九州大学 2023年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) 曲線 $C$ を微分して点 $A$ における接線 $l$ の方程式を求め、直線 $y = -x$ の方程式と連立させて交点 $B$ の座標を計算する。
(2) 2直線 $l$ と $OB$ のなす角が $\theta$ である。それぞれの直線の方向ベクトルを設定し、内積を用いて $\cos \theta$ を求め、三角比の相互関係から $\sin^2 \theta$ を導出する。
(3) 点 $P$ は $\triangle OAB$ の外接円の中心であるから、$OP$ はその外接円の半径 $R$ に等しい。これに着目し、$\triangle OAB$ において正弦定理を用いることで $\frac{OP}{OA}$ を $\sin \theta$ の式で表す。その後、$t$ の関数として最小値を求める。
解法1
(1)
曲線 $C : y = x^3 - x$ について、微分すると以下のようになる。
$$ y' = 3x^2 - 1 $$
点 $A(t, t^3 - t)$ における接線 $l$ の方程式は、傾きが $3t^2 - 1$ であるから、
$$ y - (t^3 - t) = (3t^2 - 1)(x - t) $$
$$ y = (3t^2 - 1)x - 2t^3 $$
点 $B$ は直線 $l$ と直線 $y = -x$ の交点であるから、これらを連立する。
$$ -x = (3t^2 - 1)x - 2t^3 $$
$$ 3t^2 x = 2t^3 $$
条件より $t > 0$ であるため、$t \neq 0$ である。両辺を $3t^2$ で割ると、
$$ x = \frac{2}{3}t $$
これを $y = -x$ に代入して $y = -\frac{2}{3}t$ となる。よって、点 $B$ の座標は以下の通りである。
$$ B \left( \frac{2}{3}t, -\frac{2}{3}t \right) $$
(2)
直線 $OB$(方程式 $y = -x$)と直線 $l$(方程式 $y = (3t^2 - 1)x - 2t^3$)の方向ベクトルをそれぞれ $\vec{d_1}, \vec{d_2}$ とする。これらは以下のようにとることができる。
$$ \vec{d_1} = (1, -1) $$
$$ \vec{d_2} = (1, 3t^2 - 1) $$
$\theta = \angle OBA$ はこれら2直線のなす角に等しいから、内積を用いて $\cos \theta$ を求める。
$$ \cos \theta = \frac{|\vec{d_1} \cdot \vec{d_2}|}{|\vec{d_1}||\vec{d_2}|} $$
$$ \cos \theta = \frac{|1 \cdot 1 + (-1) \cdot (3t^2 - 1)|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2} \sqrt{1^2 + (3t^2 - 1)^2}} $$
$$ \cos \theta = \frac{|2 - 3t^2|}{\sqrt{2} \sqrt{9t^4 - 6t^2 + 2}} $$
したがって、$\sin^2 \theta$ は次のように計算できる。
$$ \sin^2 \theta = 1 - \cos^2 \theta $$
$$ \sin^2 \theta = 1 - \frac{(2 - 3t^2)^2}{2(9t^4 - 6t^2 + 2)} $$
$$ \sin^2 \theta = \frac{18t^4 - 12t^2 + 4 - (9t^4 - 12t^2 + 4)}{2(9t^4 - 6t^2 + 2)} $$
$$ \sin^2 \theta = \frac{9t^4}{2(9t^4 - 6t^2 + 2)} $$
(3)
$t > 0$ において、直線 $OA$ の傾きは $\frac{t^3 - t}{t} = t^2 - 1$、直線 $OB$ の傾きは $-1$ である。$t^2 - 1 = -1$ を満たすのは $t = 0$ のみであるため、$t > 0$ において3点 $O, A, B$ は同一直線上になく、常に $\triangle OAB$ が成立する。
$\triangle OAB$ において、外接円の中心が $P$ であるから、外接円の半径は $OP$ である。辺 $OA$ とその対角 $\angle OBA = \theta$ について正弦定理を用いると、
$$ \frac{OA}{\sin \theta} = 2 OP $$
これより、$f(t)$ を $\sin \theta$ を用いて表すことができる。
$$ f(t) = \frac{OP}{OA} = \frac{1}{2 \sin \theta} $$
(2)の結果より、$t > 0$ において $\sin^2 \theta > 0$ であるため、$\sin \theta > 0$ であり、$f(t) > 0$ である。$f(t)$ が最小となるのは、$\sin \theta$ が最大となるとき、すなわち $\sin^2 \theta$ が最大となるときである。
(2)で求めた $\sin^2 \theta$ の式の分母・分子を $t^4$ で割る($t > 0$ より可能)。
$$ \sin^2 \theta = \frac{9}{18 - \frac{12}{t^2} + \frac{4}{t^4}} = \frac{1}{2 - \frac{4}{3t^2} + \frac{4}{9t^4}} $$
ここで、$u = \frac{1}{t^2}$ とおくと、$t > 0$ より $u > 0$ である。分母を $g(u)$ とおいて平方完成する。
$$ g(u) = \frac{4}{9}u^2 - \frac{4}{3}u + 2 $$
$$ g(u) = \frac{4}{9} \left( u^2 - 3u \right) + 2 $$
$$ g(u) = \frac{4}{9} \left( u - \frac{3}{2} \right)^2 - 1 + 2 $$
$$ g(u) = \frac{4}{9} \left( u - \frac{3}{2} \right)^2 + 1 $$
$u > 0$ の範囲において、$g(u)$ は $u = \frac{3}{2}$ のとき最小値 $1$ をとる。このとき、分母が最小となるため $\sin^2 \theta$ は最大値 $\frac{1}{1} = 1$ をとる。
$u = \frac{3}{2}$ のとき、
$$ \frac{1}{t^2} = \frac{3}{2} $$
$$ t^2 = \frac{2}{3} $$
$t > 0$ であるから、
$$ t = \sqrt{\frac{2}{3}} = \frac{\sqrt{6}}{3} $$
このとき、$\sin^2 \theta = 1$ かつ $\sin \theta > 0$ より $\sin \theta = 1$ であるから、$f(t)$ の最小値は以下のようになる。
$$ f(t) = \frac{1}{2 \cdot 1} = \frac{1}{2} $$
解説
(3)において、外接円の中心 $P$ の座標を直接求めてから距離 $OP$ を計算しようとすると、計算が極めて煩雑になり現実的ではない。「外接円の半径」に相当する線分 $OP$ の長さが問われていることに着目し、正弦定理を適用して $\frac{OP}{OA}$ の比を直接 $\sin \theta$ で表す発想が最大のポイントである。
(2)のなす角の処理について、直線の傾きから $\tan$ の加法定理を用いる解法も可能であるが、なす角が $\frac{\pi}{2}$ になる場合($\tan$ が定義できない場合)の例外処理が必要になる。本解答のように方向ベクトルの内積と $\cos$ を経由することで、場合分けをせずに一貫した計算が可能となる。
また、変数が複数乗の分数式で表された場合の最大・最小問題では、本問のように分母分子を最高次の項で割り、逆数を置換($u = \frac{1}{t^2}$)して2次関数に帰着させる手法が定石である。
答え
(1) $B \left( \frac{2}{3}t, -\frac{2}{3}t \right)$
(2) $\sin^2 \theta = \frac{9t^4}{2(9t^4 - 6t^2 + 2)}$
(3) $f(t)$ を最小にする $t$ の値は $t = \frac{\sqrt{6}}{3}$ $f(t)$ の最小値は $\frac{1}{2}$
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