九州大学 2013年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) は、円が内接する条件「中心間の距離が半径の差に等しい」こと、あるいは「接点と2つの円の中心が一直線上に並ぶ」ことを利用して中心の座標を求めます。さらに $y$ 軸に接することから、円の半径が中心の $x$ 座標と一致することも用います。
(2) は、回転軸である直線 $l$ の方程式を求め、回転させる図形の境界を表す関数を明確にします。その後、回転軸から垂直な距離の2乗の差を積分する円環法(ワッシャー法)を用いて定積分を計算します。
解法1
(1)
円 $S$ は中心が原点 $O(0, 0)$ であり、点 $A(0, 1)$ を通るため、その半径は $1$ である。 円 $T$ の中心を $D(a, b)$、半径を $r$ とおく。 円 $T$ は $y$ 軸に点 $C$ で接しているため、$r = |a|$ である。円 $T$ は第1象限の点 $B\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ で円 $S$ に接しているため、$a > 0$ となり $r = a$ である。また、接点 $C$ の座標は $(0, b)$ である。
円 $T$ が円 $S$ に内接するとき、円 $S$ の中心 $O$、円 $T$ の中心 $D$、および接点 $B$ はこの順に一直線上に並ぶ。 点 $B$ は原点を通る直線 $y = \sqrt{3}x$ 上にあるため、線分 $OB$ 上にある点 $D$ の座標は $(a, \sqrt{3}a)$ とおける。(よって $b = \sqrt{3}a$ である。) 点 $B$ は円 $S$ 上にあり $OB = 1$ であるから、 $$ OD + DB = OB $$
$$ \sqrt{a^2 + (\sqrt{3}a)^2} + r = 1 $$
$$ \sqrt{4a^2} + a = 1 $$
$a > 0$ より $2a + a = 1$ となり、$3a = 1$ から $a = \frac{1}{3}$ を得る。 このとき $b = \frac{\sqrt{3}}{3}$、半径 $r = \frac{1}{3}$ である。
したがって、円 $T$ の中心 $D$ の座標は $\left(\frac{1}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$、半径は $\frac{1}{3}$ である。
(2)
(1) より、点 $D$ の座標は $\left(\frac{1}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$ であるから、点 $D$ を通り $x$ 軸に平行な直線 $l$ の方程式は $y = \frac{\sqrt{3}}{3}$ である。 また、点 $C$ は $\left(0, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$ であり、直線 $l$ 上にある。
回転させる図形は、以下の3つの境界で囲まれた領域である。
- 円 $S$ の短い方の弧 $AB$:$y = \sqrt{1-x^2}$ $\left(0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}\right)$
- 円 $T$ の短い方の弧 $BC$:$y = \frac{\sqrt{3}}{3} + \sqrt{\frac{1}{9} - \left(x - \frac{1}{3}\right)^2}$ $\left(0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}\right)$
- 線分 $AC$:$x = 0$ $\left(\frac{\sqrt{3}}{3} \leqq y \leqq 1\right)$
この領域は全体が直線 $l$ の上側に存在する。 求める回転体の体積 $V$ は、この領域を直線 $l$ の周りに1回転させてできるため、回転軸からの距離の2乗の差を積分する。
$$ V = \pi \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left\{ \left( \sqrt{1-x^2} - \frac{\sqrt{3}}{3} \right)^2 - \left( \frac{\sqrt{3}}{3} + \sqrt{\frac{1}{9} - \left(x - \frac{1}{3}\right)^2} - \frac{\sqrt{3}}{3} \right)^2 \right\} dx $$
$$ = \pi \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left\{ \left( \sqrt{1-x^2} - \frac{\sqrt{3}}{3} \right)^2 - \left( \frac{1}{9} - \left(x - \frac{1}{3}\right)^2 \right) \right\} dx $$
被積分関数を展開して整理する。 前半部分は、 $$ \left( \sqrt{1-x^2} - \frac{\sqrt{3}}{3} \right)^2 = 1 - x^2 - \frac{2\sqrt{3}}{3} \sqrt{1-x^2} + \frac{1}{3} = \frac{4}{3} - x^2 - \frac{2\sqrt{3}}{3} \sqrt{1-x^2} $$
後半部分は、 $$ \frac{1}{9} - \left(x - \frac{1}{3}\right)^2 = \frac{1}{9} - \left(x^2 - \frac{2}{3}x + \frac{1}{9}\right) = -x^2 + \frac{2}{3}x $$
これらを差し引くと、 $$ \left( \frac{4}{3} - x^2 - \frac{2\sqrt{3}}{3} \sqrt{1-x^2} \right) - \left( -x^2 + \frac{2}{3}x \right) = \frac{4}{3} - \frac{2}{3}x - \frac{2\sqrt{3}}{3} \sqrt{1-x^2} $$
よって、体積 $V$ は次のように計算できる。 $$ V = \pi \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{4}{3} - \frac{2}{3}x - \frac{2\sqrt{3}}{3} \sqrt{1-x^2} \right) dx $$
$$ = \pi \left[ \frac{4}{3}x - \frac{1}{3}x^2 \right]_{0}^{\frac{1}{2}} - \frac{2\sqrt{3}}{3}\pi \int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{1-x^2} dx $$
ここで、第1項の定積分の値は、 $$ \left[ \frac{4}{3}x - \frac{1}{3}x^2 \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = \frac{2}{3} - \frac{1}{12} = \frac{7}{12} $$
第2項の定積分 $\int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{1-x^2} dx$ は、半径 $1$ の円 $x^2 + y^2 \leqq 1$ の $0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ における部分の面積を表す。これは、中心角 $\frac{\pi}{6}$ の扇形と直角三角形の面積の和であるから、 $$ \int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{1-x^2} dx = \frac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \frac{\pi}{6} + \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\pi}{12} + \frac{\sqrt{3}}{8} $$
したがって、 $$ V = \pi \cdot \frac{7}{12} - \frac{2\sqrt{3}}{3}\pi \left( \frac{\pi}{12} + \frac{\sqrt{3}}{8} \right) $$
$$ = \frac{7}{12}\pi - \left( \frac{\sqrt{3}}{18}\pi^2 + \frac{1}{4}\pi \right) $$
$$ = \left( \frac{7}{12} - \frac{3}{12} \right)\pi - \frac{\sqrt{3}}{18}\pi^2 $$
$$ = \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{18}\pi^2 $$
解説
(1) は、2つの円が内接する条件を図形的に処理すると見通しがよくなります。「接点と2つの円の中心が一直線上にある」という幾何的性質から、中心の座標を1変数で設定できるかどうかがポイントです。
(2) は、回転軸が $x$ 軸ではなく平行移動した直線 $y = \frac{\sqrt{3}}{3}$ である点に注意します。回転体は中空の立体となるため、外側の回転体から内側の回転体(空洞部分)をくり抜く方針で立式します。被積分関数の展開において $x^2$ の項が都合よく相殺されるため、計算は思いのほか簡明になります。残る $\sqrt{1-x^2}$ の積分は、無理に置換積分を行わずとも、円の面積の一部として図形的に解釈することで手際よく求めることができます。
答え
(1) 中心 $D\left(\frac{1}{3}, \frac{\sqrt{3}}{3}\right)$,半径 $\frac{1}{3}$
(2) $\frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{18}\pi^2$
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