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京都大学 1987年 理系 第5問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学C/式と曲線テーマ/最大・最小テーマ/面積・体積
京都大学 1987年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) は、原点 $O$ から平面に下ろした垂線の足 $H$ の座標を求める問題である。平面の方程式から法線ベクトルを読み取り、直線 $OH$ が法線ベクトルに平行であることを利用して、点 $H$ の座標を媒介変数を用いて表し、平面の方程式に代入する。

(2) は、切り取られる部分の体積の最小化を考える。球の半径は一定であるため、原点(球の中心)から平面までの距離 $d$ が大きくなるほど、切り取られる小さい方の部分の体積 $V(a)$ は小さくなる。したがって、$d$(またはその2乗)を最大にするような $a$ の値を微分によって求め、そのときの距離を用いて積分により体積を計算する。

解法1

(1)

与えられた平面を $\alpha: ax + y + z + a - 2 = 0$ とし、原点を $O(0, 0, 0)$ とする。 平面 $\alpha$ 上の点のうち原点に一番近い点を $H$ とすると、直線 $OH$ は平面 $\alpha$ に垂直である。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルの1つは $\vec{n} = (a, 1, 1)$ であるから、実数 $k$ を用いて $\vec{OH} = k\vec{n} = (ka, k, k)$ と表せる。 点 $H(ka, k, k)$ は平面 $\alpha$ 上にあるので、平面の方程式に代入して

$$ a(ka) + k + k + a - 2 = 0 $$

$$ k(a^2 + 2) + a - 2 = 0 $$

$a$ が実数であるから $a^2 + 2 \neq 0$ であり、

$$ k = \frac{2 - a}{a^2 + 2} $$

となる。したがって、求める点 $H$ の座標は

$$ \left( \frac{a(2 - a)}{a^2 + 2}, \frac{2 - a}{a^2 + 2}, \frac{2 - a}{a^2 + 2} \right) $$

である。

(2)

原点 $O$ から平面 $\alpha$ までの距離を $d(a)$ とすると、(1)より $d(a) = |\vec{OH}|$ である。

$$ \{ d(a) \}^2 = |\vec{OH}|^2 = (ka)^2 + k^2 + k^2 = k^2(a^2 + 2) = \left( \frac{2 - a}{a^2 + 2} \right)^2 (a^2 + 2) = \frac{(a - 2)^2}{a^2 + 2} $$

切り取られる大きくない方の体積 $V(a)$ が最小になるのは、原点から平面までの距離 $d(a)$ が最大になるときである。 $f(a) = \frac{(a - 2)^2}{a^2 + 2}$ とおき、$f(a)$ の増減を調べる。

$$ \begin{aligned} f'(a) &= \frac{2(a - 2) \cdot 1 \cdot (a^2 + 2) - (a - 2)^2 \cdot 2a}{(a^2 + 2)^2} \\ &= \frac{2(a - 2) \{ (a^2 + 2) - a(a - 2) \}}{(a^2 + 2)^2} \\ &= \frac{2(a - 2)(2a + 2)}{(a^2 + 2)^2} \\ &= \frac{4(a - 2)(a + 1)}{(a^2 + 2)^2} \end{aligned} $$

$f'(a) = 0$ となるのは $a = -1, 2$ のときである。 増減表は以下のようになる。

$a$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $2$ $\cdots$
$f'(a)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(a)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ 極小 $\nearrow$

ここで、$\lim_{a \to \pm\infty} f(a) = \lim_{a \to \pm\infty} \frac{(1 - 2/a)^2}{1 + 2/a^2} = 1$ であり、 $a = -1$ のとき、極大値 $f(-1) = \frac{(-3)^2}{(-1)^2 + 2} = 3$ であるから、これが最大値となる。 したがって、$d(a)$ の最大値は $\sqrt{3}$ であり、このとき $d(a) < 3$ (球の半径)を満たすため、平面は球を二つの部分に分ける。

$V(a)$ が最小になるのは $a = -1$ のときであり、このときの距離は $d(-1) = \sqrt{3}$ である。 平面と原点の距離が $\sqrt{3}$ のとき、原点からの距離が $x$ ($\sqrt{3} \leqq x \leqq 3$)である平面に平行な断面は、半径 $\sqrt{3^2 - x^2} = \sqrt{9 - x^2}$ の円である。 よって、体積 $V(-1)$ は

$$ \begin{aligned} V(-1) &= \int_{\sqrt{3}}^{3} \pi (9 - x^2) dx \\ &= \pi \left[ 9x - \frac{x^3}{3} \right]_{\sqrt{3}}^{3} \\ &= \pi \left\{ \left( 27 - \frac{27}{3} \right) - \left( 9\sqrt{3} - \frac{3\sqrt{3}}{3} \right) \right\} \\ &= \pi \{ 18 - (9\sqrt{3} - \sqrt{3}) \} \\ &= (18 - 8\sqrt{3})\pi \end{aligned} $$

となる。

解説

空間における平面と球の交差に関する標準的な問題である。 (1)は「点と平面の距離」の公式を導出するプロセスそのものであるが、公式を丸暗記して結果だけを書くのではなく、法線ベクトルを用いた論理的な手順を示すことが求められる。 (2)では、「体積が最小になる条件」を「平面と球の中心との距離が最大になる条件」へ適切に読み替えることがポイントである。体積の式を直接 $a$ の関数として立式してから微分しようとすると計算が非常に煩雑になるため、幾何的な考察を挟んで計算量を減らす工夫が大切である。球の一部(球冠)の体積は、断面積 $\pi(R^2 - x^2)$ を積分することで求められる。

答え

(1)

$$ \left( \frac{a(2 - a)}{a^2 + 2}, \frac{2 - a}{a^2 + 2}, \frac{2 - a}{a^2 + 2} \right) $$

(2)

$a = -1$ のとき、最小値 $(18 - 8\sqrt{3})\pi$

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