1$ で割って極限をとる(微分の定義を利用する)方法(解法2)がある。本問は「~であるならば、 $k = \frac{m}{m+1}$ であることを示せ」という形式なので、$k$ がその値になる必要条件を示すだけで証明は完了する。

解法1

$f(x) = k(x^{m+1} - 1) - (x^m - 1)$ とおく。

仮定より、$x > 0$ において常に $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。

ここで、$f(1) = k(1 - 1) - (1 - 1) = 0$ である。

$f(x)$ は $x > 0$ 全体で微分可能な関数であり、$x=1$ において最小値 $0$ をとるため、$x=1$ における微分係数は $0$ でなければならない。すなわち、

$$ f'(1) = 0 $$

が必要である。

$f'(x)$ を計算すると、

$$ f'(x) = k(m+1)x^m - mx^{m-1} $$

したがって、

$$ f'(1) = k(m+1) - m $$

これが $0$ に等しいので、

$$ k(m+1) - m = 0 \iff k(m+1) = m $$

$m$ は自然数であるから $m+1 \neq 0$ であり、両辺を $m+1$ で割って

$$ k = \frac{m}{m+1} $$

であることが示された。

解法2

$x^m - 1 \leqq k(x^{m+1} - 1)$ $\cdots$ ① とする。

(i) $x > 1$ のとき

$x-1 > 0$ であるから、① の両辺を $x-1$ で割ると、

$$ \frac{x^m - 1}{x - 1} \leqq k \frac{x^{m+1} - 1}{x - 1} $$

ここで $x \to 1+0$ の極限をとると、微分の定義 $\lim_{x \to 1} \frac{x^n - 1^n}{x - 1} = \left[ \frac{d}{dx} x^n \right]_{x=1} = n$ より、

$$ m \leqq k(m+1) \quad \cdots \text{②} $$

となる。

(ii) $0 < x < 1$ のとき

$x-1 < 0$ であるから、① の両辺を $x-1$ で割ると不等号の向きが変わり、

$$ \frac{x^m - 1}{x - 1} \geqq k \frac{x^{m+1} - 1}{x - 1} $$

ここで $x \to 1-0$ の極限をとると、微分の定義と同様にして、

$$ m \geqq k(m+1) \quad \cdots \text{③} $$

となる。

仮定より、① は $x > 0$ で常に成り立つため、② と ③ が同時に成り立たなければならない。

よって、

$$ k(m+1) = m $$

$m$ は自然数より $m+1 \neq 0$ であるから、

$$ k = \frac{m}{m+1} $$

であることが示された。

解説

不等式が常に成り立つ条件から係数を決定する問題である。 等号が成立する点(本問では $x=1$)が定義域の端点ではなく内点である場合、「その点で関数が最小値をとる $\implies$ 微分係数が $0$ になる」という必要条件をあぶり出すアプローチが極めて有効である。

解法2のように、平均変化率の極限に持ち込んで挟み撃ちの原理のように等式を導くのも数学的に美しく、微分の定義の理解度が問われる良解法と言える。 なお、本問は「ならば」の結論を導く形であるため、 $k = \frac{m}{m+1}$ のときに本当に不等式が成立するか(十分性)を示す必要はない。

答え

略(解法1の証明を参照)

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