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京都大学 1993年 理系 第1問 解説

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京都大学 1993年 理系 第1問 解説

方針・初手

接点の座標を求め、$\triangle PAB$ の面積を $p$ の式で表します。接点の座標を求めるには、接線の方程式を $y = mx + p$ とおいて双曲線の式と連立して判別式を利用する方法と、接点の座標を $(x_1, y_1)$ とおいて公式を用いる方法があります。面積を関数として表した後は、微分を利用して最小値を調べます。

解法1

点 $P(0, p)$ を通る直線 $x = 0$ ($y$ 軸)は、双曲線 $x^2 - y^2 = 1$ と共有点をもたないため接線にはなりません。 したがって、点 $P$ を通る接線は傾きをもつため、その方程式を $y = mx + p$ とおくことができます。 これを双曲線の式に代入して $y$ を消去すると、

$$ x^2 - (mx + p)^2 = 1 $$

$$ (1 - m^2)x^2 - 2mpx - (p^2 + 1) = 0 $$

これが実数の重解をもつ条件を考えます。 $1 - m^2 = 0$ のとき、この方程式は1次以下の方程式となり重解をもちません。 よって $1 - m^2 \neq 0$ であり、2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ が成り立ちます。

$$ \frac{D}{4} = (-mp)^2 - (1 - m^2)\{-(p^2 + 1)\} = 0 $$

$$ m^2 p^2 + (p^2 + 1 - m^2 p^2 - m^2) = 0 $$

$$ p^2 + 1 - m^2 = 0 $$

$$ m^2 = p^2 + 1 $$

このとき、接点の $x$ 座標は重解として求まり、

$$ x = \frac{mp}{1 - m^2} = \frac{mp}{-p^2} = -\frac{m}{p} $$

となります。 また、接点の $y$ 座標は、

$$ y = m\left(-\frac{m}{p}\right) + p = \frac{-m^2 + p^2}{p} = \frac{-(p^2 + 1) + p^2}{p} = -\frac{1}{p} $$

となります。 $m = \pm\sqrt{p^2 + 1}$ に対応して2つの接点が存在し、それらの座標は

$$ \left(\frac{\sqrt{p^2 + 1}}{p}, -\frac{1}{p}\right), \quad \left(-\frac{\sqrt{p^2 + 1}}{p}, -\frac{1}{p}\right) $$

となります。これらを $A, B$ とします。 2点 $A, B$ はともに直線 $y = -\frac{1}{p}$ 上にあるため、線分 $AB$ は $x$ 軸に平行です。 底辺 $AB$ の長さは、

$$ AB = \frac{2\sqrt{p^2 + 1}}{p} $$

$\triangle PAB$ の高さ $h$ は、点 $P$ の $y$ 座標から直線 $AB$ の $y$ 座標を引いたものなので、

$$ h = p - \left(-\frac{1}{p}\right) = p + \frac{1}{p} = \frac{p^2 + 1}{p} $$

したがって、$\triangle PAB$ の面積 $S(p)$ は、

$$ S(p) = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot h = \frac{1}{2} \cdot \frac{2\sqrt{p^2 + 1}}{p} \cdot \frac{p^2 + 1}{p} = \frac{(p^2 + 1)\sqrt{p^2 + 1}}{p^2} $$

となります。 $p > 0$ において $S(p)$ を微分します。

$$ \begin{aligned} S'(p) &= \frac{\frac{3}{2}(p^2 + 1)^{\frac{1}{2}} \cdot 2p \cdot p^2 - (p^2 + 1)^{\frac{3}{2}} \cdot 2p}{p^4} \\ &= \frac{p(p^2 + 1)^{\frac{1}{2}} \{ 3p^2 - 2(p^2 + 1) \}}{p^4} \\ &= \frac{\sqrt{p^2 + 1} (p^2 - 2)}{p^3} \end{aligned} $$

$p > 0$ において $S'(p) = 0$ となるのは、$p^2 - 2 = 0$ より $p = \sqrt{2}$ のときです。 $S(p)$ の増減表は以下のようになります。

$p$ $(0)$ $\cdots$ $\sqrt{2}$ $\cdots$
$S'(p)$ $-$ $0$ $+$
$S(p)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$

増減表より、$p = \sqrt{2}$ のとき $S(p)$ は最小値をとります。

解法2

接点 $A, B$ の座標をそれぞれ $(x_1, y_1), (x_2, y_2)$ とおきます。 接点 $A$ における双曲線 $x^2 - y^2 = 1$ の接線の方程式は、

$$ x_1 x - y_1 y = 1 $$

となります。この接線が点 $P(0, p)$ を通るため、

$$ -p y_1 = 1 \iff y_1 = -\frac{1}{p} $$

が成り立ちます。 同様に、接点 $B$ における接線も点 $P(0, p)$ を通るため、

$$ -p y_2 = 1 \iff y_2 = -\frac{1}{p} $$

が成り立ちます。 したがって、2点 $A, B$ は直線 $y = -\frac{1}{p}$ 上にあることが分かります。 点 $A, B$ は双曲線上の点であるため、$y = -\frac{1}{p}$ を双曲線の式に代入して $x$ 座標を求めます。

$$ x^2 - \left(-\frac{1}{p}\right)^2 = 1 $$

$$ x^2 = 1 + \frac{1}{p^2} = \frac{p^2 + 1}{p^2} $$

$$ x = \pm\frac{\sqrt{p^2 + 1}}{p} $$

これにより、線分 $AB$ は $x$ 軸に平行であり、その長さは $AB = \frac{2\sqrt{p^2 + 1}}{p}$ となります。 また、$\triangle PAB$ の高さは $p - \left(-\frac{1}{p}\right) = \frac{p^2 + 1}{p}$ です。 したがって、面積 $S$ は

$$ S = \frac{1}{2} \cdot \frac{2\sqrt{p^2 + 1}}{p} \cdot \frac{p^2 + 1}{p} = \frac{(p^2 + 1)^{\frac{3}{2}}}{p^2} $$

となります。 $p > 0$ より $S > 0$ であるため、$S$ が最小となるのは $S^2$ が最小となるときです。

$$ S^2 = \frac{(p^2 + 1)^3}{p^4} $$

ここで $t = p^2$ とおくと、$p > 0$ より $t > 0$ であり、$S^2$ を $t$ の関数 $f(t)$ として表します。

$$ f(t) = \frac{(t + 1)^3}{t^2} $$

$t > 0$ の範囲で微分して増減を調べます。

$$ \begin{aligned} f'(t) &= \frac{3(t + 1)^2 \cdot t^2 - (t + 1)^3 \cdot 2t}{t^4} \\ &= \frac{t(t + 1)^2 \{ 3t - 2(t + 1) \}}{t^4} \\ &= \frac{(t + 1)^2 (t - 2)}{t^3} \end{aligned} $$

$t > 0$ において $f'(t) = 0$ となるのは $t = 2$ のときです。 増減表は以下のようになります。

$t$ $(0)$ $\cdots$ $2$ $\cdots$
$f'(t)$ $-$ $0$ $+$
$f(t)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$

増減表より、$f(t)$ は $t = 2$ のとき最小となります。 $t = 2$ のとき $p^2 = 2$ であり、$p > 0$ であるから $p = \sqrt{2}$ です。 よって、面積を最小にする $p$ の値は $\sqrt{2}$ となります。

解説

双曲線の外部の点から引いた接線に関する問題です。 接点の座標を求めるアプローチとして、解法1のように接線の方程式を傾きを用いて設定し、判別式から求める方法と、解法2のように接点を $(x_1, y_1)$ と設定し、接線の公式を利用する方法の2つが考えられます。計算量や見通しの良さを考慮すると、解法2の「極線」の考え方を背景に持つアプローチが推奨されます。 後半の面積の最小化においては、無理関数を含む関数をそのまま微分してもよいですが(解法1)、解法2のように全体を2乗したうえで $p^2$ を新たな変数に置き換える工夫を用いると、多項式と有理関数の微分に帰着でき、計算の負担やミスを減らすことができます。

答え

$$ p = \sqrt{2} $$

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