北海道大学 1978年 文系 第3問 解説

方針・初手
$f(\theta)$ の式に含まれる $\cos^2 \theta$ を相互関係 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ を用いて消去し、$\sin \theta$ のみの関数に変形する。その後 $\sin \theta = x$ と置き換え、$x$ の関数として方程式の解の個数や最大値を考える。置換に伴い、$x$ の変域と、$x$ と $\theta$ の対応個数に注意を払う。
解法1
(1)
$f(\theta)$ の式を変形する。
$$f(\theta) = a\sin^2\theta + b(1-\sin^2\theta) + 2a\sin\theta = (a-b)\sin^2\theta + 2a\sin\theta + b$$
ここで $\sin\theta = x$ とおくと、$0 \leqq \theta < 2\pi$ であるから、変域は $-1 \leqq x \leqq 1$ となる。 $f(\theta)$ を $x$ の関数とみて $g(x)$ とおく。
$$g(x) = (a-b)x^2 + 2ax + b \quad (-1 \leqq x \leqq 1)$$
$f(\theta) = 0$ を満たす $\theta$ の個数を調べるためには、$g(x) = 0$ を満たす $x$ に対して、$\sin\theta = x$ となる $\theta$ が $0 \leqq \theta < 2\pi$ にいくつ存在するかを考えればよい。
- $x = \pm 1$ のとき、$\theta$ は1個
- $-1 < x < 1$ のとき、$\theta$ は2個
関数 $g(x)$ について、区間の両端 $x = 1, -1$ での値を調べる。
$$g(1) = (a-b) \cdot 1^2 + 2a \cdot 1 + b = 3a$$
$$g(-1) = (a-b) \cdot (-1)^2 + 2a \cdot (-1) + b = -a$$
問題文の条件より $a \neq 0$ であるため、これらの積は負となる。
$$g(1)g(-1) = 3a \cdot (-a) = -3a^2 < 0$$
関数 $y = g(x)$ のグラフは、連続であり、$x=1$ と $x=-1$ で $y$ 座標の符号が異なるため、中間値の定理より区間 $-1 < x < 1$ において $x$ 軸と少なくとも1回交わる。
(i) $a - b = 0$ のとき
$g(x) = 2ax + a$ となり1次関数であるから、方程式 $g(x) = 0$ の実数解は1つのみである。
(ii) $a - b \neq 0$ のとき
$g(x)$ は2次関数であり、放物線 $y = g(x)$ が区間 $-1 < x < 1$ の両端で異符号の値をとることから、$x$ 軸との交点は $-1 < x < 1$ の範囲に1つ、それ以外の範囲に1つ存在する。
したがって、いずれの場合も $g(x) = 0$ は $-1 < x < 1$ の範囲にただ1つの解をもつ。 このただ1つの解 $x$ に対して、$\sin\theta = x$ を満たす $\theta$ は $0 \leqq \theta < 2\pi$ の範囲にちょうど2個存在する。 よって、$f(\theta) = 0$ を満たす $\theta$ の値は2個あることが示された。
(2)
$f(\theta)$ が $\theta = \frac{\pi}{6}$ で最大値 $7$ をとる条件を考える。 $\theta = \frac{\pi}{6}$ のとき、$x = \sin\frac{\pi}{6} = \frac{1}{2}$ である。 $x = \sin\theta$ は $\theta = \frac{\pi}{6}$ の近傍において単調に増加するため、$f(\theta)$ が $\theta = \frac{\pi}{6}$ で最大値をとることは、$g(x)$ が $-1 \leqq x \leqq 1$ において $x = \frac{1}{2}$ で最大値をとることと同値である。
(i) $a - b = 0$ のとき
$g(x) = 2ax + a$ は1次関数であり、区間の端点($x = 1$ または $x = -1$)で最大値をとるため、$x = \frac{1}{2}$ で最大となることはなく不適である。
(ii) $a - b \neq 0$ のとき
$g(x)$ は2次関数であり、区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ の内点である $x = \frac{1}{2}$ で最大値をとるためには、放物線 $y = g(x)$ が上に凸であり、かつ頂点の $x$ 座標(軸)が $x = \frac{1}{2}$ であることが必要十分条件となる。 グラフが上に凸である条件は以下の通りである。
$$a - b < 0$$
$g(x)$ を平方完成して軸の方程式を求める。
$$g(x) = (a-b)\left(x + \frac{a}{a-b}\right)^2 - \frac{a^2}{a-b} + b$$
軸は $x = -\frac{a}{a-b} = \frac{a}{b-a}$ であるから、これが $\frac{1}{2}$ と等しい。
$$\frac{a}{b-a} = \frac{1}{2}$$
分母を払って整理する。
$$2a = b - a$$
$$b = 3a$$
これを $a - b < 0$ に代入すると $a - 3a < 0$ より $-2a < 0$ となり、条件は $a > 0$ となる。 このとき、$b = 3a$ を $g(x)$ の式に代入する。
$$g(x) = -2ax^2 + 2ax + 3a$$
$x = \frac{1}{2}$ のとき最大値 $7$ をとるので、
$$g\left(\frac{1}{2}\right) = -2\left(\frac{1}{2}\right)^2 + 2\left(\frac{1}{2}\right) + 3a = -\frac{1}{2}a + a + 3a = \frac{7}{2}a$$
これが $7$ と等しいため、以下の式が成り立つ。
$$\frac{7}{2}a = 7$$
$$a = 2$$
これは条件 $a > 0$ を満たす。 さらに $b$ を求める。
$$b = 3 \cdot 2 = 6$$
よって、求める値は $a = 2, b = 6$ である。
解説
- 三角関数の最大・最小、および方程式の解の個数問題における定石通り、$\sin\theta$ または $\cos\theta$ のみで表し、置換して考えることが重要である。
- 置換した文字 $x = \sin\theta$ の定義域に注意し、$x$ の値1つに対する $\theta$ の個数がいくつあるかを把握することが問題解決の鍵となる。
- (1)は2次方程式の解の配置問題として捉えることができる。区間の端点における関数の値の符号を調べることで、解の存在範囲を特定できる。$g(1)g(-1) < 0$ に気づくことで、煩雑な場合分けを減らし解答を簡潔にまとめることができる。
- (2)において、区間の内点で最大値をとるということは、2次関数の頂点がそこに存在することと等しい。条件として「上に凸であること」を忘れないように注意が必要である。
答え
(1) $f(\theta)$ を $x = \sin\theta$ の関数 $g(x)$ と置いたとき、$g(1)g(-1) < 0$ となることから $g(x) = 0$ は $-1 < x < 1$ にただ1つの解をもつ。この解に対して $\theta$ は2個存在するため、題意は示された。(証明の詳細は解法1を参照)
(2) $$a = 2, b = 6$$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











