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東京大学 2010年 理系 第6問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京大学 2010年 理系 第6問 解説

方針・初手

四面体の4つの面がすべて合同であるという条件(等面四面体)から、向かい合う辺の長さがそれぞれ等しいことを見抜くのが第一歩である。ここから各辺の長さを確定させ、ベクトル $\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC}$ の内積を求める。 次に、平面 $M$ による切り口の形状を把握するために、平面 $L$ を座標平面とみなして各頂点の座標を具体化する。平面 $M$ と各辺との交点を調べることで、切り口が三角形から台形へ切り替わる境目を特定し、面積 $S(t)$ を場合分けして求める。

解法1

(1) $\overrightarrow{OH}$ の導出

四面体 $OABC$ の4つの面はすべて合同であり、それぞれの面の3辺の長さの組は $\{3, \sqrt{7}, 2\}$ である。 各頂点に集まる3辺の長さがすべて同じだと面を構成できないため、各頂点には長さ $3, \sqrt{7}, 2$ の辺が1つずつ集まる。 したがって、四面体の向かい合う辺の長さは互いに等しくなり、$OA = BC = 3$、$OB = AC = \sqrt{7}$、$AB = OC = 2$ となる。

$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$、$\overrightarrow{OB} = \vec{b}$、$\overrightarrow{OC} = \vec{c}$ とおく。 それぞれの大きさは $|\vec{a}| = 3$、$|\vec{b}| = \sqrt{7}$、$|\vec{c}| = 2$ である。 三角形の辺の長さと内積の関係から、以下の内積を求める。

$$ |\overrightarrow{AB}|^2 = |\vec{b} - \vec{a}|^2 = |\vec{b}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{a}|^2 $$

$$ 2^2 = 7 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + 9 \iff 2\vec{a}\cdot\vec{b} = 12 \iff \vec{a}\cdot\vec{b} = 6 $$

同様にして、$\vec{b}\cdot\vec{c}$ と $\vec{c}\cdot\vec{a}$ も求める。

$$ |\overrightarrow{BC}|^2 = |\vec{c} - \vec{b}|^2 \implies 3^2 = 4 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} + 7 \iff \vec{b}\cdot\vec{c} = 1 $$

$$ |\overrightarrow{CA}|^2 = |\vec{a} - \vec{c}|^2 \implies (\sqrt{7})^2 = 9 - 2\vec{c}\cdot\vec{a} + 4 \iff \vec{c}\cdot\vec{a} = 3 $$

点 $H$ は平面 $L$(すなわち平面 $OAB$)上の点であるから、実数 $s, u$ を用いて $\overrightarrow{OH} = s\vec{a} + u\vec{b}$ と表せる。 直線 $CH$ は平面 $L$ に垂直であるから、$\overrightarrow{CH} \cdot \vec{a} = 0$ かつ $\overrightarrow{CH} \cdot \vec{b} = 0$ が成り立つ。 $\overrightarrow{CH} = \overrightarrow{OH} - \vec{c} = s\vec{a} + u\vec{b} - \vec{c}$ より、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{CH} \cdot \vec{a} &= s|\vec{a}|^2 + u(\vec{a}\cdot\vec{b}) - \vec{c}\cdot\vec{a} = 9s + 6u - 3 = 0 \\ \overrightarrow{CH} \cdot \vec{b} &= s(\vec{a}\cdot\vec{b}) + u|\vec{b}|^2 - \vec{b}\cdot\vec{c} = 6s + 7u - 1 = 0 \end{aligned} $$

これを整理すると、

$$ \begin{cases} 3s + 2u = 1 \\ 6s + 7u = 1 \end{cases} $$

上の式の両辺を2倍して下から引くと、$3u = -1$ より $u = -\frac{1}{3}$ となる。 これを代入して、$3s - \frac{2}{3} = 1$ より $s = \frac{5}{9}$ を得る。 よって、

$$ \overrightarrow{OH} = \frac{5}{9}\overrightarrow{OA} - \frac{1}{3}\overrightarrow{OB} $$

(2) 切り口の面積 $S(t)$ の導出

平面 $L$ を $xy$ 平面とみなし、$O=(0,0,0)$、$A=(3,0,0)$ とおく。 $OB=\sqrt{7}$、$AB=2$ より、

$$ B=(2,\sqrt{3},0) $$

とおける。

また、(1)で求めた $\overrightarrow{OH}$ を座標で表すと、

$$ H=\left(1,-\frac{1}{\sqrt{3}},0\right) $$

となる。$CH \perp L$ かつ $OC=2$ であるから、

$$ CH=\sqrt{OC^2-OH^2} =\sqrt{4-\left(1+\frac{1}{3}\right)} =\frac{2\sqrt{6}}{3} $$

であり、

$$ C=\left(1,-\frac{1}{\sqrt{3}},\frac{2\sqrt{6}}{3}\right) $$

とおける。

点 $P_t,Q_t$ は

$$ P_t=(3t,0,0), \quad Q_t=(2t,\sqrt{3}t,0) $$

である。 平面 $M$ は $P_tQ_t$ を通り、$L$ に垂直であるから、$M$ は直線 $P_tQ_t$ を含む鉛直平面である。 $\overrightarrow{P_tQ_t}=(-t,\sqrt{3}t,0)$ に垂直な水平ベクトルとして $(\sqrt{3},1,0)$ をとると、平面 $M$ の方程式は

$$ \sqrt{3}x+y=3\sqrt{3}t $$

となる。

次に、この平面と四面体の各辺との交点を調べる。

(i) 辺 $OC$ との交点

辺 $OC$ 上の点は

$$ (x,y,z)=\lambda \left(1,-\frac{1}{\sqrt{3}},\frac{2\sqrt{6}}{3}\right) \quad (0 \leqq \lambda \leqq 1) $$

と表される。これを平面 $M$ の方程式に代入すると、

$$ \sqrt{3}\lambda-\frac{\lambda}{\sqrt{3}}=3\sqrt{3}t \iff \frac{2}{\sqrt{3}}\lambda=3\sqrt{3}t \iff \lambda=\frac{9}{2}t $$

を得る。したがって、平面 $M$ が辺 $OC$ と交わるのは

$$ 0 < t \leqq \frac{2}{9} $$

のときである。

(ii) 辺 $AC,BC$ との交点

辺 $AC$ 上の点は

$$ A+s(C-A) \quad (0 \leqq s \leqq 1) $$

と表される。これを平面 $M$ に代入すると、

$$ \sqrt{3}(3-2s)-\frac{s}{\sqrt{3}}=3\sqrt{3}t \iff 9-7s=9t \iff s=\frac{9(1-t)}{7} $$

となる。辺 $BC$ についても同様に同じ $s$ が得られる。 よって、平面 $M$ が辺 $AC,BC$ と交わるのは

$$ \frac{2}{9} \leqq t < 1 $$

のときである。

以上より、切り口の形は次のようになる。

(a)

$0 < t \leqq \frac{2}{9}$ のとき

切り口は三角形である。底辺は $P_tQ_t$ であり、

$$ |P_tQ_t| = t|AB| = 2t $$

である。第三の頂点は辺 $OC$ 上にあり、その高さ($L$ からの距離)は

$$ \frac{9}{2}t \cdot \frac{2\sqrt{6}}{3} = 3\sqrt{6}t $$

である。したがって、

$$ S(t)=\frac{1}{2} \cdot 2t \cdot 3\sqrt{6}t = 3\sqrt{6}t^2 $$

(b)

$\frac{2}{9} \leqq t < 1$ のとき

切り口は台形である。下底は $P_tQ_t$ であり、長さは $2t$ である。 上底は辺 $AC,BC$ 上の交点を結ぶ線分であり、$s=\frac{9(1-t)}{7}$ であるから、その長さは

$$ (1-s)|AB| =2\left(1-\frac{9(1-t)}{7}\right) =\frac{2(9t-2)}{7} $$

となる。

また、この上底の高さは

$$ s \cdot \frac{2\sqrt{6}}{3} =\frac{9(1-t)}{7} \cdot \frac{2\sqrt{6}}{3} =\frac{6\sqrt{6}}{7}(1-t) $$

である。

したがって、台形の面積は

$$ \begin{aligned} S(t) \\ &= \frac{1}{2} \left( 2t + \frac{2(9t-2)}{7} \right) \cdot \frac{6\sqrt{6}}{7}(1-t) \\ &= \frac{12\sqrt{6}}{49}(1-t)(8t-1) \end{aligned} $$

(3) $S(t)$ の最大値の導出

$0 < t \leqq \frac{2}{9}$ の区間において、$S(t)=3\sqrt{6}t^2$ は単調増加である。

$\frac{2}{9} \leqq t < 1$ の区間において、$S(t)$ は

$$ S(t)=\frac{12\sqrt{6}}{49}(-8t^2+9t-1) $$

と表される2次関数である。 放物線 $-8t^2+9t-1$ の軸は

$$ t=\frac{9}{16} $$

であり、$\frac{2}{9} < \frac{9}{16} < 1$ を満たすから、この区間で最大値をとる。 その値は

$$ \begin{aligned} S\left(\frac{9}{16}\right) \\ &= \frac{12\sqrt{6}}{49} \left( 1-\frac{9}{16} \right) \left( 8 \cdot \frac{9}{16} - 1 \right) \\ &= \frac{12\sqrt{6}}{49} \cdot \frac{7}{16} \cdot \frac{7}{2} \\ &= \frac{3\sqrt{6}}{8} \end{aligned} $$

となる。

解説

本問は空間ベクトルの応用として、等面四面体の性質を見抜く力と、切断図形の処理能力を問う問題である。 4つの面が合同であることから「対辺の長さが等しい」という性質を導出できるかが最初の山場である。 (2)では、(1)で得た $H$ の位置を手がかりに座標を具体化し、平面 $M$ と各辺との交点を追うのが自然である。切り口の図形が $t=\frac{2}{9}$ を境に三角形から台形へ変わることを押さえれば、あとは底辺と高さを整理するだけで面積が求まる。

答え

(1)

$$ \overrightarrow{OH} = \frac{5}{9}\overrightarrow{OA} - \frac{1}{3}\overrightarrow{OB} $$

(2)

$0 < t \leqq \frac{2}{9}$ のとき、

$$ S(t) = 3\sqrt{6}t^2 $$

$\frac{2}{9} \leqq t < 1$ のとき、

$$ S(t) = \frac{12\sqrt{6}}{49}(1-t)(8t-1) $$

(3)

最大値は

$$ \frac{3\sqrt{6}}{8} $$

であり、$t=\frac{9}{16}$ のときにとる。

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