京都大学 1998年 理系 第3問 解説

方針・初手
空間ベクトルの設定を行い、図形の性質をベクトルの関係式に翻訳して解き進めます。頂点 $O$ を始点として $\vec{a}=\vec{OA}$, $\vec{b}=\vec{OB}$, $\vec{c}=\vec{OC}$ を基準とします。各辺上の点 $P, Q, R, S$ の位置ベクトルを実数パラメータを用いて表し、四角形 $PQRS$ が平行四辺形となる条件($\vec{PQ}=\vec{SR}$)と空間ベクトルの一次独立性を利用して、パラメータ間の関係式を導きます。最終的に、交点の位置ベクトルが「指定された2つの中点の位置ベクトルの内分点の形」で表せることを示します。
解法1
四面体 $OABC$ において、$\vec{a} = \vec{OA}$, $\vec{b} = \vec{OB}$, $\vec{c} = \vec{OC}$ とおく。 四面体を構成するため、$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ は1次独立である。
点 $P, Q, R, S$ はそれぞれ辺 $OA, AB, BC, CO$ 上の点であるから、実数 $p, q, r, s$ ($0 \le p, q, r, s \le 1$)を用いて、それらの位置ベクトルは次のように表せる。
$$ \vec{OP} = p\vec{a} $$
$$ \vec{OQ} = (1-q)\vec{a} + q\vec{b} $$
$$ \vec{OR} = (1-r)\vec{b} + r\vec{c} $$
$$ \vec{OS} = s\vec{c} $$
(辺 $CO$ 上の点は、辺 $OC$ 上の点と同じであるため $\vec{OS} = s\vec{c}$ とおける)
四角形 $PQRS$ はこの順に頂点を結んで得られる平行四辺形であるから、$\vec{PQ} = \vec{SR}$ が成り立つ。 それぞれ計算すると、
$$ \vec{PQ} = \vec{OQ} - \vec{OP} = (1-q-p)\vec{a} + q\vec{b} $$
$$ \vec{SR} = \vec{OR} - \vec{OS} = (1-r)\vec{b} + (r-s)\vec{c} $$
これらが等しいので、
$$ (1-q-p)\vec{a} + q\vec{b} = (1-r)\vec{b} + (r-s)\vec{c} $$
$$ (1-q-p)\vec{a} + (q-1+r)\vec{b} - (r-s)\vec{c} = \vec{0} $$
$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ は1次独立であるから、各ベクトルの係数は $0$ となる。
$$ \begin{cases} 1 - q - p = 0 \\ q - 1 + r = 0 \\ -(r - s) = 0 \end{cases} $$
これを解くと、
$$ q = 1 - p $$
$$ r = 1 - q = p $$
$$ s = r = p $$
したがって、パラメータはすべて $p$ を用いて表すことができ、$p, q, r, s$ は $0 \le p \le 1$ を満たす範囲で矛盾なく定まる。
次に、平行四辺形 $PQRS$ の対角線の交点を $T$ とすると、$T$ は対角線 $PR$ の中点であるから、その位置ベクトルは
$$ \begin{aligned} \vec{OT} &= \frac{\vec{OP} + \vec{OR}}{2} \\ &= \frac{p\vec{a} + (1-p)\vec{b} + p\vec{c}}{2} \\ &= \frac{p}{2}\vec{a} + \frac{1-p}{2}\vec{b} + \frac{p}{2}\vec{c} \end{aligned} $$
となる。
一方、線分 $AC$ の中点を $M$、線分 $OB$ の中点を $N$ とおくと、それぞれの位置ベクトルは
$$ \vec{OM} = \frac{\vec{a} + \vec{c}}{2} $$
$$ \vec{ON} = \frac{\vec{b}}{2} $$
である。
ここで、$\vec{OT}$ を $\vec{OM}$ と $\vec{ON}$ を用いて変形すると、
$$ \begin{aligned} \vec{OT} &= p \left( \frac{\vec{a} + \vec{c}}{2} \right) + (1-p) \left( \frac{\vec{b}}{2} \right) \\ &= p\vec{OM} + (1-p)\vec{ON} \end{aligned} $$
となる。 $0 \le p \le 1$ であるから、この式は点 $T$ が線分 $NM$ を $p : (1-p)$ に内分する点($p=0$ または $p=1$ のときは端点に一致)であることを示している。
よって、平行四辺形 $PQRS$ の対角線の交点 $T$ は、線分 $AC$ と $OB$ のそれぞれの中点を結ぶ線分上にあることが示された。
解説
空間図形における平行四辺形や点の位置関係をベクトルを用いて処理する標準的な問題です。始点を1つに固定し、一次独立な3つのベクトルで空間内のすべての点を表現するのが基本となります。各辺上の点を文字でおく際、最初は4つの変数を独立に用いておき、後から「平行四辺形になる」という条件を利用して変数を減らしていく見通しを持つとスムーズに計算できます。「2つの中点を結ぶ線分上にある」という結論は、最終的に導いたベクトルが $\vec{OM}$ と $\vec{ON}$ の「係数の和が1となる一次結合」かつ「係数が0以上1以下」で表されることから鮮やかに証明できます。
答え
題意の通り証明された。(証明は解法1を参照)
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