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九州大学 1986年 文系 第4問 解説

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九州大学 1986年 文系 第4問 解説

方針・初手

円と2つの放物線の交点の $x$ 座標を求め、それぞれの曲線の位置関係(上下関係)を把握する。

円と放物線が原点以外で交わるという条件から、パラメータ $k$ のとり得る値の範囲を特定する。図形 $S$ は $x$ 軸に関して対称であるため、$x$ 軸周りの回転体の体積は、$y \ge 0$ の領域を回転させたものと一致する。

求める体積 $V$ は、各区間における上側の曲線の回転体から下側の曲線の回転体を引くことで得られるので、区間を分割して定積分を計算する。得られた $V$ を $k$ の関数とみなし、微分を用いて増減を調べることで最大値を与える $k$ を求める。

解法1

(1)

円の方程式は $(x-1)^2+y^2=1$ より、

$$y^2 = 2x - x^2$$

と表される。また、2つの放物線の方程式は $y^2 = 2kx$、$y^2 = kx$ である。

円と放物線 $y^2 = 2kx$ の交点の $x$ 座標は、

$$2x - x^2 = 2kx \iff x \{ x - 2(1-k) \} = 0$$

より、$x = 0$ および $x = 2(1-k)$ である。 円と放物線が原点以外の点で交わるため、交点の $x$ 座標 $x = 2(1-k)$ は正であり、かつ円の存在範囲 $0 \le x \le 2$ の内側にある。したがって、

$$0 < 2(1-k) \le 2 \iff 0 \le k < 1$$

問題の条件 $k > 0$ と合わせると、$k$ のとり得る値の範囲は $0 < k < 1$ である。

同様に、円と放物線 $y^2 = kx$ の交点の $x$ 座標は、

$$2x - x^2 = kx \iff x \{ x - (2-k) \} = 0$$

より、$x = 0$ および $x = 2-k$ である。 $0 < k < 1$ のとき、$0 < 2(1-k) < 2-k < 2$ が成り立つ。

図形 $S$ は $x$ 軸に関して対称であるため、$y \ge 0$ の部分を $x$ 軸周りに回転させた体積を求めればよい。 $y \ge 0$ における3つの曲線を $y = \sqrt{2x-x^2}$、$y = \sqrt{2kx}$、$y = \sqrt{kx}$ とする。 区間ごとの $y$ の大小関係を調べると以下のようになる。

したがって、図形 $S$ の $y \ge 0$ の部分は、上端が $0 \le x \le 2(1-k)$ で $y = \sqrt{2kx}$、$2(1-k) \le x \le 2-k$ で $y = \sqrt{2x-x^2}$ であり、下端が $0 \le x \le 2-k$ の全域にわたり $y = \sqrt{kx}$ となる領域である。

求める体積 $V$ は、

$$V = \pi \int_0^{2(1-k)} (2kx - kx) dx + \pi \int_{2(1-k)}^{2-k} \{ (2x - x^2) - kx \} dx$$

として計算できる。それぞれ積分を実行すると、

$$\begin{aligned} \frac{V}{\pi} &= \int_0^{2-2k} kx dx + \int_{2-2k}^{2-k} (-x^2 + (2-k)x) dx \\ &= \left[ \frac{k}{2}x^2 \right]_0^{2-2k} + \left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{2-k}{2}x^2 \right]_{2-2k}^{2-k} \\ &= \frac{k}{2}(2-2k)^2 + \left( -\frac{1}{3}(2-k)^3 + \frac{1}{2}(2-k)^3 \right) - \left( -\frac{1}{3}(2-2k)^3 + \frac{2-k}{2}(2-2k)^2 \right) \\ &= 2k(1-k)^2 + \frac{1}{6}(2-k)^3 + \frac{8}{3}(1-k)^3 - 2(2-k)(1-k)^2 \end{aligned}$$

各項を展開して $k$ について整理する。

$$2k(1-k)^2 = 2k - 4k^2 + 2k^3$$

$$\frac{1}{6}(2-k)^3 = \frac{4}{3} - 2k + k^2 - \frac{1}{6}k^3$$

$$\frac{8}{3}(1-k)^3 = \frac{8}{3} - 8k + 8k^2 - \frac{8}{3}k^3$$

$$-2(2-k)(1-k)^2 = -2(2-k)(1 - 2k + k^2) = -4 + 10k - 8k^2 + 2k^3$$

これらをすべて足し合わせると、

定数項は $\frac{4}{3} + \frac{8}{3} - 4 = 0$ $k$ の1次の項は $2k - 2k - 8k + 10k = 2k$ $k$ の2次の項は $-4k^2 + k^2 + 8k^2 - 8k^2 = -3k^2$ $k$ の3次の項は $\left( 2 - \frac{1}{6} - \frac{8}{3} + 2 \right) k^3 = \frac{7}{6}k^3$

よって、体積 $V$ は以下のように表される。

$$V = \pi \left( \frac{7}{6}k^3 - 3k^2 + 2k \right)$$

(2)

得られた $V(k) = \pi \left( \frac{7}{6}k^3 - 3k^2 + 2k \right)$ について、$0 < k < 1$ の範囲での増減を調べる。 $k$ で微分すると、

$$V'(k) = \pi \left( \frac{7}{2}k^2 - 6k + 2 \right)$$

$V'(k) = 0$ とすると $7k^2 - 12k + 4 = 0$ となり、解の公式より、

$$k = \frac{6 \pm \sqrt{36 - 28}}{7} = \frac{6 \pm 2\sqrt{2}}{7}$$

ここで、$2 < 2\sqrt{2} < 3$ であるから、$3 < 6 - 2\sqrt{2} < 4$ より $0 < \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7} < 1$ を満たす。 一方で、$8 < 6 + 2\sqrt{2} < 9$ より $\frac{6 + 2\sqrt{2}}{7} > 1$ となり、定義域外となる。

したがって、$0 < k < 1$ の範囲で $V'(k) = 0$ となるのは $k = \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$ のみである。

増減を考えると、 $0 < k < \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$ において $V'(k) > 0$ $\frac{6 - 2\sqrt{2}}{7} < k < 1$ において $V'(k) < 0$ となるため、$V$ は $k = \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$ で極大かつ最大となる。

解説

回転体の体積を求める典型的な微積分問題である。領域の境界をなす曲線の上下関係が、交点 $x = 2(1-k)$ を境に入れ替わる点に気づけるかどうかがポイントとなる。

また、題意より「原点以外の点で交わる」という条件を見落とさず、パラメータ $k$ の定義域 $0 < k < 1$ を立式前に確定させておくことが極めて重要である。この定義域の確認がないと、(2) で導出される $V'(k) = 0$ の2つの解のうち、どちらが適するかを論理的に判定できなくなる。

答え

(1)

$$V = \pi \left( \frac{7}{6}k^3 - 3k^2 + 2k \right)$$

(2)

$$k = \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$$

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