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九州大学 1998年 文系 第7問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式テーマ/図形総合
九州大学 1998年 文系 第7問 解説

方針・初手

与えられた3次方程式の解を求めることから始めます。(1) の誘導に従って $x=1$ を代入し、解であることを確認したのち、因数定理を用いて方程式を因数分解します。 方程式の解が求まったら、それらを複素数平面上に図示し、図形的な条件(一直線上、直角三角形、正六角形)をそれぞれの問に合わせて数式で表現していきます。

解法1

(1)

方程式の左辺を $f(x)$ とおく。

$$f(x) = x^3 - (2k+1)x^2 + (4k^2+2k)x - 4k^2$$

$x=1$ を代入すると、以下のようになる。

$$\begin{aligned} f(1) &= 1^3 - (2k+1) \cdot 1^2 + (4k^2+2k) \cdot 1 - 4k^2 \\ &= 1 - 2k - 1 + 4k^2 + 2k - 4k^2 \\ &= 0 \end{aligned}$$

よって、$x=1$ は上の方程式の解である。

(2)

$f(1)=0$ より、$f(x)$ は $x-1$ を因数にもつ。組み立て除法などを用いて因数分解すると、以下のようになる。

$$f(x) = (x-1)(x^2 - 2kx + 4k^2)$$

$f(x)=0$ の3つの解 $z_1, z_2, z_3$ は、$x=1$ および2次方程式 $x^2 - 2kx + 4k^2 = 0$ の解である。 $k$ は正の実数であるから、この2次方程式の判別式を $D$ とすると、

$$\frac{D}{4} = k^2 - 4k^2 = -3k^2 < 0$$

となり、実数解をもたない。解の公式より、2次方程式の解は以下のようになる。

$$x = k \pm \sqrt{-3k^2} = k \pm \sqrt{3}ki$$

よって、3つの解を $z_1 = 1$, $z_2 = k + \sqrt{3}ki$, $z_3 = k - \sqrt{3}ki$ とする(順不同)。 これらを複素数平面上の点と見なす。$z_2$ と $z_3$ は実部が $k$ で共通しているため、これらを結ぶ直線は虚軸に平行な直線 $x=k$ である。 3点 $z_1, z_2, z_3$ が一直線上にあるためには、$z_1=1$ もこの直線上にある必要がある。 したがって、求める $k$ の値は以下の通りである。

$$k = 1$$

(3)

3点 $z_1, z_2, z_3$ をそれぞれ点 $\mathrm{A}, \mathrm{B}, \mathrm{C}$ とおく。 点 $\mathrm{B}(k + \sqrt{3}ki)$ と点 $\mathrm{C}(k - \sqrt{3}ki)$ は実軸に関して対称であり、線分 $\mathrm{BC}$ は実軸と直交する。 したがって、$\triangle \mathrm{ABC}$ は $\mathrm{AB} = \mathrm{AC}$ を満たす二等辺三角形である。 これが直角三角形となるためには、$\angle \mathrm{A} = 90^\circ$ となることが必要十分である。 点 $\mathrm{A}$ から線分 $\mathrm{BC}$ に下ろした垂線の足を $\mathrm{M}$ とすると、点 $\mathrm{M}$ は複素数平面上で $k$ を表す点であり、$\angle \mathrm{A} = 90^\circ$ のとき $\triangle \mathrm{ABM}$ は直角二等辺三角形となるため、$\mathrm{AM} = \mathrm{BM}$ が成り立つ。

$$\mathrm{AM} = |k - 1|$$

$$\mathrm{BM} = |\sqrt{3}k| = \sqrt{3}k \quad (k>0 \text{ より})$$

これらが等しいので、以下の等式を得る。

$$|k - 1| = \sqrt{3}k$$

両辺を2乗して整理する。

$$\begin{aligned} (k - 1)^2 &= 3k^2 \\ k^2 - 2k + 1 &= 3k^2 \\ 2k^2 + 2k - 1 &= 0 \end{aligned}$$

これを解くと、$k = \frac{-1 \pm \sqrt{3}}{2}$ となる。 $k>0$ より、求める $k$ の値は以下の通りである。

$$k = \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}$$

(4)

3点 $z_1, z_2, z_3$ を原点のまわりに $\theta$ 回転させた点を $w_1, w_2, w_3$ とし、それらと共役な点を $\overline{w_1}, \overline{w_2}, \overline{w_3}$ とする。 これら6点が原点中心の正六角形の頂点となるとき、これらはすべて原点からの距離が等しい。 回転や共役をとっても原点からの距離は不変であるため、元の3点も原点からの距離が等しくなければならない。

$$|z_1| = |z_2| = |z_3|$$

$|z_1| = 1$、$|z_2| = \sqrt{k^2 + (\sqrt{3}k)^2} = \sqrt{4k^2} = 2k$ であるから、

$$2k = 1 \implies k = \frac{1}{2}$$

このとき、$z_1 = 1$、$z_2 = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i$、$z_3 = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i$ となる。 極形式で表すと以下のようになる。

$$\begin{aligned} z_1 &= \cos 0^\circ + i\sin 0^\circ \\ z_2 &= \cos 60^\circ + i\sin 60^\circ \\ z_3 &= \cos(-60^\circ) + i\sin(-60^\circ) \end{aligned}$$

すなわち、これらは単位円上にあり、偏角はそれぞれ $0^\circ, 60^\circ, -60^\circ$ である。 これらを $\theta$ 回転した $w_1, w_2, w_3$ の偏角の集合を $A$、それらの共役複素数の偏角の集合を $B$ とすると、

$$\begin{aligned} A &= \{ \theta, \theta + 60^\circ, \theta - 60^\circ \} \\ B &= \{ -\theta, -\theta - 60^\circ, -\theta + 60^\circ \} \end{aligned}$$

となる。これら6点が正六角形の頂点をなすためには、$A \cup B$ が $360^\circ$ を $60^\circ$ ずつ等分する6つの角度(例えば $0^\circ, 60^\circ, 120^\circ, \dots$ や $30^\circ, 90^\circ, 150^\circ, \dots$)に一致し、かつ互いに重複がないことが必要である。 $A$ は正六角形の1つおきの3頂点であるから、$B$ は残りの3頂点とならなければならない。 これは、$A$ の各点を原点中心に $180^\circ$ 回転させたものが $B$ に一致することを意味する。 したがって、ある点に着目すると以下の合同式が成り立つ必要がある。

$$-\theta \equiv \theta + 180^\circ \pmod{60^\circ}$$

これを整理する。

$$2\theta \equiv 180^\circ \pmod{60^\circ}$$

$0^\circ \leqq \theta \leqq 180^\circ$ の範囲でこれを満たす $\theta$ の候補は $\theta = 0^\circ, 30^\circ, 60^\circ, 90^\circ, 120^\circ, 150^\circ, 180^\circ$ である。 しかし、正六角形となるためには6点がすべて異ならなければならない。 例えば $\theta = 60^\circ$ の場合、$A = \{60^\circ, 120^\circ, 0^\circ\}$、$B = \{300^\circ, 240^\circ, 0^\circ\}$ となり、$0^\circ$ が重複するため不適である。同様に $\theta = 0^\circ, 120^\circ, 180^\circ$ でも頂点が重複する。 また $\theta = 30^\circ$ の場合、$A = \{30^\circ, 90^\circ, 330^\circ\}$、$B = \{330^\circ, 270^\circ, 30^\circ\}$ となり重複が生じる。$\theta = 150^\circ$ も同様である。 $\theta = 90^\circ$ のとき、

$$\begin{aligned} A &= \{ 90^\circ, 150^\circ, 30^\circ \} \\ B &= \{ 270^\circ, 210^\circ, 330^\circ \} \end{aligned}$$

となり、これら6つはすべて異なり、偏角が $60^\circ$ おきに並ぶため正六角形の頂点をなす。 したがって、求める値は $k = \frac{1}{2}$、$\theta = 90^\circ$ である。

解説

複素数平面における方程式の解と図形的性質を結びつける標準的な問題です。 実数係数の方程式が虚数解をもつ場合、必ず共役な複素数のペアが現れることを利用します。これにより、複素数平面上で実軸対称な点が得られ、図形(今回は三角形)の形状を決定しやすくなります。 (4) では、「正多角形の頂点」という条件を「原点からの距離が等しい」ことと「偏角の差」の2つの条件に分解して考えることがポイントです。特に偏角の条件は、点の重複がないかどうかの確認を怠らないように注意が必要です。

答え

(1) $x=1$ は解である。 (2) $k=1$ (3) $k = \frac{-1 + \sqrt{3}}{2}$ (4) $k = \frac{1}{2}$、$\theta = 90^\circ$

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