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京都大学 1985年 理系 第3問 解説

数学2/複素数と方程式数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/存在証明
京都大学 1985年 理系 第3問 解説

方針・初手

(i) については、方程式の解の公式から $\alpha, \beta$ を具体的に求め、$\gamma = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおいて実部と虚部を比較することで、$t, u$ に関する連立方程式に帰着させる。 (ii) については、条件 $(*)$ を「方程式 $f(z) = 0$ の解が、集合 $\{ t\alpha + u\beta \mid t, u \in \mathbb{R} \}$ に含まれない」と読み替えるのがポイントである。(i) の結果を誘導として利用し、$b, c$ の値によって $\alpha, \beta$ が虚数になるか実数になるかで場合分けを行う。

解法1

(i)

$b^2 - c < 0$ より、$c - b^2 > 0$ である。 方程式 $x^2 + 2bx + c = 0$ は互いに共役な虚数解をもつため、解の公式より $\alpha, \beta$ は以下のように表せる。

$$ \alpha = -b + i\sqrt{c - b^2}, \quad \beta = -b - i\sqrt{c - b^2} $$

任意の複素数 $\gamma$ は、実数 $x, y$ を用いて $\gamma = x + yi$ と表すことができる。 $\gamma = t\alpha + u\beta$ とおくと、

$$ x + yi = t\left(-b + i\sqrt{c - b^2}\right) + u\left(-b - i\sqrt{c - b^2}\right) $$

$$ x + yi = -b(t + u) + i(t - u)\sqrt{c - b^2} $$

両辺の実部と虚部を比較して、以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} -b(t + u) = x \\ \sqrt{c - b^2}(t - u) = y \end{cases} $$

仮定より $b \neq 0$ かつ $\sqrt{c - b^2} > 0$ であるから、両辺を割ることができて、

$$ \begin{cases} t + u = -\frac{x}{b} \\ t - u = \frac{y}{\sqrt{c - b^2}} \end{cases} $$

これを $t, u$ について解くと、

$$ t = \frac{1}{2}\left(-\frac{x}{b} + \frac{y}{\sqrt{c - b^2}}\right) $$

$$ u = \frac{1}{2}\left(-\frac{x}{b} - \frac{y}{\sqrt{c - b^2}}\right) $$

$x, y, b, \sqrt{c - b^2}$ はすべて実数であるから、$t, u$ も実数として一意に定まる。 したがって、いかなる複素数 $\gamma$ に対しても $\gamma = t\alpha + u\beta$ となる実数 $t, u$ が存在することが示された。

(ii)

複素数平面上の集合 $S$ を $S = \{ t\alpha + u\beta \mid t, u \in \mathbb{R} \}$ と定義する。 条件 $(*)$ は、「$f(z) = z^2 + 2(b - 1)z + 5 - c = 0$ の解が $S$ に属さない」ことと同値である。 方程式 $x^2 + 2bx + c = 0$ の判別式に関連する $b^2 - c$ の符号によって場合分けを行う。

(ア)

$b^2 - c < 0$ かつ $b \neq 0$ のとき

(i) で示した通り、任意の複素数が $t\alpha + u\beta$ の形で表せるため、$S$ は複素数全体となる。 方程式 $f(z) = 0$ は複素数の範囲で必ず解をもつため、その解は必ず $S$ に属する。 よって、この場合は条件 $(*)$ を満たす $(b, c)$ は存在しない。

(イ)

$b^2 - c < 0$ かつ $b = 0$ のとき

$b = 0, c > 0$ であるから、$\alpha = i\sqrt{c}, \beta = -i\sqrt{c}$ となる。 このとき、

$$ t\alpha + u\beta = t(i\sqrt{c}) + u(-i\sqrt{c}) = (t - u)\sqrt{c} i $$

$t, u$ がすべての実数を動くとき、$t - u$ もすべての実数を動くため、$S$ は純虚数全体および $0$ (すなわち虚軸全体)となる。 したがって、条件 $(*)$ は「$f(z) = 0$ の解が虚軸上にないこと」となる。 $f(z) = 0$ に $z = yi$ ($y$ は実数)を代入すると、

$$ -y^2 + 2(0 - 1)yi + 5 - c = 0 $$

$$ (-y^2 + 5 - c) - 2yi = 0 $$

実部と虚部を比較して、$-y^2 + 5 - c = 0$ かつ $-2y = 0$ を得る。 これを解くと、$y = 0$ かつ $c = 5$ となる。 つまり、$c = 5$ のときに限って $z = 0$ が解となり、$S$ に属してしまうため不適となる。 よって、条件を満たすのは $c \neq 5$ のときである。 ゆえに、この場合の条件は $b = 0$ かつ $c > 0$ かつ $c \neq 5$ である。

(ウ)

$b^2 - c \geqq 0$ のとき

$\alpha, \beta$ は実数である。 もし $(b, c) = (0, 0)$ ならば $\alpha = \beta = 0$ であり、$S = \{0\}$ となる。このとき $f(0) = 5 \neq 0$ より条件 $(*)$ を満たす。 $(b, c) \neq (0, 0)$ ならば $\alpha, \beta$ の少なくとも一方は $0$ ではないため、$S$ は実数全体となる。 このとき、条件 $(*)$ は「$f(z) = 0$ が実数解をもたないこと」と同値である。 2次方程式 $f(z) = 0$ の判別式を考えて、

$$ (b - 1)^2 - (5 - c) < 0 $$

$$ b^2 - 2b + 1 - 5 + c < 0 $$

$$ c < -b^2 + 2b + 4 $$

$(b, c) = (0, 0)$ のときも $0 < 4$ となりこの不等式を満たすため、一つの条件にまとめることができる。 ゆえに、この場合の条件は $c \leqq b^2$ かつ $c < -b^2 + 2b + 4$ である。

(ア)〜(ウ) より、求める集合 $D$ は、 「$c \leqq b^2$ かつ $c < -b^2 + 2b + 4$」または「$b = 0$ かつ $c > 0$ かつ $c \neq 5$」 を満たす点 $(b, c)$ の領域である。

2つの放物線 $c = b^2$ と $c = -b^2 + 2b + 4$ の交点を求める。

$$ b^2 = -b^2 + 2b + 4 $$

$$ 2b^2 - 2b - 4 = 0 $$

$$ (b + 1)(b - 2) = 0 $$

交点は $(-1, 1), (2, 4)$ である。 $-1 < b < 2$ の範囲では $b^2 < -b^2 + 2b + 4$ となるため、領域の下側の境界は $c \leqq b^2$ が適用され、それ以外の範囲では $c < -b^2 + 2b + 4$ が境界となる。

解説

(i) は、複素数平面が実数上の2次元ベクトル空間であることを代数的に証明させる問題である。一次独立の考え方が背景にある。 (ii) は、(i) の結論を誘導として活用し、集合 $\{ t\alpha + u\beta \}$ がどのような図形を描くかを分類する。特に $b=0$ のとき、この集合が虚軸全体となることに気付けるかが最大の山場である。図示の際は、不等式の共通部分と追加の半直線(ヒゲの部分)、および境界線の有無を正確に捉える必要がある。

答え

(i)

解答の通り。

(ii)

集合 $D$ を表す条件は、以下のいずれかを満たすことである。

① $c \leqq b^2$ かつ $c < -b^2 + 2b + 4$

② $b = 0$ かつ $c > 0$ かつ $c \neq 5$

図示すると、領域 $D$ は以下の部分からなる。 ・ 放物線 $c = -b^2 + 2b + 4$ の下側($b < -1$ または $b > 2$、境界線を含まない) ・ 放物線 $c = b^2$ の下側($-1 \leqq b \leqq 2$、境界線を含む。ただし交点 $(-1, 1), (2, 4)$ は含まない) ・ $c$ 軸上の半直線 $b = 0, c > 0$ (ただし、点 $(0, 5)$ は含まない)

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