名古屋大学 2010年 理系 第1問 解説

方針・初手
空間の座標が与えられているため、まずは各点の座標を正確に把握します。 (1) では、点 $K$ が「線分 $PD$ 上の点」かつ「平面 $OMN$ 上の点」であるという2つの条件を用いて、ベクトル方程式から座標を決定します。 (2) では、同様に点 $L$ の座標を求め、四面体 $OKLP$ の体積を $t$ の関数として立式します。このとき、座標平面に平行な面(本問では $\triangle OPL$)を底面にとると、高さの計算が容易になります。最後に $V(t)$ を微分して増減を調べます。
解法1
(1)
与えられた点の座標から、$M$ は線分 $BC$ の中点であるため $$ M\left( 1, \frac{1}{2}, 1 \right) $$ となる。 また、$N(0, 1, t)$ は線分 $RD$ 上の点であり、$R(0, 1, 0)$、$D(0, 1, 1)$ であるから、実数 $t$ のとり得る値の範囲は $$ 0 \le t \le 1 $$ である。
点 $K$ は線分 $PD$ 上の点であるから、実数 $s$ ($0 \le s \le 1$) を用いて $$ \vec{OK} = (1-s)\vec{OP} + s\vec{OD} $$ と表せる。$\vec{OP} = (1, 0, 0)$、$\vec{OD} = (0, 1, 1)$ であるから $$ \vec{OK} = (1-s)(1, 0, 0) + s(0, 1, 1) = (1-s, s, s) $$ となる。
一方、点 $K$ は平面 $OMN$ 上にあるため、実数 $k, l$ を用いて $$ \vec{OK} = k\vec{OM} + l\vec{ON} $$ と表せる。成分で表すと $$ (1-s, s, s) = k\left( 1, \frac{1}{2}, 1 \right) + l(0, 1, t) = \left( k, \frac{1}{2}k+l, k+tl \right) $$ となる。各成分を比較して $$ \begin{cases} 1-s = k & \cdots \text{①} \\ s = \frac{1}{2}k + l & \cdots \text{②} \\ s = k + tl & \cdots \text{③} \end{cases} $$ が成り立つ。 ①を②に代入して $l$ を求めると $$ s = \frac{1}{2}(1-s) + l \iff l = \frac{3s-1}{2} $$ ①とこれを③に代入すると $$ s = (1-s) + t\left( \frac{3s-1}{2} \right) $$ 両辺を $2$ 倍して整理すると $$ 2s = 2 - 2s + 3ts - t $$ $$ (4-3t)s = 2-t $$ ここで、$0 \le t \le 1$ より $4-3t \ge 1 > 0$ であり、$4-3t \neq 0$ となるため $$ s = \frac{2-t}{4-3t} $$ である。これを $\vec{OK} = (1-s, s, s)$ に代入して $x$ 座標を求めると $$ 1-s = 1 - \frac{2-t}{4-3t} = \frac{4-3t - (2-t)}{4-3t} = \frac{2-2t}{4-3t} $$ したがって、点 $K$ の座標は $$ \left( \frac{2-2t}{4-3t}, \frac{2-t}{4-3t}, \frac{2-t}{4-3t} \right) $$ である。
(2)
点 $L$ は線分 $PB$ 上の点であるから、実数 $u$ ($0 \le u \le 1$) を用いて $$ \vec{OL} = (1-u)\vec{OP} + u\vec{OB} $$ と表せる。$\vec{OP} = (1, 0, 0)$、$\vec{OB} = (1, 0, 1)$ であるから $$ \vec{OL} = (1-u)(1, 0, 0) + u(1, 0, 1) = (1, 0, u) $$ となる。点 $L$ も平面 $OMN$ 上にあるため、(1) と同様に実数 $k', l'$ を用いて $$ (1, 0, u) = k'\left( 1, \frac{1}{2}, 1 \right) + l'(0, 1, t) = \left( k', \frac{1}{2}k'+l', k'+tl' \right) $$ と表せる。各成分を比較して $$ \begin{cases} 1 = k' \\ 0 = \frac{1}{2}k' + l' \\ u = k' + tl' \end{cases} $$ これらを解くと、$k'=1$、$l'=-\frac{1}{2}$ となり、 $$ u = 1 - \frac{1}{2}t $$ を得る。したがって、点 $L$ の座標は $\left( 1, 0, 1-\frac{t}{2} \right)$ となる。
次に、四面体 $OKLP$ の体積 $V(t)$ を求める。 $\triangle OPL$ は $xz$ 平面 ($y=0$) 上にあり、$\vec{OP} = (1, 0, 0)$ と $\vec{PL} = \left(0, 0, 1-\frac{t}{2}\right)$ は直交する。 したがって、$\triangle OPL$ を底面としたときの面積は $$ \frac{1}{2} \cdot OP \cdot PL = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \left( 1 - \frac{t}{2} \right) = \frac{2-t}{4} $$ となる。 また、点 $K$ から底面 $\triangle OPL$ (平面 $y=0$)に下ろした垂線の長さが、この四面体の高さとなる。 $0 \le t \le 1$ より、点 $K$ の $y$ 座標 $\frac{2-t}{4-3t}$ は常に正であるから、四面体の高さ $h$ は $$ h = \frac{2-t}{4-3t} $$ である。よって、体積 $V(t)$ は $$ V(t) = \frac{1}{3} \cdot \left( \frac{2-t}{4} \right) \cdot \frac{2-t}{4-3t} = \frac{(t-2)^2}{12(4-3t)} $$ となる。
この関数の最大値と最小値を求める。 $$ f(t) = \frac{(t-2)^2}{4-3t} $$ とおき、$f(t)$ を $t$ で微分すると $$ \begin{aligned} f'(t) &= \frac{2(t-2) \cdot 1 \cdot (4-3t) - (t-2)^2 \cdot (-3)}{(4-3t)^2} \\ &= \frac{(t-2) \{ 2(4-3t) + 3(t-2) \}}{(4-3t)^2} \\ &= \frac{(t-2)(8-6t+3t-6)}{(4-3t)^2} \\ &= \frac{(t-2)(2-3t)}{(4-3t)^2} \end{aligned} $$ $0 \le t \le 1$ において $t-2 < 0$ であり、$f'(t) = 0$ となるのは $t = \frac{2}{3}$ のときである。 $t$ の増減表は以下のようになる。
| $t$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{2}{3}$ | $\cdots$ | $1$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $f(t)$ | $1$ | $\searrow$ | $\frac{8}{9}$ | $\nearrow$ | $1$ |
表より、$f(t)$ の最大値は $t=0, 1$ のとき $1$、最小値は $t=\frac{2}{3}$ のとき $\frac{8}{9}$ である。 $V(t) = \frac{1}{12}f(t)$ であるから、 最大値は $\frac{1}{12} \cdot 1 = \frac{1}{12}$ 最小値は $\frac{1}{12} \cdot \frac{8}{9} = \frac{2}{27}$ となる。
解説
空間図形において、一直線上にある条件や一平面上にある条件(共面条件)をベクトルを用いて処理する典型問題です。 ベクトル方程式を立てて連立方程式を解くだけで確実に座標が求まるため、平面の方程式の知識がなくても無理なく完答を狙えます。
(2) の四面体の体積計算では、空間認識がポイントになります。どの面を底面とするかで計算量が大きく変わりますが、本問では $\triangle OPL$ が $xz$ 平面にすっぽり収まっていることに気づけば、点 $K$ の $y$ 座標そのものが高さになることが分かり、大幅な時間短縮に繋がります。
最後の微分計算では、商の微分法を用いますが、分子を無計画に展開すると因数分解が複雑になります。共通因数 $(t-2)$ でくくる工夫をすることで、計算ミスを防ぐことができます。また、増減表を書く際の $f'(t)$ の符号判定において、$t-2 < 0$ であることに注意しましょう。
答え
(1) $$ K\left( \frac{2-2t}{4-3t}, \frac{2-t}{4-3t}, \frac{2-t}{4-3t} \right) $$
(2) $$ \text{最大値 } \frac{1}{12} \quad (t = 0, 1 \text{ のとき}) $$ $$ \text{最小値 } \frac{2}{27} \quad \left(t = \frac{2}{3} \text{ のとき}\right) $$
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