トップ 九州大学 2002年 文系 第7問

九州大学 2002年 文系 第7問 解説

数学C/複素数平面数学A/図形の性質テーマ/図形総合
九州大学 2002年 文系 第7問 解説

方針・初手

複素数平面における直線の直交条件と、単位円上の点における共役複素数の性質を活用する。 点 $z$ が原点中心・半径 $1$ の円周上にあることと、$|z|=1 \iff \overline{z} = \frac{1}{z}$ が成り立つことは同値であり、この変形を用いて $\overline{z}$ を消去していくのが定石である。

解法1

(1)

複素数平面において、2点 $\alpha, \beta$ を通る直線の方向は複素数 $\alpha - \beta$ が表すベクトルに対応し、2点 $\gamma, \delta$ を通る直線の方向は $\gamma - \delta$ が表すベクトルに対応する。 2直線が直交することは、これらのベクトルのなす角が $\frac{\pi}{2}$ または $-\frac{\pi}{2}$ であることと同値である。 したがって、偏角について以下が成り立つ。

$$\arg \left( \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \delta} \right) = \frac{\pi}{2} + n\pi \quad (n \text{ は整数})$$

これは、複素数 $\frac{\alpha - \beta}{\gamma - \delta}$ の実部が $0$ であり、かつ虚部が $0$ でないこと、すなわち純虚数であることを意味している。 よって、2直線が直交するための必要十分条件は、$\frac{\alpha - \beta}{\gamma - \delta}$ が純虚数であることである。(証明終)

(2)

3点 $z_1, z_2, z_3$ は原点を中心とする半径 $1$ の円 $C$ 上にあるので、以下の関係が成り立つ。

$$|z_1| = |z_2| = |z_3| = 1 \iff \overline{z_1} = \frac{1}{z_1}, \ \overline{z_2} = \frac{1}{z_2}, \ \overline{z_3} = \frac{1}{z_3}$$

$w_1 = z_1 + z_2 + z_3$ が三角形の垂心であることを示すためには、$w_1$ から対辺へ下ろした線分が直交することを示せばよい。対称性より、頂点 $z_1$ と $w_1$ を結ぶ直線が、対辺 $z_2 z_3$ と直交することを示せば十分である。

(i) $z_2 + z_3 \neq 0$ のとき

直線 $w_1 z_1$ と直線 $z_2 z_3$ が直交することを、(1) を用いて示す。

$$A = \frac{w_1 - z_1}{z_2 - z_3} = \frac{z_2 + z_3}{z_2 - z_3}$$

とおく。これの共役複素数 $\overline{A}$ を計算する。

$$\begin{aligned} \overline{A} &= \frac{\overline{z_2} + \overline{z_3}}{\overline{z_2} - \overline{z_3}} \\ &= \frac{\frac{1}{z_2} + \frac{1}{z_3}}{\frac{1}{z_2} - \frac{1}{z_3}} \\ &= \frac{z_3 + z_2}{z_3 - z_2} \\ &= -\frac{z_2 + z_3}{z_2 - z_3} \\ &= -A \end{aligned}$$

$A \neq 0$ であるから、$\overline{A} = -A$ より $A$ は純虚数である。 したがって、(1) より、直線 $w_1 z_1$ は直線 $z_2 z_3$ と直交する。 対称性から、直線 $w_1 z_2$ は直線 $z_3 z_1$ と、直線 $w_1 z_3$ は直線 $z_1 z_2$ とそれぞれ直交する。 よって、$w_1$ は各頂点から対辺に下ろした垂線の交点となり、垂心である。

(ii) $z_2 + z_3 = 0$ のとき

このとき $z_3 = -z_2$ であり、線分 $z_2 z_3$ は円 $C$ の直径となる。 タレスの定理より $\triangle z_1 z_2 z_3$ は $\angle z_1 = \frac{\pi}{2}$ の直角三角形である。 直角三角形の垂心は、直角の頂点 $z_1$ と一致する。 一方、$w_1 = z_1 + z_2 + z_3 = z_1$ となるため、$w_1$ は確かに垂心である。

以上より、いずれの場合も $w_1$ は 3点 $z_1, z_2, z_3$ を頂点とする三角形の垂心になる。(証明終)

(3)

$w_2 = -\overline{z_1} z_2 z_3$ とする。 まず、$w_2$ が円 $C$ 上にあることを示す。

$$|w_2| = |-\overline{z_1} z_2 z_3| = |-1| |\overline{z_1}| |z_2| |z_3| = 1 \cdot 1 \cdot 1 \cdot 1 = 1$$

よって、$w_2$ は円 $C$ 上の点である。

次に、$w_2 \neq z_1$ のもとで、2点 $z_1, w_2$ を通る直線が、2点 $z_2, z_3$ を通る直線と直交することを示す。

$$B = \frac{w_2 - z_1}{z_2 - z_3} = \frac{-\overline{z_1}z_2z_3 - z_1}{z_2 - z_3}$$

とおく。これの共役複素数 $\overline{B}$ を計算する。

$$\begin{aligned} \overline{B} &= \frac{-z_1 \overline{z_2} \overline{z_3} - \overline{z_1}}{\overline{z_2} - \overline{z_3}} \\ &= \frac{-z_1 \frac{1}{z_2} \frac{1}{z_3} - \overline{z_1}}{\frac{1}{z_2} - \frac{1}{z_3}} \end{aligned}$$

分母分子に $z_2 z_3$ を掛ける。

$$\begin{aligned} \overline{B} &= \frac{-z_1 - \overline{z_1} z_2 z_3}{z_3 - z_2} \\ &= \frac{-(z_1 + \overline{z_1} z_2 z_3)}{-(z_2 - z_3)} \\ &= \frac{z_1 + \overline{z_1} z_2 z_3}{z_2 - z_3} \\ &= - \frac{-\overline{z_1} z_2 z_3 - z_1}{z_2 - z_3} \\ &= -B \end{aligned}$$

$w_2 \neq z_1$ より $B \neq 0$ であるから、$\overline{B} = -B$ より $B$ は純虚数である。 したがって、(1) より直線 $z_1 w_2$ と直線 $z_2 z_3$ は直交する。

以上より、点 $w_2$ は、頂点 $z_1$ から対辺 $z_2 z_3$ に下ろした垂線上にある円 $C$ 上の点であることが示された。 これは、点 $z_1$ から下ろした垂線またはその延長線が円 $C$ と交わる点が $w_2$ であることを意味する。(証明終)

解説

複素数平面における三角形の幾何的性質を代数的に処理する標準的な問題である。 最大のポイントは、円周上の点に関する条件を $|z|^2=z\overline{z}=1$ として $\overline{z} = \frac{1}{z}$ に置き換える処理である。これにより、共役複素数を含む式の計算が非常に容易になり、直交条件(実部が $0$)や共線条件(虚部が $0$)の判定式へ持ち込むことができる。

また、(2) の $w_1 = z_1 + z_2 + z_3$ が垂心を表すことは、ベクトルにおける関係式 $\vec{OH} = \vec{OA} + \vec{OB} + \vec{OC}$ ($O$ は外心、$H$ は垂心)の複素数平面版の証明となっている。論証の際に、分母が $0$ になる可能性(直角三角形の場合)の除外や場合分けを忘れないよう注意したい。

答え

(1) 題意の通り証明された。 (2) 題意の通り証明された。 (3) 題意の通り証明された。

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。