京都大学 1990年 理系 第6問 解説

方針・初手
- 題意を満たすとき、点 $P, Q, R$ は円 $C$ に外接する三角形をなし、かつ楕円 $D$ 上にある。
- 図形の対称性(円 $C$、楕円 $D$、点 $P$ はすべて $y$ 軸対称)から、$Q$ と $R$ は $y$ 軸に関して対称な点になることに着目する。
- $\triangle \text{PQR}$ は $y$ 軸を対称軸とする二等辺三角形であり、底辺 $QR$ は円 $C$ の下側の接線である $y=-1$ 上にあることを導く。
- $Q$ の座標を文字で置き、それが楕円上にある条件と、直線 $PQ$ が円 $C$ に接する条件の2つを立式して比較する。
解法1
円 $C: x^2 + y^2 = 1$ は楕円 $D: \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1$ の内部にあるため、$a > 1, b > 1$ である。 条件より、$P$ から引いた2本の接線の一方が直線 $PQ$ であり、$Q$ から引いたもう1本の接線が直線 $QR$、$R$ から引いたもう1本の接線が直線 $RP$ となる。 すなわち、$\triangle \text{PQR}$ は円 $C$ に外接し、3頂点が楕円 $D$ 上にある三角形である。
円 $C$、楕円 $D$、および頂点 $P(0, b)$ はすべて $y$ 軸に関して対称であるため、点 $P$ から引いた2本の接線も $y$ 軸対称となる。 したがって、これらの接線と楕円 $D$ の交点である $Q$ と $R$ は、互いに $y$ 軸対称な点である。 よって $Q$ と $R$ の $y$ 座標は等しく、直線 $QR$ は $x$ 軸に平行な直線となる。 直線 $QR$ は円 $C$ に接する水平な直線であり、$y=1$ または $y=-1$ である。 $b>1$ であるため、$\triangle \text{PQR}$ が円 $C$ を内部に含むためには、底辺 $QR$ は円の下側の接線でなければならず、直線 $QR$ の方程式は $y = -1$ と定まる。
一般性を失わず、$Q$ の $x$ 座標を正とし、$Q(c, -1)$ ($c > 0$)とおく。 点 $Q$ は楕円 $D$ 上の点であるから、
$$ \frac{c^2}{a^2} + \frac{(-1)^2}{b^2} = 1 $$
$$ \frac{c^2}{a^2} = 1 - \frac{1}{b^2} = \frac{b^2-1}{b^2} $$
$$ c^2 = \frac{a^2(b^2-1)}{b^2} \quad \cdots (1) $$
一方で、直線 $PQ$ は $P(0,b)$ と $Q(c,-1)$ を通るため、その方程式は
$$ y - b = \frac{-1-b}{c} (x - 0) $$
$$ (b+1)x + c(y-b) = 0 $$
となる。この直線が円 $C: x^2 + y^2 = 1$ に接するため、原点 $(0,0)$ と直線 $PQ$ の距離は $1$ である。
$$ \frac{|-bc|}{\sqrt{(b+1)^2 + c^2}} = 1 $$
両辺を2乗して分母を払うと、
$$ b^2 c^2 = (b+1)^2 + c^2 $$
$$ (b^2-1)c^2 = (b+1)^2 $$
ここで $b^2-1 = (b-1)(b+1)$ であり、$b>1$ より $b+1 \neq 0, b-1 \neq 0$ であるから、両辺を $b+1$ で割って
$$ (b-1)c^2 = b+1 $$
$$ c^2 = \frac{b+1}{b-1} \quad \cdots (2) $$
(1) と (2) の右辺を等置して、
$$ \frac{a^2(b^2-1)}{b^2} = \frac{b+1}{b-1} $$
$$ a^2 = \frac{b^2(b+1)}{(b-1)(b^2-1)} $$
$b^2-1 = (b-1)(b+1)$ を用いて約分すると、
$$ a^2 = \frac{b^2}{(b-1)^2} $$
$a > 0, b > 1$ であるから、平方根をとって
$$ a = \frac{b}{b-1} $$
解法2
点 $P(0,b)$ から円 $C: x^2+y^2=1$ に引いた接線の傾きを $m$ とすると、接線の方程式は $mx - y + b = 0$ とおける。 原点からの距離が $1$ であるから、
$$ \frac{|b|}{\sqrt{m^2 + (-1)^2}} = 1 \implies m^2 + 1 = b^2 \implies m = \pm\sqrt{b^2-1} $$
2本の直線のうち、傾きが負のものを $y = -\sqrt{b^2-1}x + b$ とし、これと楕円 $D$ の交点 $Q$ を求める。 楕円の方程式 $b^2 x^2 + a^2 y^2 = a^2 b^2$ に代入して
$$ b^2 x^2 + a^2(-\sqrt{b^2-1}x + b)^2 = a^2 b^2 $$
$$ \{b^2 + a^2(b^2-1)\}x^2 - 2a^2 b\sqrt{b^2-1}x = 0 $$
$Q$ は $P$ ($x=0$)とは異なる点であるから、
$$ x_Q = \frac{2a^2 b\sqrt{b^2-1}}{b^2 + a^2(b^2-1)} $$
このとき $y$ 座標は
$$ y_Q = -\sqrt{b^2-1} \cdot \frac{2a^2 b\sqrt{b^2-1}}{b^2 + a^2(b^2-1)} + b $$
$$ y_Q = \frac{-2a^2 b(b^2-1) + b\{b^2 + a^2(b^2-1)\}}{b^2 + a^2(b^2-1)} = \frac{b^3 - a^2 b(b^2-1)}{b^2 + a^2(b^2-1)} $$
図形の対称性より、点 $R$ は $Q$ と $y$ 軸に関して対称な点であり、直線 $QR$ は $y = y_Q$ となる。 これが円 $C$ に接し、かつ $P(0,b)$ の下側にあることから $y_Q = -1$ である。
$$ \frac{b^3 - a^2 b(b^2-1)}{b^2 + a^2(b^2-1)} = -1 $$
$$ b^3 - a^2 b(b^2-1) = -b^2 - a^2(b^2-1) $$
$$ a^2(b^2-1) - a^2 b(b^2-1) = -b^3 - b^2 $$
$$ a^2(b^2-1)(1-b) = -b^2(b+1) $$
$$ -a^2(b+1)(b-1)^2 = -b^2(b+1) $$
$b > 1$ より $-(b+1) \neq 0$ であるから、両辺を割って
$$ a^2(b-1)^2 = b^2 $$
$a > 0, b > 1$ より、
$$ a = \frac{b}{b-1} $$
解説
ポンスレの閉形定理(Poncelet's closure theorem)を背景とする問題ですが、一般的な知識がなくても図形の対称性を活用すれば高校数学の範囲で簡潔に解くことができます。 点 $Q, R$ が $y$ 軸対称になることに気づけるかが最大の鍵です。これが分かれば、「直線 $QR$ の $y$ 座標が $-1$ になる」という非常に強力な条件を引き出すことができ、計算量を劇的に減らすことができます。解法1のように点 $Q$ の座標を文字でおいて「点と直線の距離公式」を用いると、交点を求めるための煩雑な連立方程式すら避けることが可能です。
答え
$$ a = \frac{b}{b-1} $$
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