九州大学 1966年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) 導関数 $f'(x)=0$ を満たす $x$ の値から関数の増減を調べ、極大値と極小値をとる $x$ の値をそれぞれ特定する。その後、$f'(x)$ を不定積分して元の関数 $f(x)$ を求め、代入して極値の差を計算する。また、極値の差は定積分 $\int f'(x) dx$ を用いて表すことができるため、積分公式を活用すると計算量を減らすことができる。
(2) 累乗が特定の数より小さくなる条件を求める問題である。与えられた不等式の両辺について、底を $10$ とする常用対数をとる。$\log_{10}2$ の値を用いて不等式を整理し、$n$ の範囲を絞り込む。
解法1
(1)
求める3次関数を $f(x)$ とすると、その導関数は $f'(x) = x^2 - 2x - 8$ である。 $f'(x) = 0$ とすると、
$$x^2 - 2x - 8 = 0$$
$$(x - 4)(x + 2) = 0$$
これより $x = -2, 4$ となる。 $f'(x)$ は下に凸の2次関数であるため、符号の変化は以下のようになる。 ・$x < -2$ のとき $f'(x) > 0$ ・$-2 < x < 4$ のとき $f'(x) < 0$ ・$x > 4$ のとき $f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ は $x = -2$ で極大、$x = 4$ で極小となる。 $C$ を積分定数とすると、$f(x)$ は次のように求められる。
$$f(x) = \int (x^2 - 2x - 8) dx = \frac{1}{3}x^3 - x^2 - 8x + C$$
極大値と極小値の差は $f(-2) - f(4)$ であり、それぞれの値を計算する。
$$f(-2) = \frac{1}{3}(-8) - (-2)^2 - 8(-2) + C = -\frac{8}{3} - 4 + 16 + C = \frac{28}{3} + C$$
$$f(4) = \frac{1}{3}(64) - 4^2 - 8 \cdot 4 + C = \frac{64}{3} - 16 - 32 + C = -\frac{80}{3} + C$$
よって、求める差は
$$f(-2) - f(4) = \left( \frac{28}{3} + C \right) - \left( -\frac{80}{3} + C \right) = \frac{108}{3} = 36$$
(2)
与えられた条件は以下の不等式で表される。
$$(0.8)^n < 0.1$$
底が $10$ の常用対数を両辺にとる。底 $10$ は $1$ より大きいので、不等号の向きは変わらない。
$$\log_{10} (0.8)^n < \log_{10} 0.1$$
対数の性質を用いて変形する。
$$n \log_{10} \frac{8}{10} < \log_{10} 10^{-1}$$
$$n (\log_{10} 2^3 - \log_{10} 10) < -1$$
$$n (3 \log_{10} 2 - 1) < -1$$
ここで、問題文より $\log_{10} 2 = 0.30103$ であるから、カッコ内の値を計算する。
$$3 \log_{10} 2 - 1 = 3 \times 0.30103 - 1 = 0.90309 - 1 = -0.09691$$
これを不等式に代入する。
$$-0.09691 n < -1$$
両辺を負の数 $-0.09691$ で割るため、不等号の向きが逆転する。
$$n > \frac{1}{0.09691}$$
右辺の計算を行う。
$$\frac{1}{0.09691} = \frac{100000}{9691} = 10.31\cdots$$
$n$ はこれを満たす整数であり、「初めて小さくなる」という条件から、求める $n$ は条件を満たす最小の整数である。 よって、$n = 11$ となる。
解法2
(1)について(定積分を用いた解法)
解法1と同様に、$f(x)$ は $x = -2$ で極大、$x = 4$ で極小となることがわかる。 関数 $f(x)$ の極大値と極小値の差は、導関数 $f'(x)$ の定積分を用いて次のように表すことができる。
$$f(-2) - f(4) = - (f(4) - f(-2)) = - \int_{-2}^{4} f'(x) dx$$
これに $f'(x) = (x+2)(x-4)$ を代入し、定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3$ を用いる。
$$- \int_{-2}^{4} (x+2)(x-4) dx = - \left\{ -\frac{1}{6} (4 - (-2))^3 \right\}$$
$$\frac{1}{6} \times 6^3 = 36$$
解説
(1) 3次関数の極値の差を求める典型問題である。不定積分を求めて直接代入計算をしてもよいが、解法2のように定積分として捉え、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を利用すると、計算量を大幅に削減でき、計算ミスのリスクを減らすことができる。
(2) 常用対数を用いた不等式の問題。対数をとる際、底が $1$ より大きいことに言及することで論理の飛躍を防ぐことができる。また、最後に $100000 \div 9691$ のような計算を手計算で行う必要があるため、焦らずに筆算をして精度の高い近似値を求めることが重要である。
答え
(1) $36$ (2) $11$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











