京都大学 2001年 理系 第4問 解説

方針・初手
位置ベクトルを導入し、$\overrightarrow{P_k P_m} = \overrightarrow{OP_m} - \overrightarrow{OP_k}$ と差の形に分解して内積の性質を利用します。$\overrightarrow{OP_i} \cdot \vec{v}$ が実数値をとることに着目し、有限個の実数の集合において最大値や最小値が必ず存在することを利用して証明を進めます。幾何学的には、ベクトル $\vec{v}$ に平行な軸への正射影を考えることで直感的に捉えることも可能です。
解法1
空間内に任意の原点 $O$ をとり、各頂点 $P_i \ (i = 1, 2, \dots, 6)$ の位置ベクトルを $\vec{p_i} = \overrightarrow{OP_i}$ とする。
与えられた条件より、$k \neq m$ のとき
$$ \overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} \neq 0 $$
である。ここで $\overrightarrow{P_k P_m} = \vec{p_m} - \vec{p_k}$ と表せるから、
$$ \vec{p_m} \cdot \vec{v} \neq \vec{p_k} \cdot \vec{v} $$
が成り立つ。これは、6つの実数値 $\vec{p_1} \cdot \vec{v}, \vec{p_2} \cdot \vec{v}, \dots, \vec{p_6} \cdot \vec{v}$ がすべて互いに異なることを意味する。
有限個の互いに異なる実数の集合には、必ず最大のものがただ1つ存在する。その最大値を与える添字を $k$ とする。すなわち、
$$ \vec{p_k} \cdot \vec{v} = \max_{1 \le i \le 6} (\vec{p_i} \cdot \vec{v}) $$
である。このとき、$k$ と異なる任意の $m$ に対して、
$$ \vec{p_m} \cdot \vec{v} < \vec{p_k} \cdot \vec{v} $$
が成り立つ。これを移項すると、
$$ (\vec{p_m} - \vec{p_k}) \cdot \vec{v} < 0 \iff \overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} < 0 $$
となる。よって、$k$ と異なるすべての $m$ に対し $\overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} < 0$ が成り立つような点 $P_k$ が存在することが示された。
解法2
ベクトル $\vec{v}$ と同じ向きの有向直線を $l$ とする。各点 $P_1, P_2, \dots, P_6$ から直線 $l$ に下ろした垂線の足を、それぞれ $H_1, H_2, \dots, H_6$ とする。
条件 $\overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} \neq 0$ ($k \neq m$) は、直線 $l$ 上において $H_k$ と $H_m$ が異なる点であることを意味する。なぜなら、もし $H_k$ と $H_m$ が一致すれば、ベクトル $\overrightarrow{P_k P_m}$ は $\vec{v}$ と垂直になるか、あるいは零ベクトルとなり、$\overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} = 0$ となってしまうからである。したがって、6つの点 $H_1, H_2, \dots, H_6$ は直線 $l$ 上にすべて異なる点として並ぶ。
直線 $l$ にはベクトル $\vec{v}$ と同じ正の向きが定まっている。この直線 $l$ 上で、最も正の向きにある点を $H_k$ とする(有限個の点なので最も正の向きにある点がただ1つ存在する)。このとき、$k$ と異なる任意の $m$ に対して、点 $H_m$ は $H_k$ よりも負の向きにあるため、ベクトル $\overrightarrow{H_k H_m}$ はベクトル $\vec{v}$ と逆向きになる。
$\overrightarrow{P_k P_m}$ を $\overrightarrow{P_k P_m} = \overrightarrow{P_k H_k} + \overrightarrow{H_k H_m} + \overrightarrow{H_m P_m}$ と分解して $\vec{v}$ との内積をとる。$\overrightarrow{P_k H_k}$ と $\overrightarrow{H_m P_m}$ は直線 $l$(すなわち $\vec{v}$)に垂直であるから、これらと $\vec{v}$ の内積は $0$ である。したがって、
$$ \overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} = \overrightarrow{H_k H_m} \cdot \vec{v} $$
となる。$\overrightarrow{H_k H_m}$ は $\vec{v}$ と逆向きであるから、その内積は負となる。すなわち、
$$ \overrightarrow{P_k P_m} \cdot \vec{v} < 0 $$
が成り立つ。よって、条件を満たす点 $P_k$ が存在することが示された。
解説
「正八面体」という具体的な図形が設定されていますが、実は空間内の任意の有限個の点の集合に対して成り立つ普遍的な性質を問う問題です。ベクトルの内積を「位置ベクトルとの内積の差」や「特定の軸への正射影」と捉え直すことで、1次元の実数の大小比較(最大値の存在)の問題に帰着できます。ベクトルのまま考えようとすると難しく見えますが、「視点の切り替え」ができれば計算はほとんど不要で論理的に完結する良問です。
答え
略(解法1の証明を参照)
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