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九州大学 1995年 文系 第2問 解説

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九州大学 1995年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) 微分を用いて点 $A$ における接線の方程式を求め、点 $P$ の座標と直線 $AP$ の傾き $\tan\theta$ を求める。直線 $L$ の傾きは $\tan 2\theta$ となるので、タンジェントの倍角の公式を用いて傾きを計算し、直線の方程式を導出する。

(2) 直線 $L$ と放物線 $y = x^2$ の方程式から $y$ を消去した $x$ についての2次方程式を考える。「2つの実数解がともに特定の定数より小さくなる条件」を求める、解の配置問題に帰着させる。

解法1

(1)

$y = x^2$ より $y' = 2x$ であるから、点 $A(a, a^2)$ における接線の傾きは $2a$ である。 接線の方程式は、

$$y - a^2 = 2a(x - a)$$

$$y = 2ax - a^2$$

この接線と $x$ 軸との交点 $P$ の座標を求める。$y = 0$ を代入すると、

$$0 = 2ax - a^2$$

点 $A$ は原点と異なるため $a \neq 0$ であり、両辺を $a$ で割って整理すると $x = \frac{a}{2}$ となる。 したがって、点 $P$ の座標は $\left(\frac{a}{2}, 0\right)$ である。

また、直線 $AP$ と $x$ 軸の正の向きとのなす角 $\theta$ について、直線 $AP$ の傾きが $2a$ であることから、

$$\tan\theta = 2a$$

直線 $L$ は $x$ 軸を点 $P$ のまわりに正の向きに角 $2\theta$ だけ回転させて得られる直線であるから、その傾きは $\tan 2\theta$ である。倍角の公式より、

$$\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta} = \frac{2 \cdot 2a}{1 - (2a)^2} = \frac{4a}{1 - 4a^2}$$

条件 $a \neq \pm\frac{1}{2}$ より、分母は $0$ にならない。 直線 $L$ は点 $P\left(\frac{a}{2}, 0\right)$ を通り、傾き $\frac{4a}{1 - 4a^2}$ の直線であるから、その方程式は、

$$y = \frac{4a}{1 - 4a^2}\left(x - \frac{a}{2}\right)$$

整理して、直線 $L$ を表す式は以下のようになる。

$$y = \frac{4a}{1 - 4a^2}x - \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

(2)

直線 $L$ と放物線 $y = x^2$ の交点の $x$ 座標は、方程式

$$x^2 = \frac{4a}{1 - 4a^2}x - \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

$$x^2 - \frac{4a}{1 - 4a^2}x + \frac{2a^2}{1 - 4a^2} = 0 \quad \cdots (A)$$

の実数解である。 交点の $x$ 座標の値がいずれも $k = \frac{4a}{1 - 4a^2}$ より小さくなるための条件は、2次方程式 (A) が異なる2つの実数解をもち、それらがともに $k$ より小さくなることである。

$f(x) = x^2 - \frac{4a}{1 - 4a^2}x + \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$ とおく。関数 $y = f(x)$ のグラフは下に凸の放物線となる。 求める条件は、以下の3つがすべて成り立つことである。

(i) $f(x) = 0$ の判別式を $D$ とするとき、$D > 0$ (ii) 放物線の軸 $x = \frac{2a}{1 - 4a^2}$ について、$\frac{2a}{1 - 4a^2} < k$ (iii) $f(k) > 0$

(i) について

$$\frac{D}{4} = \left(-\frac{2a}{1 - 4a^2}\right)^2 - \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

$$= \frac{4a^2 - 2a^2(1 - 4a^2)}{(1 - 4a^2)^2} = \frac{2a^2(1 + 4a^2)}{(1 - 4a^2)^2}$$

$a \neq 0$ および $a \neq \pm\frac{1}{2}$ より、$2a^2 > 0$ かつ $1 + 4a^2 > 0$ かつ $(1 - 4a^2)^2 > 0$ であるため、常に $\frac{D}{4} > 0$ は成り立つ。

(ii) について

$$\frac{2a}{1 - 4a^2} < \frac{4a}{1 - 4a^2}$$

$$\frac{2a}{1 - 4a^2} > 0 \quad \cdots (B)$$

(iii) について

$k = \frac{4a}{1 - 4a^2}$ を代入すると、

$$f(k) = \left(\frac{4a}{1 - 4a^2}\right)^2 - \frac{4a}{1 - 4a^2} \cdot \left(\frac{4a}{1 - 4a^2}\right) + \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

$$= \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

$f(k) > 0$ であり、$a \neq 0$ より $2a^2 > 0$ であるから、

$$1 - 4a^2 > 0$$

$$(1 + 2a)(1 - 2a) > 0$$

$$-\frac{1}{2} < a < \frac{1}{2} \quad \cdots (C)$$

さらに、条件 (C) のもとでは $1 - 4a^2 > 0$ であるから、条件 (B) を満たすためには分子の $2a$ が正であればよい。

$$2a > 0 \iff a > 0 \quad \cdots (D)$$

(C) かつ (D) を満たす $a$ の範囲を求めて、

$$0 < a < \frac{1}{2}$$

解説

(1) は、直線が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\theta$ とおいたとき、傾きが $\tan\theta$ と表せることを利用する典型的な問題である。回転後の直線の傾き $\tan 2\theta$ を倍角の公式で求める処理が鍵となる。

(2) は、2次方程式の解の配置(解の存在範囲)問題である。方程式を $(1-4a^2)x^2 - 4ax + 2a^2 = 0$ と分母を払って整理してしまうと、$x^2$ の係数の正負によってグラフが上に凸か下に凸かが変わり、場合分けが煩雑になってしまう。本解法のように $x^2$ の係数を $1$ に保ったまま $f(x)$ を設定することで、常に下に凸の放物線として安全かつ簡潔に処理できる。また、問題文には明記されていないが、「原点と異なる点 $A$」という条件から $a \neq 0$ が隠れた前提条件になっていることに注意が必要である。

答え

(1)

$$y = \frac{4a}{1 - 4a^2}x - \frac{2a^2}{1 - 4a^2}$$

(2)

$$0 < a < \frac{1}{2}$$

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