京都大学 1985年 理系 第6問 解説

方針・初手
与えられた条件(2)の式は積分方程式である。関数 $f(x)$ が連続であることから、両辺を $x$ で微分して微分方程式に帰着させるのが定石である。 得られた微分方程式を解き、$f(x)$ の形を定めた後、積分区間の下端である $x = a$ を代入して得られる初期条件と、$x = 0$ での連続性の条件を用いて、定数や関数形を決定していく。定数 $a$ と $b$ の値による場合分けが必要となる。
解法1
条件(1)より、$f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続であり、$x > 0$ で微分可能である。 条件(2)の等式
$$ b \int_{a}^{x} f(t) dt = x f(x) $$
について、$x > 0$ の範囲で両辺を $x$ で微分する。左辺は積分の基本定理より $b f(x)$ となり、右辺は積の微分法より $f(x) + x f'(x)$ となる。
$$ b f(x) = f(x) + x f'(x) $$
$$ x f'(x) - (b - 1)f(x) = 0 $$
この方程式を解くために、両辺に $x^{-b}$ を掛ける($x > 0$ であるから可能である)。
$$ x^{1-b} f'(x) - (b - 1)x^{-b} f(x) = 0 $$
左辺は積の微分の形にまとめることができる。
$$ \frac{d}{dx} \left\{ x^{1-b} f(x) \right\} = 0 $$
したがって、$x > 0$ において $x^{1-b} f(x)$ は定数となる。この定数を $C$ とおくと、
$$ x^{1-b} f(x) = C $$
$$ f(x) = C x^{b-1} \quad (x > 0) $$
次に、定数 $C$ の決定と、$x=0$ での振る舞いについて考える。 条件(2)の等式において、$x = a$ を代入すると、左辺は $0$ となる。
$$ 0 = a f(a) $$
ここで、$a$ の値によって場合分けを行う。
(i)
$a > 0$ の場合
$a f(a) = 0$ の両辺を $a$ で割ると、$f(a) = 0$ となる。 $x > 0$ において $f(x) = C x^{b-1}$ であるから、
$$ C a^{b-1} = 0 $$
$a > 0$ であるため、$C = 0$ となる。 したがって、$x > 0$ において $f(x) = 0$ である。 条件(1)より $f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続であるから、$x = 0$ においても
$$ f(0) = \lim_{x \to +0} f(x) = 0 $$
となる。ゆえに、$x \geqq 0$ において $f(x) = 0$ である。 このとき、条件(2)の左辺は $b \int_{a}^{x} 0 dt = 0$、右辺は $x \cdot 0 = 0$ となり、条件を満たす。
(ii)
$a = 0$ の場合
$a f(a) = 0$ は $0 = 0$ となり、この式からは $C$ の値を決定できない。 $x > 0$ において $f(x) = C x^{b-1}$ であり、$f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続でなければならない。 したがって、極限 $\lim_{x \to +0} f(x)$ が存在して有限確定値となり、それが $f(0)$ と一致する必要がある。 $b$ の値によってさらに場合分けを行う。
(ア)
$b - 1 > 0$ すなわち $b > 1$ のとき
$x \to +0$ のとき、$x^{b-1} \to 0$ となるため、
$$ \lim_{x \to +0} C x^{b-1} = 0 $$
したがって、$f(0) = 0$ と定めれば、$f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続となる。 このとき、条件(2)の左辺を計算すると、
$$ b \int_{0}^{x} C t^{b-1} dt = b \left[ C \frac{t^b}{b} \right]_{0}^{x} = C x^b $$
右辺は $x \cdot (C x^{b-1}) = C x^b$ となり、等式を満たす($C$ は任意の定数でよい)。
(イ)
$b - 1 = 0$ すなわち $b = 1$ のとき
$x > 0$ において $f(x) = C x^0 = C$ である。
$$ \lim_{x \to +0} f(x) = C $$
したがって、$f(0) = C$ と定めれば、$f(x)$ は $x \geqq 0$ で連続となる(定数関数)。 このとき、条件(2)の左辺は $1 \cdot \int_{0}^{x} C dt = C x$、右辺は $x \cdot C = Cx$ となり、等式を満たす($C$ は任意の定数でよい)。
(ウ)
$b - 1 < 0$ すなわち $b < 1$ のとき
$C \neq 0$ とすると、$x \to +0$ のとき $x^{b-1} \to \infty$ となり、極限が存在しない。これは $f(x)$ が $x \geqq 0$ で連続であることに反する。 極限が存在するためには、$C = 0$ でなければならない。 $C = 0$ のとき、$x > 0$ で $f(x) = 0$ となり、$f(0) = 0$ とすれば連続になる。 この関数は、(i) で確認した通り条件(2)を満たす。
解説
積分方程式を微分して微分方程式に帰着させる基本的な問題であるが、論理の丁寧さが求められる。 $x f'(x) = (b - 1)f(x)$ を解く際、$f(x) = 0$ となる可能性を排除せずに解を求めるため、$x^{-b}$ などの適切な積分因子を掛けて積の微分の形を作る手法($(x^{1-b}f(x))' = 0$)は非常に有用である。 また、積分区間の下端が $0$ かどうかによる場合分けと、指数 $b-1$ の符号によって $x=0$ での連続性がどう変化するかを正確に分類する力が試されている。
答え
$C$ を任意の定数とする。
- $a > 0$ のとき
$$ f(x) = 0 $$
- $a = 0$ のとき
$b < 1$ ならば
$$ f(x) = 0 $$
$b \geqq 1$ ならば
$$ f(x) = C x^{b-1} $$
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