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九州大学 1973年 文系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学2/三角関数数学2/積分法テーマ/最大・最小
九州大学 1973年 文系 第4問 解説

方針・初手

単位円周上の複素数 $z$ を極形式を用いて表し、式の実部を取り出します。$\cos \theta = x$ と置換することで、$x$ の2次関数の最大値問題に帰着します。関数の軸の位置が $t$ によって変化するため、定義域と軸の位置関係で場合分けを行います。

解法1

(1)

複素数 $z$ は単位円周 $|z|=1$ 上を動くので、$z = \cos \theta + i \sin \theta$ ($0 \leqq \theta < 2\pi$) とおける。ド・モアブルの定理より、$z^2 = \cos 2\theta + i \sin 2\theta$ である。

与式に代入すると、

$$8tz - z^2 = 8t(\cos \theta + i \sin \theta) - (\cos 2\theta + i \sin 2\theta)$$

$$= (8t\cos \theta - \cos 2\theta) + i(8t\sin \theta - \sin 2\theta)$$

この実部を $g(\theta)$ とすると、2倍角の公式 $\cos 2\theta = 2\cos^2 \theta - 1$ を用いて、

$$g(\theta) = 8t\cos \theta - \cos 2\theta = 8t\cos \theta - (2\cos^2 \theta - 1)$$

ここで、$\cos \theta = x$ とおくと、$0 \leqq \theta < 2\pi$ より $-1 \leqq x \leqq 1$ である。実部を $x$ の関数として $h(x)$ とおくと、

$$h(x) = -2x^2 + 8tx + 1 = -2(x - 2t)^2 + 8t^2 + 1$$

この関数 $h(x)$ の $-1 \leqq x \leqq 1$ における最大値が $f(t)$ である。放物線 $y = h(x)$ は上に凸であり、軸の方程式は $x = 2t$ である。この軸の位置と定義域 $-1 \leqq x \leqq 1$ の関係により、以下のように場合分けを行う。

(i) $2t < -1$、すなわち $t < -\frac{1}{2}$ のとき

最大値は $x = -1$ のときにとるから、

$$f(t) = h(-1) = -2(-1)^2 + 8t(-1) + 1 = -8t - 1$$

(ii) $-1 \leqq 2t \leqq 1$、すなわち $-\frac{1}{2} \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ のとき

最大値は頂点 $x = 2t$ のときにとるから、

$$f(t) = h(2t) = 8t^2 + 1$$

(iii) $1 < 2t$、すなわち $t > \frac{1}{2}$ のとき

最大値は $x = 1$ のときにとるから、

$$f(t) = h(1) = -2(1)^2 + 8t(1) + 1 = 8t - 1$$

以上より、$f(t)$ は次のように表される。

$$f(t) = \begin{cases} -8t - 1 & \left( t < -\frac{1}{2} \right) \\ 8t^2 + 1 & \left( -\frac{1}{2} \leqq t \leqq \frac{1}{2} \right) \\ 8t - 1 & \left( t > \frac{1}{2} \right) \end{cases}$$

したがって、$-1 \leqq t \leqq 1$ における $f(t)$ のグラフは、$y$軸に関して対称であり、区間 $-1 \leqq t \leqq -\frac{1}{2}$ では点 $(-1, 7)$ と $(-\frac{1}{2}, 3)$ を結ぶ線分、区間 $-\frac{1}{2} \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ では頂点を $(0, 1)$ とする下に凸の放物線、区間 $\frac{1}{2} \leqq t \leqq 1$ では点 $(\frac{1}{2}, 3)$ と $(1, 7)$ を結ぶ線分となる。これらが $t = \pm \frac{1}{2}$ で滑らかに接続されたものが求めるグラフの概形である。

(2)

(1)で求めた関数 $f(t)$ は $f(-t) = f(t)$ を満たす偶関数である。したがって、求める定積分は次のように計算できる。

$$\int_{-1}^{1} f(t) dt = 2 \int_{0}^{1} f(t) dt$$

積分区間 $0 \leqq t \leqq 1$ において関数が切り替わるため、積分を分割して計算する。

$$\int_{0}^{1} f(t) dt = \int_{0}^{\frac{1}{2}} (8t^2 + 1) dt + \int_{\frac{1}{2}}^{1} (8t - 1) dt$$

それぞれの定積分を計算すると、

$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} (8t^2 + 1) dt = \left[ \frac{8}{3}t^3 + t \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = \frac{8}{3} \left( \frac{1}{8} \right) + \frac{1}{2} = \frac{1}{3} + \frac{1}{2} = \frac{5}{6}$$

$$\int_{\frac{1}{2}}^{1} (8t - 1) dt = \left[ 4t^2 - t \right]_{\frac{1}{2}}^{1} = (4 - 1) - \left( 4 \left( \frac{1}{4} \right) - \frac{1}{2} \right) = 3 - \frac{1}{2} = \frac{5}{2}$$

これらを足し合わせる。

$$\int_{0}^{1} f(t) dt = \frac{5}{6} + \frac{5}{2} = \frac{5}{6} + \frac{15}{6} = \frac{20}{6} = \frac{10}{3}$$

よって、求める定積分の値は、

$$\int_{-1}^{1} f(t) dt = 2 \times \frac{10}{3} = \frac{20}{3}$$

解説

複素数平面上の単位円を極形式でパラメーター表示し、実部の最大値を求める問題です。$\cos \theta = x$ とおいたときの定義域 $-1 \leqq x \leqq 1$ に注意し、軸が動く2次関数の最大値問題として場合分けを行うのが定石となります。 (2)の積分では、積分区間が原点対称であり、被積分関数 $f(t)$ が偶関数であることを利用すると計算の手間とミスを減らすことができます。

答え

(1)

グラフの概形は、点 $(-1, 7)$、$(-\frac{1}{2}, 3)$、$(\frac{1}{2}, 3)$、$(1, 7)$ を通り、区間 $-\frac{1}{2} \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ は下に凸の放物線 $f(t)=8t^2+1$、それ以外の区間は直線となる。

(2)

$$\frac{20}{3}$$

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