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九州大学 1974年 文系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学2/三角関数数学2/式と証明テーマ/整式の証明
九州大学 1974年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) は2次方程式を解き、得られた複素数解を極形式で表す基本的な問題である。偏角の範囲が $-\pi$ と $\pi$ の間と指定されていることに注意して変形する。

(2) は多項式の割り算に関する問題である。割る式 $x^2 - \sqrt{2}x + 1$ が $0$ になるような $x$ の値(すなわち (1) で求めた複素数)を、割られる式 $x^{2n} - \sqrt{2}x^n + 1$ に代入したときに式の値が $0$ になるという剰余の定理(因数定理)の考え方を用いる。

解法1

(1)

与えられた2次方程式 $x^2 - \sqrt{2}x + 1 = 0$ を解の公式を用いて解く。

$$x = \frac{\sqrt{2} \pm \sqrt{2 - 4}}{2} = \frac{\sqrt{2} \pm \sqrt{-2}}{2} = \frac{\sqrt{2} \pm \sqrt{2}i}{2} = \frac{1}{\sqrt{2}} \pm \frac{1}{\sqrt{2}}i$$

これを極形式 $r(\cos\theta + i\sin\theta)$ の形に変形する。 絶対値 $r$ は $r = \sqrt{\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + \left(\pm \frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2} = \sqrt{\frac{1}{2} + \frac{1}{2}} = 1$ である。 偏角 $\theta$ は $-\pi < \theta < \pi$ の範囲で考えると、$\pm \frac{\pi}{4}$ となる。

したがって、求める2根の極形式は以下の通りである。

$$\cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4}, \quad \cos\left(-\frac{\pi}{4}\right) + i\sin\left(-\frac{\pi}{4}\right)$$

(2)

$P(x) = x^{2n} - \sqrt{2}x^n + 1$、$Q(x) = x^2 - \sqrt{2}x + 1$ とおく。 $P(x)$ が $Q(x)$ で割り切れるための必要十分条件は、$Q(x) = 0$ の2つの根を $P(x)$ に代入した値がともに $0$ になることである。

(1) より、$Q(x) = 0$ の根は $\alpha = \cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4}$、$\beta = \cos\left(-\frac{\pi}{4}\right) + i\sin\left(-\frac{\pi}{4}\right)$ である。 まず $P(\alpha) = 0$ が成り立つような $n$ の条件を求める。

$$\alpha^{2n} - \sqrt{2}\alpha^n + 1 = 0$$

これは $\alpha^n$ についての2次方程式 $(\alpha^n)^2 - \sqrt{2}(\alpha^n) + 1 = 0$ と見ることができる。 この方程式の係数は $Q(x) = 0$ と全く同じであるため、$\alpha^n$ の値は $Q(x) = 0$ の根と一致する。すなわち、

$$\alpha^n = \alpha \quad \text{または} \quad \alpha^n = \beta$$

ド・モアブルの定理より $\alpha^n = \cos\frac{n\pi}{4} + i\sin\frac{n\pi}{4}$ であるから、

$$\cos\frac{n\pi}{4} + i\sin\frac{n\pi}{4} = \cos\left(\pm\frac{\pi}{4}\right) + i\sin\left(\pm\frac{\pi}{4}\right)$$

両辺の偏角を比較すると、$k$ を整数として、次のように表せる。

$$\frac{n\pi}{4} = \pm\frac{\pi}{4} + 2k\pi$$

これを $n$ について解くと、

$$n = 8k \pm 1$$

このとき、$\beta$ は $\alpha$ の共役複素数 ($\beta = \bar{\alpha}$) であり、$P(x)$ は実数係数の多項式であるから、$P(\alpha) = 0$ が成り立てば、その共役である $P(\beta) = P(\bar{\alpha}) = \overline{P(\alpha)} = 0$ も自動的に成り立つ。したがって、もう一つの根 $\beta$ についての確認は不要である。

$n$ は1より大きい整数 ($n \ge 2$) である。 $k \le 0$ のとき $n \le 1$ となり不適である。 $k = 1$ のとき、$n = 8 \cdot 1 - 1 = 7$ および $n = 8 \cdot 1 + 1 = 9$ となる。

したがって、条件を満たす最小の整数 $n$ は $7$ である。

解法2

(1) は解法1と同じであるため省略する。

(2)

$Q(x) = 0$ の根 $\alpha = \cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4}$ に対し、$P(\alpha) = 0$ となる条件を直接計算して求める。

$$P(\alpha) = \alpha^{2n} - \sqrt{2}\alpha^n + 1 = 0$$

ド・モアブルの定理より、$\alpha^n = \cos\frac{n\pi}{4} + i\sin\frac{n\pi}{4}$、$\alpha^{2n} = \cos\frac{n\pi}{2} + i\sin\frac{n\pi}{2}$ であるから、これを代入して実部と虚部に分ける。

$$\left( \cos\frac{n\pi}{2} - \sqrt{2}\cos\frac{n\pi}{4} + 1 \right) + i\left( \sin\frac{n\pi}{2} - \sqrt{2}\sin\frac{n\pi}{4} \right) = 0$$

これが成り立つためには、実部と虚部がともに $0$ でなければならない。

$$\begin{cases} \cos\frac{n\pi}{2} - \sqrt{2}\cos\frac{n\pi}{4} + 1 = 0 & \cdots \text{①} \\ \sin\frac{n\pi}{2} - \sqrt{2}\sin\frac{n\pi}{4} = 0 & \cdots \text{②} \end{cases}$$

②について、2倍角の公式 $\sin\frac{n\pi}{2} = 2\sin\frac{n\pi}{4}\cos\frac{n\pi}{4}$ を用いて変形する。

$$2\sin\frac{n\pi}{4}\cos\frac{n\pi}{4} - \sqrt{2}\sin\frac{n\pi}{4} = 0$$

$$\sqrt{2}\sin\frac{n\pi}{4} \left( \sqrt{2}\cos\frac{n\pi}{4} - 1 \right) = 0$$

よって、$\sin\frac{n\pi}{4} = 0$ または $\cos\frac{n\pi}{4} = \frac{1}{\sqrt{2}}$ である。

(i) $\sin\frac{n\pi}{4} = 0$ のとき

$n$ は4の倍数であり、$m$ を整数として $n = 4m$ と表せる。 このとき、$\cos\frac{n\pi}{4} = \cos(m\pi) = (-1)^m$ である。 これを①の左辺に代入すると、

$$\cos(2m\pi) - \sqrt{2}\cos(m\pi) + 1 = 1 - \sqrt{2}(-1)^m + 1 = 2 \pm \sqrt{2}$$

これは無理数であり $0$ にならないため、①を満たさない。

(ii) $\cos\frac{n\pi}{4} = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき

これを満たす $n$ は、$k$ を整数として $\frac{n\pi}{4} = 2k\pi \pm \frac{\pi}{4}$ より $n = 8k \pm 1$ と表せる。 このとき、$\sin\frac{n\pi}{4} = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}$ であり、$\cos\frac{n\pi}{2} = \cos\left(4k\pi \pm \frac{\pi}{2}\right) = 0$ となる。 これらを①の左辺に代入すると、

$$0 - \sqrt{2} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} + 1 = 0$$

となり、①も満たす。

以上より、$P(\alpha) = 0$ を満たす条件は $n = 8k \pm 1$ ($k$ は整数) である。 また、実係数多項式の性質から、共役複素数 $\beta$ に対しても $P(\beta) = 0$ が自動的に成り立つため、これが $P(x)$ が $Q(x)$ で割り切れるための必要十分条件である。

$n$ は1より大きい整数であるため、$k \ge 1$ を考える。 最小となるのは $k=1$ かつ負号をとった $n = 8 \cdot 1 - 1 = 7$ のときである。

解説

2次方程式の解が複素数になるとき、その解を極形式で表し、高次方程式の因数(あるいは剰余の定理)の議論に持ち込む典型的な問題である。

(2)において、$x^{2n} - \sqrt{2}x^n + 1 = 0$ という方程式を $x^n$ をひとかたまりとする2次方程式と見なせることに気づけば、解法1のように非常にスムーズに処理できる。これは、与えられた多項式と割る多項式の係数が同じであることをうまく利用した解法である。

解法2のように、ド・モアブルの定理を用いて実部と虚部の連立方程式に帰着させる方法は、係数が異なる場合でも通用する汎用性の高いアプローチである。三角関数の計算処理(特に2倍角の公式による因数分解)が鍵となる。

どちらの解法においても、複素数係数を持たない(実数係数の)多項式 $P(x)$ について、$P(\alpha) = 0$ が示されればその共役複素数 $\bar{\alpha}$ についても $P(\bar{\alpha}) = 0$ が直ちに従うという性質を理解していると、記述の負担を減らすことができる。

答え

(1) $\cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4}, \quad \cos\left(-\frac{\pi}{4}\right) + i\sin\left(-\frac{\pi}{4}\right)$

(2) $n = 7$

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