九州大学 2009年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 曲線上の $2$ 点 $P, Q$ におけるそれぞれの法線の方程式を立て、その交点 $R$ の座標を $a, b$ で表す。その後、$b \to a$ の極限をとる。
(2) (1) で求めた点 $A$ の座標からパラメータ $a$ を消去し、$x, y$ の関係式を導く。導かれた関数の増減や凹凸を調べてグラフの特徴を把握し、放物線 $C_1$ との交点を連立方程式から求める。
(3) (2) で求めた交点の $x$ 座標を積分区間として、上下関係に注意しながら定積分を計算する。グラフが $y$ 軸対称であることを利用すると計算量が減る。
解法1
(1)
曲線 $C_1: y = \frac{x^2}{2}$ について、$y' = x$ である。
点 $P\left(a, \frac{a^2}{2}\right)$ における法線は、$a \neq 0$ のとき傾きが $-\frac{1}{a}$ であるから、その方程式は、
$$ y - \frac{a^2}{2} = -\frac{1}{a}(x - a) $$
分母を払って整理すると、
$$ x + ay = a + \frac{a^3}{2} $$
となる。この式は $a = 0$ のときも $x = 0$ となり、点 $P(0, 0)$ における法線($y$ 軸)を正しく表している。
同様にして、点 $Q\left(b, \frac{b^2}{2}\right)$ における法線の方程式は、
$$ x + by = b + \frac{b^3}{2} $$
となる。交点 $R(X, Y)$ はこれら $2$ 直線の交点であるから、連立して解く。上の式から下の式を辺々引くと、
$$ (a - b)Y = a - b + \frac{a^3 - b^3}{2} $$
$b \neq a$ であるから $a - b \neq 0$ であり、両辺を $a - b$ で割ると、
$$ Y = 1 + \frac{a^2 + ab + b^2}{2} $$
これを $x + ay = a + \frac{a^3}{2}$ に代入して $X$ を求める。
$$ \begin{aligned} X &= a + \frac{a^3}{2} - aY \\ &= a + \frac{a^3}{2} - a\left(1 + \frac{a^2 + ab + b^2}{2}\right) \\ &= -\frac{a^2b + ab^2}{2} \\ &= -\frac{ab(a + b)}{2} \end{aligned} $$
したがって、交点 $R$ の座標は $\left(-\frac{ab(a+b)}{2}, 1 + \frac{a^2+ab+b^2}{2}\right)$ である。
ここで $b \to a$ の極限をとると、
$$ \begin{aligned} X &\to -\frac{a \cdot a \cdot 2a}{2} = -a^3 \\ Y &\to 1 + \frac{a^2 + a^2 + a^2}{2} = 1 + \frac{3}{2}a^2 \end{aligned} $$
ゆえに、点 $R$ が限りなく近づく点 $A$ の座標は $\left(-a^3, 1 + \frac{3}{2}a^2\right)$ となる。
(2)
点 $A$ の座標を $(x, y)$ とすると、(1) の結果より、
$$ \begin{aligned} x &= -a^3 \\ y &= 1 + \frac{3}{2}a^2 \end{aligned} $$
第 $1$ 式より $a = -x^{\frac{1}{3}}$ である。これを第 $2$ 式に代入してパラメータ $a$ を消去すると、軌跡 $C_2$ の方程式は、
$$ y = 1 + \frac{3}{2}\left(-x^{\frac{1}{3}}\right)^2 = 1 + \frac{3}{2}x^{\frac{2}{3}} $$
となる。
関数 $y = 1 + \frac{3}{2}x^{\frac{2}{3}}$ は $y$ 軸に関して対称な偶関数である。 $x > 0$ において微積分を行うと、
$$ \begin{aligned} y' &= x^{-\frac{1}{3}} > 0 \\ y'' &= -\frac{1}{3}x^{-\frac{4}{3}} < 0 \end{aligned} $$
したがって、$x > 0$ において $C_2$ は単調増加かつ上に凸な曲線である。また、$\lim_{x \to +0} y' = \infty$ であるから、$x=0$ では滑らかにつながらず、尖点 $(0, 1)$ をもつ。 以上より、$C_2$ は点 $(0, 1)$ を尖点とし、$y$ 軸対称で上方に開く概形となる。($C_1$ は頂点が原点の放物線である。)
次に、$C_1$ と $C_2$ の交点を求める。
$$ \frac{x^2}{2} = 1 + \frac{3}{2}x^{\frac{2}{3}} $$
ここで $t = x^{\frac{2}{3}}$ とおくと、$x^2 = t^3$ かつ $t \ge 0$ である。方程式は、
$$ \frac{t^3}{2} = 1 + \frac{3}{2}t $$
$$ t^3 - 3t - 2 = 0 $$
左辺を因数分解すると、
$$ (t + 1)^2(t - 2) = 0 $$
$t \ge 0$ の条件より $t = 2$ となる。 $t = x^{\frac{2}{3}} = 2$ のとき、両辺を $3$ 乗して $x^2 = 8$ となるため、$x = \pm 2\sqrt{2}$ である。 このとき、交点の $y$ 座標は $y = \frac{(\pm 2\sqrt{2})^2}{2} = 4$ である。
ゆえに、交点の座標は $(2\sqrt{2}, 4)$ と $(-2\sqrt{2}, 4)$ である。
(3)
曲線 $C_1$ と $C_2$ はともに $y$ 軸に関して対称であるから、囲まれた部分の面積 $S$ は、$x \ge 0$ の部分の面積の $2$ 倍となる。 区間 $0 \le x \le 2\sqrt{2}$ において、端点 $x=0$ で $C_2$ は $y=1$、$C_1$ は $y=0$ であるから、$C_2$ が $C_1$ の上側にある。
したがって、求める面積 $S$ は、
$$ \begin{aligned} S &= 2 \int_{0}^{2\sqrt{2}} \left\{ \left(1 + \frac{3}{2}x^{\frac{2}{3}}\right) - \frac{x^2}{2} \right\} dx \\ &= 2 \left[ x + \frac{3}{2} \cdot \frac{3}{5}x^{\frac{5}{3}} - \frac{x^3}{6} \right]_{0}^{2\sqrt{2}} \\ &= 2 \left[ x + \frac{9}{10}x^{\frac{5}{3}} - \frac{x^3}{6} \right]_{0}^{2\sqrt{2}} \end{aligned} $$
ここで、$x = 2\sqrt{2} = 2^{\frac{3}{2}}$ であるから、
$$ \begin{aligned} x^{\frac{5}{3}} &= \left(2^{\frac{3}{2}}\right)^{\frac{5}{3}} = 2^{\frac{5}{2}} = 4\sqrt{2} \\ x^3 &= \left(2^{\frac{3}{2}}\right)^3 = 2^{\frac{9}{2}} = 16\sqrt{2} \end{aligned} $$
これらを代入して計算すると、
$$ \begin{aligned} S &= 2 \left( 2\sqrt{2} + \frac{9}{10} \cdot 4\sqrt{2} - \frac{16\sqrt{2}}{6} \right) \\ &= 2 \left( 2\sqrt{2} + \frac{18}{5}\sqrt{2} - \frac{8}{3}\sqrt{2} \right) \\ &= 2\sqrt{2} \left( 2 + \frac{18}{5} - \frac{8}{3} \right) \\ &= 2\sqrt{2} \left( \frac{30 + 54 - 40}{15} \right) \\ &= 2\sqrt{2} \cdot \frac{44}{15} \\ &= \frac{88\sqrt{2}}{15} \end{aligned} $$
解説
法線の交点が近づく極限点は「曲率中心」と呼ばれ、その軌跡は「縮閉線」と呼ばれる。本問は放物線の縮閉線を求める典型的なテーマである。 (1) では、法線の方程式を立てる際、$x$ 軸に垂直になる場合($a=0$)を避けるために分母を払った形 $x + ay = a + \frac{a^3}{2}$ を用いると、場合分けの手間を省くことができる。 (2) の軌跡 $C_2$ は無理関数を含むため、増減や凹凸を調べてグラフの特徴(今回は $y$ 軸上の尖点)を正しく把握することが重要である。また、交点を求める方程式は $x^{\frac{2}{3}}$ をひと塊の変数 $t$ と置いて $3$ 次方程式に帰着させるのが定石である。 (3) の積分計算では、指数の法則を丁寧に用いて有理数乗の計算(特に $(2\sqrt{2})^{\frac{5}{3}}$)をミスなく処理できるかが鍵となる。また、$y$ 軸対称性を利用して積分区間を $0$ からの片側のみに絞ることで、計算を簡略化できる。
答え
(1) $A\left(-a^3, 1 + \frac{3}{2}a^2\right)$
(2) $C_1$ は頂点が原点下に凸の放物線、$C_2$ は点 $(0, 1)$ を尖点とし $y$ 軸対称で上に凸に開く概形をもつ。 交点の座標は $(2\sqrt{2}, 4), (-2\sqrt{2}, 4)$
(3) $\frac{88\sqrt{2}}{15}$
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