九州大学 2004年 理系 第4問 解説

方針・初手
ベクトルを用いた空間図形の計量問題である。(1) は内積が $0$ となる条件から法線ベクトルを求める。(2) は底面積と高さから四面体の体積を求める基本手順に従い、(1) で求めた値を利用する。(3) は (2) で得られた体積の式を、各変数の定義域に注意して最大化する。
解法1
(1)
ベクトル $\overrightarrow{OA} = (a, b, 0)$, $\overrightarrow{OC} = (1, 1, 1)$ に直交するベクトルの一つを $\vec{n} = (x, y, z)$ とする。 内積が $0$ であるから、
$$\vec{n} \cdot \overrightarrow{OA} = ax + by = 0$$
$$\vec{n} \cdot \overrightarrow{OC} = x + y + z = 0$$
$ax + by = 0$ を満たす $(x, y)$ の組として $(b, -a)$ がある。 このとき、$z = -(x + y) = -(b - a) = a - b$ となるので、$\vec{v} = (b, -a, a-b)$ とおく。 $\vec{v} \cdot \overrightarrow{OA} = ab - ab = 0$, $\vec{v} \cdot \overrightarrow{OC} = b - a + a - b = 0$ であり、$\vec{v}$ は $\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OC}$ の両方に直交する。 点 $A$ は原点 $O$ と異なるので、$(a, b) \neq (0, 0)$ である。 ここで、$\vec{v}$ の大きさの2乗は
$$|\vec{v}|^2 = b^2 + (-a)^2 + (a-b)^2 = 2a^2 - 2ab + 2b^2 = 2 \left\{ \left( a - \frac{1}{2}b \right)^2 + \frac{3}{4}b^2 \right\}$$
$(a, b) \neq (0, 0)$ より $|\vec{v}|^2 > 0$ となり、$\vec{v} \neq \vec{0}$ である。 したがって、求める単位ベクトル $\vec{u}$ は $\vec{v}$ をその大きさで割ったもの(およびその逆向きのベクトル)であるから、
$$\vec{u} = \pm \frac{1}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}} (b, -a, a-b)$$
次に、この単位ベクトルと $\overrightarrow{OB} = (c, 0, d)$ の内積の絶対値を求める。
$$\begin{aligned} |\vec{u} \cdot \overrightarrow{OB}| &= \left| \pm \frac{1}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}} (bc - a \cdot 0 + (a-b)d) \right| \\ &= \frac{|bc + d(a-b)|}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}} \end{aligned}$$
(2)
四面体 $OABC$ において、$\triangle OAC$ を底面としたときの高さを $h$ とする。 高さ $h$ は、点 $B$ から平面 $OAC$ に下ろした垂線の長さに等しく、これはベクトル $\overrightarrow{OB}$ を平面 $OAC$ の単位法線ベクトル $\vec{u}$ の方向へ正射影した線分の長さに等しい。 したがって、(1) の結果より、
$$h = |\vec{u} \cdot \overrightarrow{OB}| = \frac{|bc + d(a-b)|}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}}$$
また、底面 $\triangle OAC$ の面積 $S$ は、
$$\begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{OA}|^2 |\overrightarrow{OC}|^2 - (\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OC})^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{(a^2 + b^2)(1^2 + 1^2 + 1^2) - (a \cdot 1 + b \cdot 1 + 0 \cdot 1)^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{3(a^2 + b^2) - (a+b)^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{2a^2 - 2ab + 2b^2} \end{aligned}$$
よって、四面体 $OABC$ の体積 $V$ は、
$$\begin{aligned} V &= \frac{1}{3} Sh \\ &= \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2} \sqrt{2(a^2 - ab + b^2)} \cdot \frac{|bc + d(a-b)|}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}} \\ &= \frac{1}{6} |bc + d(a-b)| \end{aligned}$$
(3)
点 $A(a, b, 0)$ は面 $S$ 内にあるので、$0 \leqq b \leqq a \leqq 1$。 点 $B(c, 0, d)$ は面 $T$ 内にあるので、$0 \leqq c \leqq 1$, $0 \leqq d \leqq 1$。 この条件のもとで、体積 $V$ を最大化する。 $a \geqq b$ より $a-b \geqq 0$ であり、$b \geqq 0, c \geqq 0, d \geqq 0$ であるから、$bc \geqq 0$ かつ $d(a-b) \geqq 0$ となる。 したがって、絶対値記号の中身は $0$ 以上であるため、そのまま外すことができる。
$$V = \frac{1}{6} \{bc + d(a-b)\}$$
$b$ および $a-b$ は非負であるから、$c, d$ がそれぞれ取り得る最大の値を考える。 $0 \leqq c \leqq 1$, $0 \leqq d \leqq 1$ より、
$$V \leqq \frac{1}{6} \{b \cdot 1 + 1 \cdot (a-b)\} = \frac{1}{6} (b + a - b) = \frac{a}{6}$$
等号は $c=1$ かつ $d=1$ のときに成立する。 さらに、$0 \leqq a \leqq 1$ であるから、
$$V \leqq \frac{1}{6} \cdot 1 = \frac{1}{6}$$
等号は $a=1$ のときに成立する。 このとき、$b$ は $0 \leqq b \leqq 1$ を満たす任意の実数でよい。
以上より、体積の最大値は $\frac{1}{6}$ である。 これを与える各変数の値は、$a=1$, $c=1$, $d=1$, $0 \leqq b \leqq 1$ である。 したがって、最大値を与える点 $A, B$ の位置は、 点 $A(1, b, 0)$ (ただし $0 \leqq b \leqq 1$) 点 $B(1, 0, 1)$ となる。
解説
空間ベクトルにおける四面体の体積の求め方と、多変数の最大最小問題の典型的な構成である。 (1) で平面の法線ベクトルを求め、(2) でそれを活用して高さを求める流れは誘導として非常に親切に作られている。成分計算を愚直に行うだけでなく、図形的な意味(法線ベクトルと正射影)を理解しているかが問われている。 (3) では変数が $a, b, c, d$ の4つあるが、各変数が独立に動ける範囲を見極めることが重要である。絶対値を外した後に、$c, d$ が独立に動けることに着目し、それぞれの係数が非負であることを利用して各変数を独立に最大化していく論理展開が有効である。
答え
(1) 単位ベクトル:$\pm \frac{1}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}} (b, -a, a-b)$ 内積の絶対値:$\frac{|bc + d(a-b)|}{\sqrt{2(a^2 - ab + b^2)}}$
(2) $\frac{1}{6} |bc + d(a-b)|$
(3) 最大値:$\frac{1}{6}$ 最大値を与える点の位置:点 $A(1, b, 0)$ (ただし $0 \leqq b \leqq 1$)、点 $B(1, 0, 1)$
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