京都大学 2021年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1)
$\angle BAC = \frac{\pi}{3}$ と一定であるため、正弦定理を用いて $\triangle ABC$ の外接円の半径を求めます。弦 $BC$ の垂直二等分線上に外心があることを利用して座標の候補を出し、点 $A$ の $y$ 座標が正になる条件から外心を一つに定めます。 (2) 垂心 $H$ を座標で表し、点 $A$ の満たす条件式(円の方程式)に代入して軌跡の方程式を求めます。各辺と垂線の直交条件(内積 $0$)を立式するか、外心と垂心のベクトル関係式 $\vec{OH} = \vec{OA} + \vec{OB} + \vec{OC}$ を用いると見通しよく解けます。
解法1
(1)
$\triangle ABC$ において、正弦定理より外接円の半径を $R$ とすると
$$ 2R = \frac{BC}{\sin \angle BAC} $$
$B(-\sqrt{3}, -1), C(\sqrt{3}, -1)$ より $BC = 2\sqrt{3}$ であり、$\angle BAC = \frac{\pi}{3}$ であるから
$$ 2R = \frac{2\sqrt{3}}{\sin \frac{\pi}{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{\frac{\sqrt{3}}{2}} = 4 $$
よって $R = 2$ である。 外心 $O$ は線分 $BC$ の垂直二等分線上にある。$B, C$ の $y$ 座標はともに $-1$ なので、線分 $BC$ の垂直二等分線は $y$ 軸(直線 $x=0$)である。 したがって、$O(0, p)$ とおける。 $OB = R = 2$ より、$OB^2 = 4$ であるから
$$ (-\sqrt{3} - 0)^2 + (-1 - p)^2 = 4 $$
$$ 3 + (p+1)^2 = 4 $$
$$ (p+1)^2 = 1 \iff p+1 = \pm 1 $$
これより $p = 0, -2$ となる。
(i) $p = -2$ のとき
外接円の方程式は $x^2 + (y+2)^2 = 4$ となる。 この円上の点 $(x, y)$ は $(y+2)^2 = 4 - x^2 \le 4$ より $-2 \le y+2 \le 2$、すなわち $-4 \le y \le 0$ を満たす。 これは「点 $A$ の $y$ 座標は正」という条件 $(*)$ に反するため不適である。
(ii) $p = 0$ のとき
外接円の方程式は $x^2 + y^2 = 4$ となる。 この円上には $y > 0$ となる点が存在する。 また、$\vec{OB} = (-\sqrt{3}, -1), \vec{OC} = (\sqrt{3}, -1)$ のとき、$\vec{OB} \cdot \vec{OC} = -3 + 1 = -2$。 $\cos \angle BOC = \frac{-2}{2 \times 2} = -\frac{1}{2}$ より、劣弧 $BC$ に対する中心角は $\angle BOC = \frac{2\pi}{3}$ となる。 したがって、優弧 $BC$ ($y > -1$ の部分)上の任意の点 $A$ に対し、円周角の定理より $\angle BAC = \frac{1}{2} \angle BOC = \frac{\pi}{3}$ となり、条件を満たす。 以上より、外心の座標は $(0, 0)$ である。
(2)
(1)より、点 $A$ は円 $x^2 + y^2 = 4$ の $y>0$ の部分を動く。 $A(s, t)$ とおくと、$s^2 + t^2 = 4 \cdots$ ① かつ $t > 0 \cdots$ ② である。 $\triangle ABC$ の垂心を $H(X, Y)$ とおく。 垂心 $H$ は頂点 $A$ から直線 $BC$ に下ろした垂線上にある。$BC$ は $x$ 軸に平行なので、この垂線の方程式は $x = s$ である。 したがって、$X = s$ である。 また、垂心 $H$ は頂点 $B$ から直線 $AC$ に下ろした垂線上にもある。 $\triangle ABC$ をなすので $\vec{AC} \neq \vec{0}$ であり、$\vec{BH} \cdot \vec{AC} = 0$ が成り立つ。 $\vec{BH} = (s - (-\sqrt{3}), Y - (-1)) = (s + \sqrt{3}, Y + 1)$ $\vec{AC} = (\sqrt{3} - s, -1 - t)$ 内積をとると
$$ (s + \sqrt{3})(\sqrt{3} - s) + (Y + 1)(-1 - t) = 0 $$
$$ 3 - s^2 - (Y + 1)(t + 1) = 0 $$
①より $3 - s^2 = 3 - (4 - t^2) = t^2 - 1$ であるから
$$ t^2 - 1 - (Y + 1)(t + 1) = 0 $$
$$ (t + 1)(t - 1) - (Y + 1)(t + 1) = 0 $$
②より $t > 0$ なので $t + 1 \neq 0$。両辺を $t + 1$ で割って
$$ t - 1 - (Y + 1) = 0 \iff Y = t - 2 $$
したがって、垂心 $H$ の座標は $(s, t - 2)$ と表せる。 $X = s, Y = t - 2$ より、$s = X, t = Y + 2$。 これを①、②に代入すると
$$ X^2 + (Y + 2)^2 = 4 \quad \text{かつ} \quad Y + 2 > 0 $$
すなわち、$X^2 + (Y + 2)^2 = 4$ かつ $Y > -2$。 よって、求める垂心の軌跡は、円 $x^2 + (y + 2)^2 = 4$ の $y > -2$ の部分 である。
解法2
((2)の別解:オイラー線を利用)
(1)より、$\triangle ABC$ の外心 $O$ の座標は $(0,0)$ である。 三角形の外心 $O$ と垂心 $H$ には $\vec{OH} = \vec{OA} + \vec{OB} + \vec{OC}$ の関係がある。 点 $A(s, t)$ とおくと、点 $A$ は円 $x^2 + y^2 = 4$ の $y > 0$ の部分を動くので、$s^2 + t^2 = 4$ かつ $t > 0$ である。 $\vec{OB} = (-\sqrt{3}, -1), \vec{OC} = (\sqrt{3}, -1)$ より $\vec{OB} + \vec{OC} = (0, -2)$。 よって
$$ \vec{OH} = (s, t) + (0, -2) = (s, t - 2) $$
垂心 $H$ の座標を $(X, Y)$ とすると、$X = s, Y = t - 2$ となる。 これより $s = X, t = Y + 2$。 $s^2 + t^2 = 4$ かつ $t > 0$ に代入して
$$ X^2 + (Y + 2)^2 = 4 \quad \text{かつ} \quad Y + 2 > 0 $$
よって、垂心の軌跡は 円 $x^2 + (y + 2)^2 = 4$ の $y > -2$ の部分 である。
解説
(1)は、角が一定である条件から円周角の定理とその逆を思い浮かべ、正弦定理で半径を求めるのが定石です。外心の候補が2つ出た際に、条件 $(*)$ の「$y$ 座標が正」を用いて不適なものを論理的に排除する過程が問われています。
(2)は、軌跡を求める問題です。解法1のように成分で素直に内積ゼロを立式しても、$s^2 + t^2 = 4$ という関係式を利用して次数を下げれば因数分解でき、非常に簡明に座標を求めることができます。 解法2で用いた関係式 $\vec{OH} = \vec{OA} + \vec{OB} + \vec{OC}$ は、オイラー線の性質から導かれる有名な等式です。これを知っていると計算量が劇的に減るため、難関大受験生であればぜひ押さえておきたい知識です。
答え
(1)
$(0, 0)$
(2)
円 $x^2 + (y + 2)^2 = 4$ の $y > -2$ の部分
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